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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ【バトル・フォー・ロスト】



はじめに

この記事は、ニンジャスレイヤーTRPGの自作プラグイン、「ティターン・ニンジャクラン」のテストプレイを目的としたソロキャンペイグン(キャンペーンのこと)のリプレイです。

前のお話はこちら

プラグインはこちら

 今回は、nyamotomoさん制作のソロシナリオ、ニンジャスレイヤーTRPGミニソロシナリオ【ケミカルブルー・アタリメ・チップス】をプレイさせていただきました。ミニマルなデッドリー・ビジョンズの雰囲気が再現された、ゼンめいた美しさのあるシナリオです。28ptスクラッチですぐ遊べる作りになっているので、ぜひお読みの方も遊んでみてください。

あらすじ

 株券ゴルフ仲間のネコソギ・ヒューマンリソース役員の勧めで設立し、近く上場予定だった合弁劣悪労働環境派遣会社の未公開株券を盗まれたネオサイタマ華族大学学長ジョシモト・チュウジョは、盗難直後に株券の奪回をネコソギ社から持ち掛けられたことからこれが仕組まれた詐欺だと気づく。そして彼は半狂乱で諸方のツテを頼るうちニチョームの傭兵に事態の収拾を依頼するに至った。
 オールドコロッサスは当初静観の構えであったが、侠心篤きザクロの勧めと幼きチュウジョ少年との親交の思い出からこれを受任。捜査着手後まもなく株券の位置を突き止め、高層ビルの谷間の秘密の竹林に辿り着いたのだった。

1

 ウシミツ・アワーの鐘の音遠く、空を行き交うツェッペリン群の眼光じみたサーチライトすら届かぬ竹林が、高層ビルのあわいに息をひそめている。
オールドコロッサスはそこに蠢く人影を認める。ニンジャだ。

事前調査
/nd n10
:
10d6>=4 = (1,1,3,1,3,2,1,5,4,5 :成功数:3)
合計値:3
成功。即応+1だ!

 その者は、自身のサイバネティクス・アイの立てる微かな駆動音すら憚るように密やかに、道ならぬ恋人との逢瀬に向かう若者めいた手つきで、その胸に抱えたルイ・ヴィトンのバッグを覗き込む。

「おお……まさに黄金の輝きよ……。愚かな華族の学者には実際勿体なきもの。これを秘密裡にシンジケートに渡すだけで俺は集金部門のトップに……否。この株券の所在はいま俺しか知らぬ。俺しか……」

 ニンジャはうっとりと独り言ちる。その声音には愚かで欲深い大学学長を謀ってみせた油断無きヤクザの冷酷さも、残忍なカラテ略奪者たるニンジャの無慈悲さも存在しなかった。むしろ、護衛対象の貴婦人と駆け落ちするかを迷う少年従騎士じみた憂いを帯びていた。

「俺としたことが、なんたる惰弱なセンチメントか」

 自嘲めいてニンジャが呟いた次の瞬間である。

「ドーモ、我が旧知の落とし物を拾われた方と見える。はじめまして。オールドコロッサスです」

◆オールドコロッサス/シーチ先生 (種別:ニンジャ)
カラテ    1  体力   11
ニューロン  3  精神力  8
ワザマエ   10  脚力   7/-
ジツ     5  万札  14

攻撃/射撃/機先/電脳  2/10/3/3
回避/精密/側転/発動  6/11/-/8
即応/緊急回避     3/6
◇装備、サイバネ、ジツ、スキル
ヤリ、ニンジャブレーサー
☆巨神化の秘儀LV5、★巨神の武具、★★ゲゲネイス・ジツ
●連射2、●大型1×1、●轢殺攻撃1、●即死耐性、●脆弱性:電磁(体力1)
◉◉タツジン:ヤリ・ドー、◉ヒサツ・ワザ:シャドウレス(ムーン・シャドウ読み替え)
◉◉グレーター級ソウルの力
☆◉イサオシのティターン
記憶:◉交渉:超然、◉知識:古代ニンジャ文明、◉知識:高級嗜好品

ビークド・ヤリナギナタを小脇に抱え、もう片方の腕を折り曲げてオールドコロッサスはアイサツした。黒フード付きマントの裾を夜風が揺らし、月を背に巨体のシルエットが朧に霞んだ。

「貴様……!さてはあのトリュフ豚めいた強欲学長の雇われ者か」

ニンジャは情事の場に踏み込まれた色男めいて激しい憎悪の表情を浮かべ、その一瞬後にはヘイキンテキを取り戻していた。彼は手練れなのだ。

 ジジッ、ジジッ、彼は白髯の巨神ニンジャを睨めつけたまま、ゆっくりとルイヴィトンの口を締め、少し離れた竹藪に丁寧に置いた。そして、隙を見せぬイカめいた歩法でオールドコロッサスの前に戻るまえ、戦場に発つ前夜の花婿が妻にそうするように、耐重金属酸性雨コーティングを施されたバッグの表面を優しく愛撫した。

 いま、ニンジャはオールドコロッサスの前に立ち、オジギする。

 重金属酸性雨の雨脚が強まる。笹の葉を雨滴が打つ音が空間を満たす。

◆ブルースクイッド (種別:ニンジャ)
カラテ    5  体力   8
ニューロン  8  精神力  9
ワザマエ   6  脚力   3/N
ジツ     4  万札   5

攻撃/射撃/機先/電脳  6/9/8/8
回避/精密/側転/発動  8/8/7/13

◇装備や特記事項
 ・▶︎サイバネアイlv1
 ・『◉スリケン乱射』、『◉頑強な肉体』、『◉不屈の精神』、『◉ニンジャソウルの闇』
 ・『⭐︎ポイズンブレス・ジツlv3』(基本使用しないがポイズンインク噴射などに読み替えて使ってみてもい。)、
 『★ドク・スリケン(ポイズンインク・スリケン)』

「ドーモ、オールドコロッサス=サン。ブルースクイッドです」

 アイサツからコンマ数秒後。ブルースクイッドはバク転を繰り出すと同時にスリケンを投じた。

イニシアチブ値8>3、ブルースクイッド先制
BS側転・射撃n(443323)h(531522563)>OC回避n(512)
OC轢殺>BS回避n(4)
OC強化精密攻撃e(231)(13666232)>BS回避e(6)n(62)アドレナリンブースト,BSMP8>7
BSドク・スリケンn(5135324416614)
BS集中・スリケン乱射e(451)(553)(516)>OC回避n(54)(64),OCHP11>9
OC轢殺>BS回避n(1),BSHP7>6
OC強化精密攻撃,即応2e(165)(1546154226)>BK回避n(4)u(15)
ヒサツ・ワザ(11),BSHP6>3,OCMP8>7
OCゲゲネイス・ジツ,h(32133666)OCHP9>10
1T終了。OC-BS,10-3

途中からブルースクイッドが●連射2を持っているかのような挙動となったが、面白かったのでそのまま続行した。

「イヤーッ!」

オールドコロッサスはその全てをヤリで弾き突撃する。ブルースクイッドは闘牛士めいた動きでこれをやり過ごす。次の瞬間。

「イヤーッ!」

ブルースクイッドは振り返り様の薙ぎ払い、回避の終わり際を狙った螺旋突き、致命的な攻撃を紙一重で躱す。装束が破れ、一撃ごとにニンジャに死の気配を感じさせた。

「今ので仕留めきれなかったのはまずかったな。オールドコロッサス=サン!貴様の死のカウントダウンは既に秒読み状態だ! その巨体突進の致命的な隙にあわせて投擲される俺のポイズンインク・スリケンで、お前は悶絶しながら死ぬだろう!」

 一本のヒモからブッダ像を作り上げるアヤトリ・マスターめいたブルースクイッドの知略が月光にその身を晒していく。ブルースクイッドは勝利を確信し、その両手の裡に神秘のエテルを練り上げた。超自然の毒を帯びた暗黒の星が、おぞましき叫びを上げながら現世に生まれ出でる。獰悪な猟犬めいて獲物を求め、引き絞られた強弓めいて血に逸る、イカ・ニンジャクランの秘術、ポイズンインク・スリケンだ。

「イイーヤヤヤヤヤヤヤ!」

ブルースクイッドは猛毒のスリケンを連続投擲する。オールドコロッサスは払う。弾く。しかし避けきれぬ。フード付きマントに穴が開き、ブレーサーにも傷が残ってゆく。

「取ったぁ!」

ポイズンインク・スリケンの一枚がオールドコロッサスの肩を捉えたのを見て、ブルースクイッドは快哉を挙げた。そこまでだった。

「アバーッ!」

ブルースクイッドはすれ違うビークド・ヤリナギナタの刃が月光に白むのを見た。影も残さぬイアイじみた斬撃。彼の眼に見えたのはそこまでだった。

「これが、我がヒサツ・ワザ、シャドウレス。ブルースクイッド=サン。株券を返せ」

 向き直る巨神ニンジャの肩の傷は音を立てて塞がっていく。ゲゲネイス・ジツ。その身を裂かれたブルースクイッドの流血は止まらない。

「お、おのれオールドコロッサス=サン。回復のジツを計算して俺のスリケンを受けきり、投擲の隙に必殺の一太刀を浴びせたというのか……!」

ブルースクイッドはよろめき、己を強いてカラテを構えなおした。

「然り。君の勝ち目はもはや薄い。株券を返して退散せよ」
「ポイズンインク・スリケンへの俺の絶対の自信を逆手に取り、俺の熟練のスリケン投擲の隙をもついてみせるとは……何たるカラテ、何たる戦巧者か。貴様ほどのニンジャがなぜ組織にも属さず便利屋の真似事をしている……。いや、詮無きことを言うまい。俺とて剽悍決死のソウカイ・ニンジャ。ここで果てるとて貴様をサンズ・リバーの道連れにしてくれるぞ」

BS集中・スリケン乱射e(435)(136)(621)>OC回避n(52)(61),OCHP10>8
OC轢殺>BS回避n(2),BSHP3>2
OC強化精密攻撃e(221)(31156553)>BS回避n(323),BSHP2>1,OCHP8>9
BS集中・スリケン乱射e(662)(636)(226)>OC回避n(41)(53),OCHP9>7
OC轢殺>BS回避不能、BSHP1>0,爆発四散

 ブルースクイッドはセンシの貌で再びバク転し、オールドコロッサスに向けてポイズンインク・スリケンを連続投擲した。

「イイーヤヤヤヤヤヤヤ!」

オールドコロッサスまで届いた三つのスリケンのうち、二つが弾かれ、残り一つが腿に突き刺さる。しかしその代償としてブルースクイッドも突進と振り返り様の電撃的な薙ぎ払いを回避できぬ。

「グワーッ!」

 オールドコロッサスの傷は依然塞がりゆく。黒いマントが翻り、次の突進が来る。ブルースクイッドの主観時間が泥めいて鈍化し、引き延ばされた一瞬のうちに無数のイマジナリー・カラテを繰り広げる。連続側転を打って間合いから離脱するか、あるいは自分から距離を詰め、ワン・インチ・カラテの死地の中に活を見出すか……。

 そして、遂にブルースクイッドは怯まず、 最後まで己の暗黒の護り星を信じた。

「イイーヤヤヤヤヤヤヤ!」

オールドコロッサスまで届いた三つのスリケンのうち、二つが弾かれ、残り一つが二の腕に突き刺さる。しかし。

「イヤーッ!」

三度目の交錯時、雷光めいた速度のヤリ斬撃がブルースクイッドの上下半身を分断していた。

「オノレ、この無念……」

 ブルースクイッドは悟った。己はあの巨神ニンジャに一矢報いることもなく、未公開株券を残してここで滅ぶのだと。この誰顧みぬ竹林が、己の最期の地なのだと。

 それでも、上半身のブルースクイッドはバッグの方に腕を伸ばした。死病の床で恋人の手を求める老いた娼婦のように。そして、そのまま数十センチ這い、力尽きた。

「サヨナラ!」

ブルースクイッドは爆発四散した。

 オールドコロッサスはルイヴィトンのバッグを拾い上げ、中身を確認すると、株券を一枚だけ引き抜いてブルースクイッドの爆発四散痕に置いた。

 巨神ニンジャはそのまま足早に依頼人、チュウジョ学長との待ち合わせ場所に向かう。あの子の困り顔には昔から弱かった。オールドコロッサス……シーチ先生は若き日、電子戦争直前の家庭教師時代を思い出し、溜息をついた。

 オールドコロッサスが去った後、竹藪には株券一枚と、その上に重しめいて転がる機能停止したサイバネアイのみが残されていた。ブルースクイッドはあの株券をいかに処すつもりであったのか、それは謎として失われた。

 もはや、この忘れ去られた竹林を訪れる者はなくなり、気まぐれな月の光のみが笹の葉の上の雨滴と戯れて、株券一枚の上のサイバネアイの無聊を慰めることだろう。恐らくは、永遠に。

【バトル・フォー・ロスト】終わり。余暇へ続く。

名声獲得判定
/nd 2d6
:
2d6 = (1+3)
合計値:4
これで万札15、余暇2、名声1を得た!

DIYニンジャ名鑑

◆忍◆DIY名鑑#24【ジョシモト・チュウジョ】◆殺◆
非ニンジャ。50代前半の若さでネオサイタマ華族大学の学長を務める、華族の中でも最上級の家格を誇るグロリアス・ファイブの一つチュウジョ家当主。アサノサン記念科学賞、ネオサイタマ知事顕彰など数多くの輝かしい業績を誇る科学者であり、その研究室は所属学生のカロウシ率60%を超える猛烈な献身で知られる。

◆忍◆DIY名鑑#25【ウインドストレージ】◆殺◆
ムシボシ・コンサベーション社の企業ニンジャ。電子戦争経験者であり、その名は虚空から補給物資を出現させるウインドストレージ・ジツに因む。後方支援が主な役割だが、物品回収が必要なミッションでは前線に同行し、ジツで取り出す大量のバクチクで障害物の除去や敵車両の排除を行う。

あとがき

 今回、シーチ先生にはミニマルでタフなイクサ、デッドリー・ビジョンズをモデルにしたシナリオに挑んで貰いました。なぜかブルースクイッド=サンの連射値がパワーアップするというハプニングもありましたが、前回取得した手番回復の★★ゲゲネイス・ジツを活用して被弾をコントロールしながら★巨神の武具で攻撃難易度を下げてダイスを偏らせ、ヒサツ・ワザを積極的に狙うスタイルを確立させられました。現状、能力値合計は24と控えめながら、ジツ5ヒサツ有精密ダイス11と既に相当強いので、次回は28スク向け+@位のシナリオを作っていってプレイすることになりそうです。割と序盤から万札をサクサク稼げたのが大きいですね。

 ストーリー面では、デッドリービジョンズ及びnyamotomoさんのミニマルなシナリオをリスペクトし、決断的に戦闘前をあらすじ化、事後はバッサリ余暇リプレイに回しました。
 それと、本格登場は次回余暇ながら、最初のお話で株券ゴルフばっかりしてるトリュフ豚とシーチ先生が憤慨していた学長が登場しました。今は相当ろくでもない人物ですが、昔は馴染みがあったようですね。
 そういえば、次回からはちょこちょこDIYシナリオでのプレイが入ります。キャンペーンのお話も一気に動いていきますよ!

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