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肺腺がんになった(11:術後③)

2023年12月29日(術後3日目)

5:30には起床して、読書灯をつけた。多少物音を立てても、他に迷惑をかけないのは気が楽だ。個室にしていて良かった。

右胸から繋がるメラサキュームを相棒のように動かし、透明の管の距離感を確認しながら、荷物の整理もできるようになった。

その日の午前中もレントゲン撮影があった。キャスターの持ち手を頼りにすれば1人で歩けそうだ。
ゆっくりエレベーターで移動をしてレントゲン室へ、前日リハビリ時に教えてもらったストレッチの効果があり、腕を上げるのは楽になっていた。

何だか回復を実感して嬉しくなった。

レントゲン撮影を終えて部屋に帰ると、主治医と主任医師の2人がやってきた。空気漏れを確認し、管の抜去時期を2人で相談をして、一度減圧を止めることになった。
少し胸水を溜めて肺の傷口に触れさせることで、かさぶた状のものができて穴を塞ぐらしい。

透明な管を通る赤ピンク色の胸水の中に、小さな丸い繊維状のものが混ざっていたのを見たことがあった。きっと肺の傷口から一部取れてしまったものなんだろう。

この日は部屋の中や廊下を歩いてまわった。暇だったのもあるし、明日のリハビリに備え自主トレしようと思ったからだ。

退院までの道のりが見えてきた気がした。

椅子に腰掛けると眠気に襲われる。寝不足だ。電車の中で居眠りをした時のように、左に傾いてはピーンと姿勢を戻す、何度も繰り返すうち、微かにではあるが左の壁に頭が当たった。

怪我をしたら困るので、ベッドに上がって色々と体勢を試すが、なかなかしっくりこず、結局椅子に座っていた。

夕方、蒸しタオルを受け取って体を拭いた。早くシャワーが浴びたい。大量の蒸しタオルをゴミ箱に捨てる。

個室も相部屋も、毎日ゴミの回収と掃除が入る。
大ぶりなクイックルワイパーのようなものでホコリをとった後、モップをかけたり、個室のトイレやシャワー室を掃除してくれる掃除担当と、部屋のスイッチや鏡、洗面台、テレビモニターなどをアルコールで拭きあげる感染対策担当とに分かれていた。

少し気持ちに余裕が出てきたからか、身の回りの世話を全てしてもらっていると、改めて感じる。本当にありがたいことだ。

毎日の食事も本当に美味しくて、食後には美味しかったとメッセージをかいてトレーに載せて返していた。配膳や片付けの方には直接お礼が言えるが、調理をされている方にも何かしら感謝を伝えたかった。

その日もベッドを起こしたままだったが、前日よりは眠れるようになった。

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