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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ【ユサーパー・オブ・ザ・スプリング】(前編)



はじめに

この記事は、ニンジャスレイヤーTRPGの自作プラグイン、「ティターン・ニンジャクラン」のテストプレイを目的としたソロキャンペイグン(キャンペーンのこと)のリプレイです。

前のお話はこちら

https://note.com/clarimonde/n/n26fc45ecdec7

プラグインはこちら

https://note.com/clarimonde/n/n0a71db5fd156

今回は、自作シナリオをシーチ先生がNPCと2人(+1人)で挑戦する運びとなりました。マップありの戦闘でリプレイが非常に長くなったため、複数回に分けてのリプレイ投下となります。この記事はまだ戦闘には入らない、顔見せめいた回ですが、お楽しみいただければ幸いです。

1

「……しかし、言語学的再建の結果二者の関係を推理したとして、考古学的サポートを軽視しては砂上の楼閣というものでは?」
「ムムム、全くその通りですな。しかし、出土品や遺構の調査に偏り文献を軽視した結果せっかくの発見が見当違いの方向に比定されてしまうことも多かったかと」
「いや、それを言われてはこちらも頭が痛いところ……。お互い悩みは尽きませんね。シーチ=センセイ」

 西の重金属汚染雲の端が赤く燃えるような黄昏時、岡山県の山道を行く二人の旅人あり、その会話は時に白熱しつつも共に禅TANKに興ずるティーンエイジャーのごとし!この永遠の少年二人こそはネオサイタマ華族大学の古典学講師、シーチ・シャオタ先生とネオサイタマ大学考古学教室を預かるウミノ・スド教授である。

 彼ら二人は平安時代、メリッサ・ニンジャが残したというマキモノの謎を追ってネオサイタマからここ、岡山県のリトル・フロリダに調査に訪れていたのである。互いに知的刺激を与えあう学究の徒二人の前には岩がちな山路の険も問題となっていない!

「カナト・ヴィレッジはこの先のはずですが……」
地図を手にウミノ教授が訝しんだ。もう地図の上では随分と村に近づいているのにも関わらず、何の生活の痕跡も見当たらないのだ。その時!

「ウミノ=サン!アブナイ!」
シーチ先生……巨神ニンジャ、オールドコロッサスがウミノを庇って前に出る。一瞬後、飛来した数本のボウガンの矢をそのビークド・ヤリナギナタが薙ぎ払っていた。

「デアエアバーッ」「デアエー……」
攻撃が失敗したとみて道の両脇に聳える岩山から這い出た人影二つ。一見して17世紀の船員めいたボロボロの異様な風体である。そして、それらの眼窩には眼球の代わりに超自然の火がセントエルモめいて揺らめいている!屍めいた不死の海賊だ!

「アイエッ!?」常識外の怪物を目の当たりにしてウミノは驚愕!
「ウミノ=サン。私の前に出ぬようにお願いしますぞ!」
これは明らかにニンジャの領域!オールドコロッサスは夕陽差す中カラテ纏うヤリの刃を朱紫に染めつつ躍りかかる。

「イヤーッ!」「アバーッ!」
左の海賊がカトラスを振りかぶる前にビークド・ヤリナギナタがその首を切断殺!

「ア「イヤーッ!」「アバーッ!」
右の海賊がボウガンを放つ前、横薙ぎ切断のモーメントのまま一回転したオールドコロッサスの斬撃が上下半身分断殺!ワザマエ!

「も、もう安全でしょうか……」
ザンシンするオールドコロッサスにおそるおそる声をかけるウミノ。しかし!
俄かに感じた後方からのキリングオーラにオールドコロッサスは己のウカツを恥じた。ナムサン!囲まれている。

「「「デ、デ、デアエー」」」
指揮官らしき大型個体がカトラスを掲げ、残りの不死海賊が一斉にボウガンを構える。オールドコロッサスの主観時間が泥めいて鈍化し、無数のイマジナリー・カラテが繰り広げられる。

 ウミノの前に立ち矢を全て叩き落すか?サスペンド。攻めに回れねばジリー・プアーだ。では切り込んで指揮官個体とその近くの数体を殺すか?ネガティブ。不死海賊の知能次第ではウミノがハリネズミだ。ウミノを背負って逃げるか?ネガティブ。どこに逃げ場があるというのだ。

2

 オールドコロッサスは覚悟した。一矢とてウミノには届かせぬ。見えぬ攻勢の機まで、何十何百だろうと矢を弾き続ける。ダンノ海峡のベンケ・ニンジャめいた悲壮なるアトモスフィアで彼がウミノを庇おうとしたその時である!

◆アメデオ/義侠のニンジャ (種別:ニンジャ)
カラテ    6  体力   8
ニューロン  7  精神力  8
ワザマエ   9  脚力   5/N
ジツ     1  万札   30

攻撃/射撃/機先/電脳  6/9/8/7
回避/精密/側転/発動  9/9/9/8
即応/緊急回避     4/1
◇装備、サイバネ、ジツ、スキル
刺突剣(カタナ)、ニンジャレガース、オーガニック・スシ
☆謎めいたニンジャソウルLV1
●連射2、●時間差、●マルチターゲット、●隠蔽(このニンジャは真の実力を隠蔽している)
◉◉タツジン:イアイドー、◉針の穴、◉バック転回避、◉電光石火、◉翻弄
◉交渉:超然、◉知識:?????、◉知識:高級嗜好品

「貴きお方とその友の窮地とあらば、見過ごしては義に悖ろうというもの。さて、街道の紳士諸君。この私がお相手しよう」

歌劇場めいた声が響いた一瞬後!

「「「アバーッ!」」」

突如現れた怪傑ゾロめいた存在のマントが翻った。魔術じみて華麗な刺突剣の軌跡が閃き、コンマ数秒で左翼数体の不死海賊が倒れる。タツジン!

 そして、その新手のニンジャが作りだした僅かな混乱は、ヒアス・ニンジャのワザマエを継ぐオールドコロッサスにとって戦況をひっくり返すのに十分な余地だった。

「イイイヤアアアーッ!」
渾身の薙ぎ払いに、一合で右翼の不死海賊ことごとく上下半身分断殺!
そのまま死のコマ回しめいて中央に突進、指揮海賊断頭殺!すかさず首なしの体をヤリのビーク(嘴)で引っ掛け、左翼、ボウガン装填中の個体に向けて投げ飛ばす!

「「「「アバーッ!」」」

数体が圧し潰され隊伍が乱れる。そこにすかさずマントを翻し、怪傑ニンジャが切り込んだ。
「華麗なイクサを好まれる。御身とは気が合いそうですな!」
オールドコロッサスに呼びかける声はあくまで軽妙。されど針の穴を通すごときフェンシング・ドーの太刀筋は無慈悲だった。銀の軌跡が天気雨めいて降り注ぎ、左翼不死海賊全滅!

「ひとまず敵の気配はもうありませんぞ。ウミノ=サン。お怪我はなかったかな?」
敵勢が討ち果たされたのを確認したオールドコロッサスが、物陰にうずくまり隠れていたウミノを助け起こす。
「アイエエエ……。いえ、実際大丈夫です。しかし何と異様な……」

「ヴァイスアドミラル。かの村を私する奸悪のニンジャです。あれは恐らくはそやつが何らかの手段で作り出したミニオンといったところでしょうな。いやはや面倒だ」
「カナト・ヴィレッジに何が起こっているかご存じなのですか?そして、ご助勢実際感謝申し上げる。ドーモ。オールドコロッサスです」
オールドコロッサスは助太刀ニンジャに向きなおる。その顔立ちは実際珍しい南欧系だ。

「これは、私としたことが。貴人に先にアイサツさせるとはシツレイの極み。ご寛恕ありますように。ドーモ、アメデオとお呼びください」
「我々はフィールドワーク中の考古学者と古典学者なのですが、そちらは」
芝居がかったオジギをするアメデオに、オールドコロッサスはその身元を尋ねる。岡山県の辺境にあって通りすがりの旅行者に加勢するニンジャなどそうおいそれと受け入れられるものではないからだ。

「いえ、存じておりますとも。ネオサイタマ華族大学のシーチ・シャオタ=センセイとネオサイタマ大学のウミノ・スド=センセイとお見受けいたします。本来イクサの場に穢されてはならぬお方ながら、なかなかどうしてイクサの達者であられる」
アメデオはオールドコロッサスを賞賛しつつ、その不審の視線に根負けしたかのように続ける。
「……この身は通りすがりの義侠のニンジャ……それでご納得いただけぬなら、かのヴァイスアドミラル=サンを討たんとするニンジャと見知りおかれよ」

「つまり、我々の利害は一致していると」
「利害!何と寂しい仰りようか!否、奥ゆかしくあられるのですな。ならば実際その通りです」
アメデオは仰々しく天を仰いだ

「では、そうですな……アメデオ=サン。カナト・ヴィレッジの危険を排除するという目的で……」
「ドクロめいた月にかけて。御身の介添人となりましょう。オールドコロッサス=サン」
オールドコロッサスの意図に先回りするアメデオはあくまでにこやかだ。

「むろん、ウミノ=センセイの身の安全にも最大限注意を払っていただく。これも譲れぬ線です」
「当然でしょう。しかし友誼に篤い方であられる。ウミノ=センセイ。よきご友人を持たれたな」
釘を刺すオールドコロッサスを、アメデオは柔和に受け入れた。水を向けられたウミノが頷き、日の沈んだ岡山県の山道に響く足音は三人分となった。

3

 カナト・ヴィレッジ郊外、一見尋常の野営めいた拠点を描写する前に、心臓の弱い読者の方々には十分な心の準備をしていただくように!その邪悪なる陣地には、岩や木と言った建材の他に……おお!人骨が使われているのだ!そしてその中の一際大きな幕屋では、いま邪悪な二つの影が蠢いていた。


触腕系ジツスキルはリンク先記事を参照のこと
◆アズールデス/サザナミ・ニンジャ憑依者 (種別:ニンジャ)
カラテ    5  体力   13
ニューロン  7  精神力  12
ワザマエ   11  脚力   6/N
ジツ     5  万札   0

攻撃/射撃/機先/電脳  6/12/7/7
回避/精密/側転/発動  12/14/11/13
即応/緊急回避     -/-
◇装備、サイバネ、ジツ、スキル
**触腕**、伝統的ニンジャ装束
☆攻撃指揮(スウォーム・ジツ)LV3、★触腕系ソウル、★★タツジン:テンタクル・カラテ
●連射2、●時間差、●マルチターゲット、
◉◉アーチ級ソウルの力、◉◉グレーター級ソウルの力
★◉触腕スリケン投擲、◉ニンジャソウルの闇、◉スリケン痛打、★★★◉半神的存在

「それで、我らに仇なすニンジャが向かっているというのか、ヴァイスアドミラル=サン」
両肩から触腕を生やす異形のニンジャが、フック船長めいた凶相のニンジャにうっそりと語りかける。その傾ける盃に揺れるのは……ナムサン!血のサケだ。

「ハーッ!実際我が首を狙う惰弱なる古巣の追手と存じます!」
凶相のニンジャはドゲザ姿勢、恐る恐る触腕のニンジャを見上げている。

「ドゲザとは、ハハハ。おれがそなたを責めているようではないか。オモテを上げよ、ヴァイスアドミラル=サン」
「じ、実際慈悲深きお言葉!されど彼奴らはアズールデス=サンを知らずに飛び込んできた愚昧の輩と存じます。ついては……」

「それは実際モスキート・ダイブ・イントゥ・ベイルファイアな。良い。そなたの虫のいい要求を容れてやろう。おれが皆殺せばよいのだろう。いまだ小勢といえど、我が水軍の慣らしにもよい」
「ぎ、御意にございます。神算にして仁慈のアズールデス=サン、バンザイ!」
 ヴァイスアドミラルは俄かに立ち上がり、バンザイで主君を褒めたたえる。

◆ヴァイスアドミラル/堕ちたるアクシス (種別:ニンジャ)
カラテ    10  体力   16
ニューロン  5  精神力  4
ワザマエ   7   脚力   5/N
ジツ     0   万札   0

攻撃/射撃/機先/電脳  14/8/6/7
回避/精密/側転/発動  13/8/7/6
即応/緊急回避     -/-
◇装備、サイバネ、ジツ、スキル
▶︎生体LAN端子LV1、▶︎▶︎▶︎テッコLV3(▷電磁クローアーム、▷内蔵型火炎放射器)
▶︎クロームハートLV1(▷第二の心臓)
●連続攻撃2、●連射2
◉重サイバネ、◉不屈の精神、◉突撃、◉ニンジャソウルの闇、◉電子的デジャヴの読み取り、◉戦略視界ナビ

 ここで読者の皆様には、タイコモチめいて諂うヴァイスアドミラルも凄まじい手練れのサイバネ戦士であり、ごく最近までアマクダリ・アクシスの一角を担っていた精鋭であることを申し述べておかねばなるまい。では、なぜその精鋭がグレーター・ヤクザの顔色を窺うワカモノめいて小心翼々、媚びを売っているのか。

 その答えは実に単純だ。このアズールデスこそは古のアーチニンジャ、カツ・ワンソーの水軍の将星たるサザナミ・ニンジャを宿し、その強大なソウルの衝動と自身生来の妄想癖及び残虐性のケミストリーにより無道のニンジャキングめいた存在となった生ける悪夢であるからだ!

4

 同時刻、深夜のカナト・ヴィレッジに辿りつく三人の旅行者の姿有り。即ち、オールドコロッサス、ウミノ・スド、……そして義侠のニンジャを名乗るアメデオ!宿を乞う一行を震えながら出迎えたのは過度のストレスに幽鬼じみて衰弱した村長であった。

 奥ゆかしい、しかし少し奇妙な、ジョージ三世様式と江戸様式が折衷された邸宅にあって、ニンジャ二忍は奇妙な未知のニンジャソウル痕跡を感知して警戒し、ウミノ教授はその独特な意匠を撮影していた。

情報収集判定:ニューロン+ワザマエU-HARD
/nd u15
:
15d6=6 = (4,5,1,1,2,5,4,6,2,2,3,4,3,4,3 :成功数:1)
合計値:1
成功!即応+1を得ます

「シーチ=センセイ、これはブルズアイかもしれません!このお宅の建築様式には明らかに古代ニンジャ文明のそれが簡略化されたような要素が含まれています!」
ウミノ教授が高揚してオールドコロッサスに報告する。

「これはヴァイスアドミラル=サンの他にもニンジャがおりますな。ちと厄介かもしれません」
一方、アメデオは眉を顰めてみせる。

「……つまり、古代ニンジャの遺物遺跡のありかねぬ土地で、ニンジャが寄り合って屯していると。穏やかには終わらんでしょうな……」
オールドコロッサスは窓に倚って物憂げに夜空を見上げる。重金属汚染雲が風に流れ、一瞬顔を出した髑髏めいた月は、確かにオールドコロッサスと目を合わせ、嘲笑うかのようだった。

あとがき

 いよいよ小さいとはいえマップまで自作したシナリオでのリプレイが始まります。これまでは一話一記事を徹底していたのですが、救いがたい長さになったため決断的に分割しました。これを多人数でやってるオンセ勢の方々はほとんどブッダ。

 さて、この記事はほぼデータ公開と導入のお話になります。敵味方とも複数のイクサをやってみたかったのですが、ウミノ教授にこの時点でニンジャとなってもらうわけにはいかないため、少々胡散臭い伊達男を28ptスクラッチまでナーフして決断的に投入しました。少なくともこのシナリオ内ではずっと味方でいてくれそうですが、その正体は何ッシュバックラー=サンなのか、推理をお楽しみくださいませ。

 敵の方は触腕系ジツスキルのテストも兼ねたデータになります。シトカに降り立った余裕たっぷりの本忍とくらべて明らかにニューロンがあかんことになっているアズールデス=サンと、脅威のテッコLV3を貰っておいてヌケニンかましたヴァイスアドミラル=サンがどのように戦うのか、次回をお待ちいただければ幸いです。

次のお話


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