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【CLE】AL中地区の王、ガーディアンズの1年を振り返る

 読者の皆様、明けましておめでとうございます。わるものです。

 2022年、クリーブランド・ガーディアンズは大躍進を遂げ、4年ぶりの地区優勝を果たしました!!!!!!!!!! 

 開幕前には最下位予想も目立ったチームが、いかにして地区首位への道を駆け上がっていったのか。今回はチームのターニングポイントとなった試合を厳選して紹介しようと思います。


① Game3 4/10 vsロイヤルズ

今振り返ると非常に弱い打線

 新生ガーディアンズの22年シーズンは、ロイヤルズ相手に2試合19イニングで1点しか取れない悲惨な連敗から始まりました。

 フランコナ監督は不振の選手を長期間我慢する傾向にある監督ですが、この連敗を重く見たのか、開幕3戦目にしてメンバーを大きく入れ替えます。具体的には、ボビー・ブラッドリー(昨年16HR/OPS.739を記録)と張育成(昨年後半戦OPS.850を記録)をスタメンから外し、オーウェン・ミラー&エルニー・クレメントを起用。スティーブン・クワンを7番から2番に引き上げました。要するに、低打率の長距離砲と高打率アヘ単を入れ替えたということです。

 メンバー入れ替えは無事功を奏し、クワンが5打数5安打を記録するなど、17得点の猛攻で圧勝。この試合以降、以前紹介した「コンタクト率の高さ&脚の速さを武器とする打線を形成する」チーム方針が明確化され、居場所を失ったブラッドリー&張育成は5月中にあっさりDFAされました。

 チーム方針を決定付けた、まさにターニングポイントとなった試合と言えるでしょう。


② Game20-22 4/29-5/1 vsアスレチックス

 打線を組み替え、5連勝するなど勢いにのっていたガーディアンズですが、異常脳筋HR軍団ヤンキースにボコられ、当時絶好調だったエンゼルスにも4戦スウィープを食らって7連敗を記録してしまいます。

 この状況下で迎えたアスレチックス戦、初回いきなりアーロン・シバイルが4失点して目の前が真っ暗になりましたが、アンドレス・ヒメネスがフランキー・モンタスからグランドスラムを放って逆転。ヒメネスのブレイクを決定付ける一打に、僕は感動で泣きそうになったことを覚えています。

 その後逆転されるも、ジョシュ・ネイラーの2ランHR等で再逆転して連敗をストップ。2戦目は同点の9回表にルーキーのリッチー・パラシオスが代打決勝タイムリーを放って勝利。3戦目は投手陣が奮闘し、無事3連勝を収めました。

 チームがドン底の状態でアスレチックス(4月は好調で5割程度勝っていた)をスウィープして勢いを取り戻した、非常に重要なシリーズだったと思います。


③ Game60-62 6/17-6/19 vsドジャース

 5/28-6/16の3週間、ガーディアンズは20試合連続で勝率5割以下のチームと対戦するボーナスステージに突入します。この20試合で14勝5敗(1試合雨天延期)とガッポリ貯金を作り、首位ツインズに迫って強豪ドジャース戦を迎えました。勝率7割超えのドジャースに、敵地で勝てる図が全く思い浮かばず、被スウィープ前提で観戦したことをよく覚えています。

 初戦は今季絶不振のザック・プリサックが先発し、ハードヒットがひたすら野手の正面を突く豪運で6回1失点の好投。7回以降も毎回ピンチを迎えるも、必死の継投で無失点。打線は強力投手陣相手にゴロヒットと犠牲フライ2本でかろうじて2点を取り、最後はエニエル・デロスサントス(昨オフマイナー契約で獲得)が抑えて勝利しました。

 3戦目は、シェーン・ビーバーがエースの意地を見せて6.1回3失点の粘投。打線は8回に代打パラシオスの同点タイムリーで追い付き、続く9回1死満塁からヒメネスが決勝タイムリーを放って逆転勝利を収めました。

 同地区のロイヤルズやタイガース相手に貯金を稼ぎ、強豪チームに負けるのが伝統芸でしたが、ドジャース相手に勝ち越したことで、今年は一味違うぞという印象を受けたシリーズでした。


④ Game63-73 6/21-6/30 vsツインズ

 ドジャースに勝ち越した直後、ガーディアンズは10日間で地区首位のツインズと8試合戦うという非常に重要な連戦に突入します。この時期のツインズは好調だった一方、ガーディアンズはホセラミが親指を痛めて絶不振に陥り、中継ぎ陣の調子も微妙という最悪な状態でした。

 試合は想定通りツインズ有利で進み、8試合全てでツインズにリードを許してしまいます。しかし、ツインズの弱点である中継ぎ陣相手に野手陣が奮闘し、なんと5試合で試合をひっくり返すことに成功。

 フランミル・レイエスの同点2ラン(初戦)
 オスカー・ゴンザレスの同点タイムリー(2戦目)
 アメッド・ロサリオの逆転タイムリー(5戦目)
 ネイラーの逆転サヨナラ2ラン(7戦目)
 ストローの同点タイムリー(8戦目)
 ヒメネスのサヨナラ2ラン(8戦目)

9回に3点差を逆転した2戦目の勝利可能性推移

 いずれも緊迫したシーンで飛び出した値千金の一打であり、画面の前で狂喜乱舞した事をよく覚えています。

 8試合で5度の逆転負けを喫したツインズの実況が、最後のヒメネスのサヨナラHRで「I think we’ve had enough of the Cleveland Guardians. (もうガーディアンズと試合するのはウンザリだ)」と述べたシーンは至福のひとときでした。


⑤ Game 105-108 8/4-8/7 vsアストロズ

 ツインズに勝ち越して首位に迫ったガーディアンズですが、7月頭にタイガースに4戦スウィープされるなど不振に陥り、ようやく調子を取り戻した月末に強豪アストロズ戦を迎えます。アストロズには昨年1勝7敗とフルボッコにされており、今季もここまで1勝2敗と負け越し。

 大方の予想通り、今回のシリーズも初戦はジャスティン・バーランダー、次戦はフランバー・バルデスに何もさせてもらえず、今年もダメなのかという空気が漂っていました。

 この苦境で意地を見せたのが、クオントリルとマッケンジーの2人です。強力アストロズ相手にそれぞれ6回無失点、8回無失点の素晴らしい好投を披露し、チームは連勝。

 昨年までシーズン完走経験が無かった2人ですが、今季は2人ともシーズン通じて先発ローテを守り抜き、大きな飛躍の年となりました。

 特にマッケンジーは防御率4.95だった昨年から大幅に成績を良化させ、最終的に190イニング&190奪三振&防御率2.98という素晴らしい成績でシーズンを終えています。

2週間後には7回14奪三振という凄まじい投球を披露した

 これでアストロズ戦は7戦で3勝4敗のほぼ5分、プレーオフで勝ち進む可能性を感じさせてくれるシリーズでした。


⑥ Game136-147 9/9-9/19 vsツインズ

 アストロズ戦での善戦からガーディアンズは6連勝と波に乗り、8月10日についに単独首位に浮上します。しかし、打線の調子が落ちてきた8月末、マリナーズに1勝7敗とフルボッコにされてしまい、2位ツインズ相手に1.5ゲーム差と迫られたまま9月の首位攻防戦を迎えました。

 6月の直接対決ではガーディアンズを苦しめたツインズでしたが、球宴以降は怪我人続出で状態が落ちており、今回のシリーズではガーディアンズが終始圧倒。リリーフ陣が少々グダリましたが、敵地で見事に3連勝を収めました(下記動画1本目)。

 数日後からのホーム5連戦では、我らがアメッド・ロサリオが大爆発します(上記動画2本目)。初戦の7回裏に同点タイムリーを放つと、2戦目は5打数4安打2打点の大暴れ。同日3戦目では確信3ランをセンターに叩き込み、延長13回裏に同点タイムリー、更に15回裏にエラーを誘うショートゴロを放って激戦を制します(この日は2試合で13打数8安打6打点の大活躍)。

 この結果、ツインズとの直接対決6連勝(前回シリーズも含めると8連勝)を決め、ツインズとのゲーム差は7に。続く4戦目は敗北したものの、5戦目ではツインズの補強の目玉だったホルヘ・ロペスを2/3回4失点と粉砕し、ツインズの2022年シーズン終了を決定付けました。


⑦ Game148-150 9/20-9/22 vsホワイトソックス

 今季ア中優勝の大本命だったホワイトソックスですが、シーズンを通しての怪我人続出に苦しみ、3位に低迷していました。ただ、9月に入ると少し調子が上向き、首位攻防戦で敗れ去ったツインズと入れ替わりで2位に浮上します。

 Game148開始時点で両者のゲーム差は残り15試合で3.5ゲーム差。ガーディアンズ優勢も、仮に3戦被スウィープが発生すれば一気に優勝争いの行方がわからなくなる重要なシリーズでした。

 1戦目は両チームの投手陣が奮闘し、3対3の同点で延長に突入。守護神クラッセが珍しく失点を喫したものの、11回表に打線が爆発して試合を決めました。

 今季のガーディアンズは延長戦で15勝6敗(含プレーオフ)という高い勝率を誇りましたが、コンタクト&走塁意識の高さと強力リリーフ陣が見事に噛み合った必然的な結果だと考えています。

 初戦を制した勢いのまま、2戦目ではマッケンジーが8回2失点13奪三振の圧巻投球を披露し、打線は苦手なランス・リンを粉砕。3戦目は、ビーバー/ステファン/クラッセの黄金継投で投手戦を制し、スウィープを完成させました。

 ツインズに続いてホワイトソックスも粉砕し、ガーディアンズのマジックは6に。地区優勝は確実なものとなります。


⑧ Game153 9/25 vsレンジャーズ

 首位攻防戦に続くレンジャーズ戦でもガーディアンズの勢いは止まらず、面白いように投打が噛み合って2連勝。3戦目はクワンがキャリア初のグランドスラムを祝砲と言わんばかりに叩き込み、見事4年ぶりの地区優勝を達成しました(ホワイトソックスが3連敗したため)。

見事シーズン完走を果たした、マッケンジー、クオントリル、ビーバー



⑨ まとめ

 今季は次々と有望な若手選手が台頭し、試合では何度も絶望的な状態から逆転勝ちを成し遂げるという、本当に見ていて心の底から楽しめる最高のチームでした。
 プレーオフでは惜しくもヤンキースに敗れてしまいましたが、まだまだチームに伸び代は残っており、来季以降はチャンピオンリングを狙う挑戦者としての戦いを披露してくれるはずです。

 2023シーズンを共に応援してくれるガーディアンズファンが日本に1人でも増えることを祈って、今回の記事はここまでとさせて頂きます。

 最後まで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。

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