見出し画像

石尊山 と 濁川源泉(軽井沢町追分)~里山歩きのススメ。Part21

濁川

長野県佐久市を流れる「濁川」。

私がよく知っている「濁川」は、一年中泥水の如く濁っていて、佐久市小田井方面から長土呂に向かい北東から南西に向かって流れ、北陸新幹線佐久平駅のすぐ西側を流れて、軽井沢の白糸の滝を源流に持つ清流「湯川」に注いでいる。

「湯川」は、千曲川の支流である。

濁川・湯川・千曲川の合流図

小学生の頃を佐久市で過ごした私は、一年中泥水が流れる「濁川」がとても不思議だった。

どこから泥が混じっているのかと思い、友人と「湯川」への注ぎ口から上流へ辿ってみたことがあったが、小学生のやることなので、せいぜい5~6キロを追ってみたのが精一杯で、何の解決も見ないまま60年近くの時が流れている。

まあ、ほんの少し興味があった程度なのだが・・・

今回登った「石尊山」は、この「濁川」の現流域になると聞き、60年前の疑問の答えが出るとわくわくした気持ちでのアタックとなった。(少々大袈裟ではある。)

石尊山(標高1,667メートル)

石尊山は、軽井沢町追分から見ると、浅間山のお腹のような位置取りで、一見すると、浅間山に同化して、山の存在が気付かれない、というような山である。

私自身も、里山登山を始めて、さまざまなハイカーのレポを見ている中でこの山の存在を知ったくらいで、いわゆるマイナーな山かと思うが、それほど人が集まる山でもなく、比較的緩やかな登りが続くので、マイペースで、のんびり森林浴が楽しめる山である。

今年1月に軽井沢の離山から望む雲隠れの浅間山
左側に出べそのように盛り上がっているのが「石尊山」

登山口

登山口は、軽井沢町の追分(信濃追分)。

追分の町並みから少し歩いた、浅間山麓のいわゆる「千メートル林道」沿いにある。

近くに駐車場がなく、少し下った追分宿の諏訪神社の駐車場が、観光客用に開放されていたので、利用させていただいた。

まずは、軽井沢特有の苔むしたかび臭い別荘地を抜けて登山口に至る。

苔むした別荘地内を通る
登山口
登山道の傾斜は緩やかで、木漏れ日の中をのんびり歩くことができる。

木漏れ日の広葉樹林をのんびり歩き、しばらくすると、川の流れる音が聞こえ、登山道が林道と合流する。

「濁川」である。

血の滝

「濁川」に沿った登山道を進むと間もなく、地図上に「血の滝」と書かれた滝が現れる。
土色に濁った水が10メートルほどの落差で落ちている。

「血の滝」の上部を渡渉する。

血の滝上部

土色濃く流れる川の水は、上流に行くほどに透明度を増しているように感じる。

やがて、「血の池」と書かれた標識が出てきたが、池は見当たらない。
かつて池があったのだろうか。

「血の池」から先は、「石尊山山頂」と書かれた標識が左を示しているが、右側にも道があり、地図を確認すると「濁川」の源流方面に続いているようだ。

左側の山頂方面からは比較的透き通った水が流れてきているので、少しのぞいてみると、その先には「おはぐろ池」と書かれた小さな池があって、横には「血の池弁財天神社祭礼」と書かれた石の祠があった。

「おはぐろ池」は、池全体に土色の沈殿物があり、池自体は土色をしているものの、透き通った湧水が流れている。

濁川源泉

「血の池」から「濁川」の源流方面へ続く道を辿っていくと、5分ほどで「濁川源泉」に辿り着く。

山の斜面に木製の祠が作り付けられて、「血の池弁財天神社」の表示があり、「濁川」と書かれた石柱があり、祠の足元から結構な勢いで水が湧き出していた。

「濁川」源泉
「濁川」の石柱

湧水口は土色に彩られているが、水は無色透明で、かすかに硫黄の匂いがする。

観光案内などには「源泉」と書かれているので、温泉かと思って手を入れてみたが、水は冷たく、手についた水をなめて見ると、鉄の匂いがした。

湧かせば、結構いい温泉になるのかもしれない。

疑問解消

子供の頃からの疑問は、源泉で見事に解消した。
結論から言うと、今更だが、鉄分が多い湧水がその源流(源泉)であることから、流れるほどに酸素と混じり合って土色になっていくのだ。

私の生活圏では、長野市の松代温泉や、以前「魔法の黄金湯」として紹介した「子安温泉」なども、土色の温泉であるが、湧出口は無色透明で、空気に触れて土色となるので、これらの温泉と同じということであろう。

石尊山山頂

「おはぐろ池」あたりからわずかに傾斜が増してくるが、まあ、それほどでもない。
ゆっくり歩いて30~40分で山頂に登頂した。

雲に隠れた浅間山

本来は、眼前に雄大な浅間山を見上げることができるはずだったが、浅間山には雲がかかり、その勇姿を見ることはできなかったが、軽井沢町や群馬県境、佐久の山々を遠く見通すことができ、十分楽しむことができた。

軽井沢町と群馬県経の山々
真ん中手前にこんもりしている山は、離山
佐久市と八ヶ岳、蓼科山を遠望

標高1,000メートルの登山口は、過ぎゆく風が心地よく、この季節にしては非常に過ごしやすく、「さすが避暑地軽井沢」と感じたが、日が昇るにつれ気温が上がり、山頂では強い日差しで顔がチリチリしたが、少し広々とした山頂なので、もう少し涼しい季節になったら、ずっといても飽きない素敵な景色を眺めることができるだろう。

距離はあるが、傾斜が緩やかなので、体力に自信が無いという方でも、ゆっくり行けば登頂できると思われるので、お勧めしたい。

YAMAPアプリから


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?