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北海道珍紀行その3

サッポロクラシックを胃の中にたくさん入れたのにもかかわらず、なかなか心地良い目覚め。うむ。昨日食ったタラの白子が良かったのかな。

天気はあいにくの曇り空、予報では雨になる。雨が降り出す前に、最北端、宗谷岬へGOだ。朝食付きプランでお願いしていたのだが、9時までだったらしく、のんびりして食いそびれるところだった。9時を少し過ぎていたが何とか無理言って、しっかり朝食を取らせてもらった。

腹ごしらえを済ませ、レンタカーを借り、宗谷岬へ。宗谷岬は、最北端の岬で、地図で言うとロシアに一番近いところだ。天気が良いと樺太も見えるらしいが、今回は無理かな。でも楽しみだ。道は車が少ない。走りやすい北海道の道。次の次の次の演奏会でやる、ショスタコーヴィチの5番をヤンソンス=バイエルン放送響の演奏を大音量でかけながら、向かう。

3楽章が終わるころに、到着。ショスタコーヴィチのアダージョと、この最果ての地が見事にマリアージュ。なんとも言えない感慨に浸りながら、車を降りた。

寒い!
それなりに防寒していたつもりでも、めちゃ寒い。雨はパラつく程度だったが、風がこんなに強いとは。北風と太陽の北風とはまさにこんなものか。本当に吹き飛ばされそう。スマホはやばかった。実際一回落とした。
モニュメントにたどり着いた。最北端!日本の最北端に行ったという事実だけのための、この時間とお金の無駄遣い。最高。頑張って写真撮った。想いに耽るほどの余裕はない。だってめっちゃ寒いもん。

宗谷丘陵にも寄りたかったが、オフシーズンのためか通行止。また今度来ることがあるのだろうか。分からんが、それまでお預けとしよう。稚内や宗谷の人々は間宮林蔵推しで、恐らく立派な方なのだろうが、興味が湧かず、素通り。樺太を発見したのはすごいよね。にしても、ロシアが近過ぎる。というか、シベリアの最果ての地の空気を、少し感じられただけで、大満足。シベリア抑留の歴史は度々出てくるが、稚内でさえこんな感じなのに、その更に北となれば、如何なる困難があっただろうか。その想像力に翼を与えてくれた。いつか、ハバロフスクとか、ウラジオストクとか、ユジノサハリンスクとかに行ってみたい。寒いの嫌いだけど。

次の目的地であるノシャップ岬に向かう。こちらは随分と実務的な作り。近くに自衛隊があるが、以前は米軍基地だったようだ。日本で2番目に大きい灯台らしい。1番目はどこやねん?と調べてみると、出雲日御崎岬らしい。でも灯台の機能を持っているタワーでいうと横浜が1番らしい。まあよく分からんが、2番目ということで、赤白のメデタイ感じのある灯台で、よく働いていそう。寂れていて人っ子ひとりいない。トイレを借りたお土産屋さんの「いらっしゃいませ〜」の声にしか出会わなかった。

ここで偏屈な私は、寂れ度満載の水族館兼科学館(入場料500円)を尻目に、南極越冬隊資料展示コーナー(入場無料?)に向かった。もしかすると、ちゃんと水族館に入らないと行けないのかもしれない。裏道の、柵がわざと通れるようにしてあるっぽいところを潜って、行ってみた。
これが圧巻。タロとジロの物語は小さい頃よく聞かされた。当時の日本で話題席巻だったのだろう。「南極物語」も映画館で観た気がする。そのリアリティを、小さいスペースながら余す所なく展示してある。写真が古く、額縁も古くなっていて時代を感じたが、とても面白かった。管理人さんもおらず、ひとりでゆっくり、とても楽しませていただいた。

タロとジロが稚内出身の樺太犬で、最初の南極探検隊の船の名前が「宗谷」で、犬ぞりの訓練を稚内公園でやったなど、とても縁があるのだと知った。樺太犬はほぼ絶滅してしまったらしい。何だか、切ない。生物多様性とか言ってるのにね。映画まで作ったのに、その保存はされていないのか。

宗谷岬と、ノシャップ岬、そして南極越冬隊の展示を見て、自然の恐ろしさ、自然との共存、そして人間の強さを朧げに再認識。あれだけ寒いと、身体が変化する。何かを本能的に求めているのだ。それを言語化できないが、自動車はすごい。あったかいし、早い。自動車の中にいると、守られている気がする。観光に来ているのに、車から降りたくないと思ったぐらい。横殴りの雨と風に遭遇したことが、もしかすると稚内に来た1番の収穫なのかもしれない。

急にまた雨が激しくなってきた。風は宗谷岬にいたときほどではなかったが、今度は雨の方が激しくなってきたので、そそくさと車に乗り込んだ。次に向かうは、日本最北端の稚内温泉童夢。急にお腹がすいた。温泉に食堂があるらしいから、そこで食おう。美味しい海鮮料理とかあるといいな。

日本で2番目に高い灯台らしい

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