見出し画像

涙あり、笑いあり、大幅延長のトークショー

山陽小野田市ではじめての展覧会、その初日。
街のみなさま、ガラスアート講座卒業生のみなさま、
メディアのみなさま、本当にたくさんの方々にお越しいただき、
期待していた通りの一日を過ごすことができました。

初日の8月6日は 見事な夏空。

当日のnoteでも少し写真をご紹介しましたが、
終日天候に恵まれて、作品たちが生き生きときらめく
良いスタートになったと思っています。
本当にありがとうございます。

午前中からたくさんの方にご来場いただきました。

そして、今回のこの記事では
初日限定のトークショーについて書こうと思います。

参加者には、パネリストのプロフィールが紹介されたプログラムを配布。

午前の部、午後の部と二度のトークショーを行いましたが、
どちらの回も、開場してお客さまを迎えるまでの時間が本当にドキドキで。
でも席が埋まっていく様子を確認しながら、
わくわく感が込み上げてきた感覚もありました。

ふだんは制作体験などをしていただく部屋を特設会場に。

ご登壇いただいたパネリストは、
山陽小野田の藤田剛二市長。
CLASS GLASS アーティストの
西川慎氏(午前の部)と池本美和氏(午後の部)。
昨年よりガラスのブランド化推進事業にご協力いただき、
CLASS GLASS のブランディングを支えてくださっている
日本デザインセンター クリエイティブディレクターの矢内里氏と
三越伊勢丹の関一成氏。

藤田市長と西川氏。
矢内氏と関氏。
午後の部は、池本氏もご登壇。
(みなさま、オリジナルTシャツが似合っています。)

午前の部の冒頭では、
この日ファシリテーターを務めた
日本デザインセンターの大川高志氏から、

このブランドはみんなに親しまれるブランドなので、
関係者の自己紹介の挨拶も、ご来場いただいたみなさまに
親しみを感じさせるものでないといけません!

というお話があり、トークショーは、まず厳しいお題付きの自己紹介へ。
お一人ずつ「好きな食べ物」の発表を義務付けられるという
ほがらかな滑り出しでトークが開始しました。

ちなみに自分の好きな食べ物はカツカレーという大川高志氏。

(※好きな食べ物の回答は、この記事の最後に)

本題に入ったトークは、
山陽小野田市が、ガラスアートの街になっていった歴史や、
CLASS GLASSの将来のイメージ、
さらには、ポスターや会場装飾のデザイン的な解説、
予定しているこれからの取り組みの話など。

また、4人それぞれの立場から感じる
CLASS GLASSの魅力やブランドへの思いを、
大いに語っていただきました。

これまでのこと、これからのこと、語りたいことはたくさん。
山陽小野田の風景と作品をひとつなぎにしたポスターたち。
竹内傳治先生の作品もご紹介。
うんうん、とリアクションしていただき、パネリストたちがますます饒舌に。
作家のみなさんが最初は少し怖かったです(笑)、という爆弾発言も。


途中、山陽小野田のガラスアートの歴史に欠かせない人物である
故・竹内傳治先生のことを尋ねられた西川さんが、
感極まり言葉を詰まらせてしまう場面もありました。

「竹内先生の最後のアシスタントがぼくでした。
竹内先生は、ぼくをこの街に引き寄せてくれた恩人です」
と語ってくれた西川氏。

ガラスアートで故郷をもりあげようと
市と一緒に活動していた竹内先生が、
その最初の取り組みだった「現代ガラス展」の開催を待たずに
病気で亡くなってしまったこと。

病床からでも電話をかけてきて、
最後の最後までモノをつくれと言われたこと。

第一回「現代ガラス展」の大賞が西川氏だったこと。
準大賞が池本氏だったこと。

それがきっかけで、富山から山陽小野田に移住してきたこと。

そして、生前の竹内先生が、
何かあったらアシスタント(西川氏)に言うようにと
市役所の方に伝えていたのを後から知ったこと。

竹内先生とCLASS GLASS、山陽小野田に対する
西川氏の思いに触れることができた場面でもありました。

涙あり、笑いありとなったトークショーは、
午前の部も、午後の部も、実は予定していた時間を
何十分もオーバーするという展開に。
考え方によっては反省点?かもしれませんが、
パネリストにとっても、参加者にとっても、
いつまでも話し足りない、本当に有意義なトークショーになりました。

最後に、興味深いお話がたくさんあった中から、
パネリストそれぞれのコメントをいくつか抜粋・要約してご紹介します。


山陽小野田市 藤田剛二市長
「ないものねだりではなく、あるもの探し」

ガラスアートの街づくりを20年にわたり、作家さんと共に進めてきました。それをもっと全国の人に知ってもらいたいという思いがございました。そして市民のみなさま、そして地域のみなさま、大変お待たせ致しました。5ヶ月遅れになって恐縮ではございますが、今日あらためてCLASS GLASSを山陽小野田でお披露目する機会となりました。

山陽小野田市がガラスアートのブランド化を考えたのは、地方創生という課題がきっかけです。この本来の趣旨は、私の街は素晴らしいんだと心から誇れる街をつくり、若い人がこの街の魅力を次世代にバトンタッチしていけるように促すこと。その一環として山陽小野田を新たに象徴し、全国発信できるものが必要ではないかと思いました。小野田セメントや寝太郎などに加えて、プラスアルファが欲しいと思いました。これからの地方創生のキーワードは、ないものねだりではなく、あるもの探しなんですね。そういう視点であらためて山陽小野田を見てみると、20年の歴史を持つガラスアートがあった。これをより良いものへブラッシュアップしていこうと考えて活動を続け、今日ここにあるのがCLASS GLASSです。

CLASS GLASS 西川慎氏
「作家たちが、チームとしてつくっていく」

CLASS GLASSは、作家たちがチームになって山陽小野田で表現を磨いていくブランドです。竹内先生がここで向き合ってきたものをぼくらが引き継いで、作家と作家がチームとしてつくっていく。作家一人で思いを込めていた作品以上に、さらに暮らしに寄り添った使いやすいものを目指していくとCLASS GLASSの意味がより深まるだろうと思っています。大量生産のものでもない、一点限りのものでもない、でも大切に使ってもらえる。そんな作品が、CLASS GLASSの象徴になっていくはずです。

山陽小野田市では、すべての小学生が卒業するまでに1回はきららガラス未来館に来て、ガラスアート作りの体験をするプロジェクトが立ち上がっています。1時間から2時間、ふだんならすぐに騒いでしまう児童も夢中になってくれて、できあがった作品を宝物にしたいとか、家族にも兄弟にも誰にもさわらせないんだ、なんて言ってくれる子がいるんですね。こういうモノへの気持ちが、今とても大事なのかなと思います。

CLASS GLASS 池本美和氏
「CLASS GLASSを通じて、山陽小野田を好きになってほしい」

CLASS GLASSは、ただきれいな作品が完成すれば良いという考え方ではなくて、この工房から見える海の景色、竜王山の自然など、山陽小野田という場所に思いを馳せて、そこから感じられたものを込めていくことが大事だと思っています。CLASS GLASSのガラスアートを通じてこの場所を好きになってもらえたり、この場所を通じてガラスアートを好きになってもらえたりするようなブランドにしていきたいですね。

きららガラス未来館で出会う方からいただく言葉が、作家としてとても励みになります。今日も来てくださっている、ガラスアート体験の常連のご夫婦がいらっしゃるんですが、私たちの作品について、ここが新しいね、のようにいつも敏感に反応してくださるんですね。近くで見てくださっている方がいるのは、作家としてとてもうれしいですし、CLASS GLASSは、こういうみなさまとも一緒に育てていきたいですね」

日本デザインセンター 矢内里氏
「このブランドのコアにあるのは『思い』」

CLASS GLASSってこの場所で生まれるからいいんですよね。こんな工房他にないですよと、作家のみなさんから最初に教えていただきました。ポスターにつかっているメインビジュアルは作家それぞれの作品と、山陽小野田の風景を組み合わせたものになっています。

このブランドにたずさわったばかりの頃は、作家の個性が大事なブランドだと感じていましたが、作家のみなさまや市長のお話も伺いながら、このブランドのコアにあるのは「思い」なのかなと思うようになりました。最初にあったのは故・竹内傳治先生の思い。その思いを市の皆さんが受け取り、西川さん、池本さんが受け取り、ほかの作家の皆さんへ受け継がれて、周りの方々に応援されて、市長がよーしブランド化するぞ!と。「思い」が全部をつなげているんですよね。

三越伊勢丹 関一成氏
「既存のカテゴリーでは語れないブランド」

百貨店はさまざまなガラスの商品を取り扱っているのですが、CLASS GLASSはリビングのカテゴリーでも、美術のカテゴリーでもない、今までなかったカテゴリーに属されるアイテムかもしれません。現代的でライフスタイル性も高い。まだ始まったばかりですが、これからの展開に可能性を感じています。

百貨店はつねに、お客さまが本当に欲しいもの、インサイトにフォーカスしています。CLASS GLASSは、お客さまがこういうものが欲しいと思っていることを知れば、作家のみなさまの高い技術でそれに応えていけるブランドでもあります。使う人を主語にして、さらに作家性も出すことができる大変魅力的なブランドだと思います。


パネリスト、作家、関係者のみなさまで記念撮影。素敵なトークショーでした。

展覧会情報
CLASS GLASS Exhibition in Sanyo-Onoda
会場:きららガラス未来館
会期:2022年8月6日(土)~31日(水)*月・火曜日は休館日
時間 : 9:00 ~17:00
参加作家:西川 慎 / 池本 美和 / 橋本 倫礼 / 松尾 具美 / 川田 絢子

お問い合わせ:
TEL 0836-88-0064(きららガラス未来館)

パネリストのみなさまの好きな食べ物は?(午前の部の自己紹介より)
・藤田剛二市長:某駅新幹線口のそば(&天ぷら)
・西川慎氏:北九州で食べたうなぎ
・矢内里氏:埼玉の武蔵野うどん
・関一成氏:サロンドショコラで出会ったショコラ

パネリストのみなさまの好きな動物は?(午後の部の自己紹介より)
・藤田剛二市長:Giraffe英語の雰囲気が好きなキリン
・池本美和氏:広島出身なのでカープ(鯉)
・矢内里氏:やりたいことしかやらない鳥
・関一成氏:先頭を走るチーター