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46億年の歴史を舐め過ぎだろ⁈生態系に人間の浅知恵など及ぶわけがない。

こんにちは。長野県筑北村で泊まれる猫カフェ「クラシコ」を営業しつつ、自然農法で野菜を育てる農業一年生のおかもとです。今回は畑のお話。寒さの厳しい寒冷地の筑北村も梅雨に入り、漸くうちの畑の植物達も成長に勢いが出てきました。何せ、経験値ゼロの年増の女が一人でYouTubeを頼りに土づくりから始めた畑、しかも自然農法なので肥料も無し。当然、慣行農法で肥料や農薬をたっぷり与えられている周囲の畑の野菜に比べれば成長は遅く、自分でも半信半疑のまま、草を刈っては畝に運ぶ毎日です。

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自然農法は雑草を刈らずに作物を育てます。畑に雑草を生やさない事が精農(熱心で良く働く農民)と言われる慣行農法とは真逆なので、近隣の畑から苦情が出る事が多いそうです。私は何の先入観も無く雑草と一緒に育てていますが、雑草が回りに生えている事で野菜につく虫が軽減されているのは確かです。畑には虫も沢山の種類が生息していますが、虫達も美味しい葉や食べやすい柔らかい葉を選んでいます。つまり、栄養過多の植物や病気等で弱っている植物。肥料を与えられている野菜は栄養過多なので虫が付きやすいのはこうした理由。そして、虫が付くので農薬も使う訳です。

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うちの畑は肥料も農薬も使わないので野菜は虫に喰われ放題です。あまりに栄養が無くて美味しくないのか、隣りに生えている雑草に虫達が集まっていることも多い。だから雑草が必要なのです。そしてもう一つ、同じ苗を植えていても、虫に食べられるのと食べられないのがあるという事。うちは種から育てている野菜も多いのですが、同じように種を蒔いても発芽の時期も違えは育ち具合も違います。ぐんぐん成長する苗もあれば、なかなか成長しない苗もあり、かなりの差があります。そうなると弱い苗に虫が付き、葉を食べられてしまうので増々成長が遅れます。一方、強い苗は虫も少なく、多少、虫に喰われた所でものともせずに成長し、ダメージを感じさせません。こうした植物界の自然淘汰を目の当たりにする事がなかったので、私にはとても新鮮に写りました。

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長年、動物に携わってきたので、私にとって自然淘汰と言えば動物が基本でした。犬や猫などは1度の出産で多数の子を産みますが、それは全てが育たない前提での生存戦略。交配のリスクや子育ての労力と時間、その中で何匹の子を産むのが一番効率的かは種として進化する長い時間の中で自然と決まってきます。現在の生態系は地球に生命が誕生した時から、何十億年という時間をかけて作り上げられてきたものです。人間の目に見えない菌から虫や植物や動物まで、全ての生き物は複雑にからみあい、それぞれの環境で絶妙なバランスで成り立っています。人間だけが自分の都合に合わせてそれを安易に壊すのです。狼が家畜を襲うから絶滅させてみたり、ハブを退治させようとマングースを外国から連れてきたり。その結果、狼のいなくなった地域では鹿が増えて山林を荒らし、マングースはハブより食べやすい絶滅危惧種の鳥を食べるようになり、予想しなかった結果になる。こんな例は世界中に沢山あります。

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うちの畑だけでも様々な種類の雑草が生えます。昔、昭和天皇が「雑草と言う名の植物はありません。」と仰ったそうですが、確かに生えている植物にはそれぞれ名前があり、特徴があります。一見、野菜を育てるには邪魔なだけかも知れませんが、根に根粒菌を持ち土壌を豊かにする植物や、土壌の悪玉菌を減らす植物もあります。例え役に立たないように見えても、その植物を食べる虫がいて、その虫を食べる動物がいて・・と生態系の中では必要とされる植物だから今も存在しているのです。私の小さな畑でさえ、生命は常に自然淘汰の中で進化し続け、生態系を作り上げています。どうして人間だけがおかしな進化を遂げてしまったのかと、畑を眺めながら不思議に思う毎日なのです。

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