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駐在員を派遣する企業が配偶者の就労を認めないとは。駐在帯同者に対するキャリアサポートのあり方。

駐在キャリア総研の研究員メンバーと会話するなかで知ったのですが、駐在員を派遣する企業が配偶者の就労を認めないという事例は普通にあるそう。


こういう記載があったりするので、昔から一般的によくあることなのでしょう。

ご家族の会社のルールとして、駐在に同行する配偶者の就労が認められていないケースがあります。就労が認められている場合であっても、支給される手当の減額や、ご家族の扶養として医療保険に加入していた場合に脱退する必要があるなど、何らかの影響があり得ます。あらかじめご家族にルールを確認しておきましょう。

https://www.pasona.com/news/stf_06082022/

 「働いてもいいけど、手当は変わるよ(減るよ)」というのは理解できます。企業なので、経営活動は合理的に判断されるべきです。
 ただ、法的・税務的な諸問題や壁はあるにせよ、「働く」ことは自由なのでは・・一概に「働いたらダメ」と言い切って良いものなのか?と思ってしまいます。何を理由に「認めない」と言い切れているのか非常に謎でした。

グローバル企業であればあるほど、平等性・公平性が求められる

従業員をアメリカだけではなく、世界各都市に従業員を赴任させている場合は、原則、アメリカでの就労は認めない方がよいかと思います。現地の企業に勤めるだけでなく、日本法人の越境リモートワークも認めない方が良いかと思います。

今回は、海外赴任者の帯同配偶者のアメリカ国内においての就労に対しての会社の考え方についてご案内させていただきました。重要なことは会社が配偶者の帯同を認めている目的と、海外赴任国間の平等性・公平性を維持することだと思います。

https://gerbera.co.jp/blog/p03/b08/theme-17621/

転職活動も踏まえて感じたことですが、会社のルールがどれだけ詳細か、厳しいか(悪く言うと、公平性や平等性での観点があまりない。)によって、違うだけなのかなと思いました。

私の能力や経歴も多分に影響しているとは思いますが、今回、私の就労条件は書面に記載したので、ほぼ、書類選考で落ちました。もちろん、大手企業も含め大小様々でしたが…。ただ、結果、選考を受けることができたのは、未上場で、企業としてはかなり柔軟な体制を取っている会社ばかりでした。

とりあえず、素直に、ChatGPTに聞いてみると、こんな回答が。

駐在員を派遣する企業が配偶者の就労を認めない理由はいくつか考えられますが、これは企業の方針や状況によって異なります。以下は一般的な理由のいくつかです:

1. **ビザや法的な制約:** 駐在先の国の法律やビザの条件が、配偶者の就労を難しくする場合があります。一部の国では、特定のビザの保持者の配偶者に対しては就労が厳しく制限されていることがあります。

2. **労働市場の条件:** 駐在先の国の労働市場が配偶者に対して十分な雇用機会を提供していない場合、企業は配偶者の就労を制限することがあります。特に、特定の職種や専門職において、外国人の雇用が難しい場合があります。

3. **企業の方針:** 企業が駐在員の家族に対して提供するサポートやリソースが限られている場合、それに従っている可能性があります。家族の雇用をサポートするためには追加の経済的・管理的なリソースが必要であるため、一部の企業はこれを制限していることがあります。

4. **文化的な要因:** 駐在先の国の文化や法的な慣習が、家族の役割や就労に対して特定の期待を持っている場合があります。これが企業の方針に影響を与えることがあります。

5. **契約条件の一貫性:** 企業は通常、駐在員とその家族に対して契約条件を明確に定めます。これには就労に関する条件も含まれるため、企業はこれを一貫して守る必要があります。

ただし、近年では多くの企業が、駐在員の家族に対して配偶者の就労をサポートする方針に転換している傾向があります。これは、家族全体の適応を促進し、駐在員の仕事に集中できるようにするためのアプローチです。

ChatGPT3.5で得た回答

1は、企業や個人ではどうしようもない理由なので理解できます。しかし、「難しい」だけであって、仮に個人的にこの問題をクリアできれば何も問題ない気はします。シンガポールであっても帯同ビザで滞在している方が働くこと自体はOKしていますし。

3~5に関しては、前述の会社の柔軟な体制の程度によるものかなと思います。なので、後半の「近年では多くの企業が、駐在員の家族に対して配偶者の就労をサポートする方針に転換している傾向があります。これは、家族全体の適応を促進し、駐在員の仕事に集中できるようにするためのアプローチです。」という視点にすごく期待してしまいます。

既に、世の中、共働きで生計を立て、自己実現(?)をしている生き方がスタンダードなので、配偶者の就労に関しても、収入を理由にすることなく(極端に、帯同者が帯同に伴い退職した場合に収入を補償する、再雇用を約束するなど)、サポートのあり方を検討しても良いのかなと思います。

帯同者へのキャリア支援は昔も今も変わっていない

2008年の調査で、既に10年以上昔ですが、「第7回 海外派遣勤務者の職業と生活に関する調査結果」が公表されていました。

最新のものは確認した限り上記のものみたいですが、1989年から始めていたようです。この中に、帯同者の就労に関する内容も含まれていました。

調査対象となっていた帯同者は、

①赴任前に関して、30代以上は6割~7割が就労していなかった(報告書では、「20歳代を除くとキャリア志向は強くないと言えるだろう」としている)
②赴任前に就労していた人の就業形態は、正社員が多い

という特徴がありましたが、①に関してはほぼ現状とは異なり、②に関しては昔から変わらない(要は、昔から、自分と結婚相手の社会的属性は似ていたのではないか)、ような気がします。

さらに、「仕事を辞めたことに対する派遣元企業からの補填・サポート」に関する調査では、

全267名からの回答のうち、「A.仕事を辞めたことに対する所得の一部補填」があったのは3名で、「B.将来の仕事に関する研修などへの金銭的補助」があったのは1名、「D.現地における雇用機会の提供」があったのは2名で、「C.現地の仕事に関する情報の提供」があった配偶者はいなかった。配偶者が仕事を辞めて海外に赴任することに対する派遣元企業からの補填・サポートは、現在までのところ日本企業ではほとんど行われていない。

https://www.jil.go.jp/institute/research/documents/009/research009_2.pdf

と、結論づけており、実際の現地での就労状況に関しても、

赴任先でのビザの問題もあり、赴任地で現在就労している配偶者は極めて少ない。

https://www.jil.go.jp/institute/research/documents/009/research009_2.pdf

との結果でした。

サポートに関して、「C.現地の仕事に関する情報の提供」が一番取り組みやすそうではありますが、結果それが無いというのは、事例として確認できた「A.仕事を辞めたことに対する所得の一部補填」や「B.将来の仕事に関する研修などへの金銭的補助」は、かなり交渉した結果勝ち取ったものだったのではないかと思います。

この調査報告書に、
・全体的には海外派遣者の給与水準に対する満足度は高い
・給与水準への満足度は年齢階層が上がるにつれて高くなっている
・海外赴任中にある程度満足のいく水準の給与を得ていれば、帰国後配偶者が直ちに就労する必要性は大きくないであろう

という論調もありましたが、おそらく、ここも世の中の物価高や教育水準など求めるレベルが高くなるにつれ、変わっているでしょうし、何よりも、配偶者の給与に満足=自分は働かなくてもOKということではなくなっていると思います。

帯同者へのサポートも時代に合わせたものに変わっていくとより良いのになと感じています。

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