キネマの神様

映画を好きでも、嫌いでもない。むしろ普段は映画は別に映画館で観なくてもいい。コロナの時期だし。待ってれば配信されたりTVで放送されるのを待つし。
そんな人が、映画館で映画を観ようかな?名前は知っているけどこの映画観たことないな。観てみようかな?と読了後に考えさせられる。
映画への熱意と愛情に満ちた小説だったと思います。

原田マハさん著 2008年に単行本が刊行され、2011年、文庫化されている。
2021年には松竹映画100周年記念作品として、2021年に上映。山田洋次監督によって映像化している。

内容としては
超大手の映画関連会社で課長として働いていた円山歩は社内の風当たりと自信が熱意を込めていた業務から離れることを命じられ会社を辞職する。仕事を辞め父母の元に戻ると、父円山ゴウは趣味のギャンブルによる借金により多方面に迷惑をかけ、ギャンブル依存から抜け出せない状況であることを知る。
父のギャンブル依存を治療する為にゴウのもう一つの趣味、映画鑑賞に傾倒させようと計画する。
父のギャンブル依存治療と同時に就職活動を行い中々次の就職先の決まらなかった歩は父の映画鑑賞記録を読んだことをきっかけに映画雑誌「映友」のホームページに映画評論を投稿したことをきっかけに、就職、映画評論、映友の物語が歩の予想していない方向に進み始める。

この小説の中には実際に放映された有名映画のタイトルに対して登場人物達がどう捉えたのか、感じたのか。
映画タイトル単体だけではなく、映画コンテンツそのものに対する厳しい見方すら鏤められているが、それらは語句はきつくても、どの登場人物も映画に対して深い愛情を抱えてしゃべっているのが分かってしまうため、どうしても微笑ましくかわいらしく感じてしまいます。

名前は知っているし、どんな内容なのかも知識とは知っている。そんな名作映画を知識だけで終わらせるのは勿体ないかも。
一度ちゃんと観てみよう、それも出来れば映画館で観てみようかな?と読み終わる頃には流されやすい私は考えてしまっておりました。
この作品の中に登場する全ての人物からあふれる映画に対する情熱に流されてしまいました。


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