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香港に行ったこと 3

5年ぶりに再会した友達のMさんと歩き出し、この街を案内してもらう。
金鐘(Admiralty)という街はビジネス街でもあり、裁判所や官庁もあるフォーマルな街。その印象から意外だったのは、猛烈に自然豊かな公園が近くにあることだった。お昼ご飯を食べに、公園内の店に向かう。

飲茶

白い館の立派な建物は飲茶の店だった。人を招いたり、パートナーの親と会うとかそういうちょっと大事なときに行くような良いところ、というイメージ!私はさほど高価でなくても香港の人が普段使いして親しむような店に連れてもらえれば十分と思っていたが、Mさんがわざわざここを予約して案内してくれたことに歓迎の気持ちを感じた。

その白い館、羅桂祥茶藝館


香港には、料理を食べたりお茶を飲みながらおしゃべりをして、家族や友人と親交を深める"飲茶" (ヤムチャ)という文化がある。ここはほかの飲茶店と違い、お茶のラインナップに力を入れていることと、料理に肉を使っていないところが特徴だった。

お茶の種類は緑茶、白茶、黄茶、青茶に分類され、発酵の度合いで種類がわかれているらしい。日本茶の分類とは全く違っていて面白い。お湯を足しさえすればお茶を永遠に飲めるため、じっくり食べながら、飲みながらたくさんのことを話した。

お茶だけでこんなに種類が…
右から時計回りに、大根餅、尖叶、腸粉、蒸し餃子
体に良さそうなプディング、絶品


香港公園

この香港公園はイギリス統治時代には軍の兵舎がある土地だった。兵舎が取り壊された現在は自然豊かな公園となり、美しい野鳥の声が聞こえるし、見たことない蝶も飛んでいる。絵画になりそうな池も美しく、人工的に洞窟のような道や滝まで作っていて、ディズニーの施設みたいだった。さらに中に残されているイギリス時代の立派な建築が、現在はドライブ婚姻登記所として使われている。大都会の中で自然保護がしっかりされて、人が過ごすにも快適で、周辺で働いている人は公演で昼飯を食べることもできるのかと羨ましく思った。Mさんにとってもこの公園はとても大事な場所のようだ。

展示でもやっているのかと思ったら、元々これだけ多くの生態が生息しているらしい…


周辺の個性的建物も好物


ビクトリアを目指して

私たちは、ビクトリアピークに向かおうとする。香港島の山の上にある、100万ドルの夜景を一望できる観光地だ。王道のケーブルカーでのぼると眺めが良いらしいが、その乗り場を見たら長蛇の列が何重にも折り返していた。その様子を見たら並ぶ気が起こらず、Mさんの提案でバスで向かうことにした。…しかし香港のバスの運転はなかなかスリリングなのではないか!?と私は構えたいた。

バスは2階建が多い

「大丈夫!運転士さんはプロだから」

Mさんの言葉を信じよう…ドキドキしながら乗車。バスもバスで混んでおり、景色の良さそうな2階席を選ぶなんて余地はない。通路まで人がいっぱいだった。乗り込んでたまたま空いていた一席に、「クララさんはここに座って!」とMさんが譲ってくれ、Mさんは人混みの奥へ消えた。私は1階席の一番前に縮こまるように座り、プロの運転士の手さばきと景色を見ることにした。

高さのあるこのバスが、交通量のある市街地を走るそれだけでもスリリングだ。バスは停車場に停まるにつれどんどん客が増えて行く。途中からギュウギュウになり、乗ってくる人に向かって乗客が「もう乗れない!」「満員!」みたいなことを伝えているように見えた。乗ろうとする人たちだって乗りたい。そうして言い合っていると、最後には運転士さんの鶴の一声で乗車の可否が決まり、静かに扉が閉まって発車するのだった。

これから山へ向かうことがとても信じられないぐらい大都会の景色が続いたが、いつの間にやら勾配のある道を走っていて、別荘やホテルの看板が見え、バスはビルの高さを超えていった。2階席でなくとも、どうせ高いところに登るのだから景色の美しさは楽しめた。

山と聞いたものだから蛇行した道をすごいスピードでウネウネと進むのかと想像していたが、さすがに高さがあるバスは慎重で、丁寧な運転だった。それでも車道で別の2階建バスとすれ違うたび、「ヒュオ〜!ぶつかるぶつからない〜!」とヒヤヒヤした感覚を味わった。


ビクトリアピーク

バスは2〜30分でピークに到着した。久しぶりにMさんに会って、楽しめたことを伝えた。山頂と言っても本当の山頂ではないのだが、とにかく山のそんな高いところにまでも大きなホテルや商業施設などの建物がドカドカ建っている。これからトレイルコースを歩くため一度大きな建物に入館して、涼んだりトイレを済ませたりした。

こういう具合に建物がいっぱい
ワンさんも来れるカフェ
ゲームコーナーにあった親しみを感じるもの



山道の散歩

ビクトリアピークからは、平坦で歩きやすいトレイルコースが張り巡らされている。イギリス統治時代に整備されたこの道は、電灯や柵が当時のまま残されていて、曲線のあるデザインがいちいち洒落ている!鬱蒼とした亜熱帯の自然にイギリス要素が入っている混在感が、見たことのない不思議な景色だった。

電灯


山道を歩いていると景観の良いスポットが何度も現れ、そのたびに写真を撮る。自分は山にいながらビルは一望できるし、海も見えるし、香港という街は本当に小さくて、あらゆる要素を密集させているんだなあと思う。

香港島から海を挟んで九龍半島を望む


香港、なぜこのような街並みになったか

Mさんが解説してくれたことも交える。アーバンな印象が強い香港だが、実のところ面積の6割ほどは山地で、自然が多く残されている。香港を統治していたイギリス政府は1800年代後半、真水不足の問題を解決すべく貯水池を作り、良い水質を保つよう自然を保護することにした。しかし1960年代から人口が急増すると貯水池の水だけでは足りなくなり、中国から水を引くようになり、現在まで至る。

残りの限られた場所が市街地になり、人口も増え続けるから建物はどんどん高くなる。その密集地で重視されていることは、ビジネス!経済を回すこと!(経済の街になったのは色んな経緯があるが) 東京よりも人口密度が高いこの街はあらゆるもののスピードが速く、それは地下鉄の駅のエスカレーターの速さ、飲食店で回転率を高くするため相席になりやすいこと、不動産の物件の売り方など、あらゆるところに表れている。東京とは質の異なる都市感、スピード感を感じるのだ。


美しい夜景でなぜかフラッシュを焚いて失敗


夕焼けのグラデーションと霞んだ空が美しかった。日が暮れてもビルが点灯して夜景を一望でき、分刻みで変わる景色が美しかった。
暑さと汗でずっと体がペトペトしてるけど山では風が吹き、市街地にいるよりは快適だった。

自然の夜道は暗くて本当におっかない。Mさんはビクトリアピークからのこのコースが好きでよく歩くらしいが、一人だったら絶対に歩かないと言っていた。私も、Mさんがいたからこそ歩けたものだ…


香港大学

一時間半ほど歩いた先に、名門、香港大学に到着。正門ではなく、たぶん裏から入ったんだと思う。学長の邸宅らしきものを遠目に見てから、キャンパスの探検に入る。

中華っぽい格子
キャンパス一部は工事中。「安全第一」に♡をつけてるのがかわいらしい




入館すると、キンっと冷たい冷房を感じる。香港の建物はどこもそうだが冷房がとにかく強い。"羽織りものを持っていった方がいい"とガイドブックに書いてあるぐらいだ。私は冷房が苦手だから心配だったが、実際香港の夏の暑さを体感してみると、この冷房がちょうどいいというか、少なくとも山頂から一時間以上歩き続けてようやくありついた香港大学の涼しさと清潔感は、暑さから解放された達成感と癒しを感じた。

キャンパスを見ると、学生がどんな日常を送っているのか想像してワクワクする。ダンスサークルのような人たちが練習している様子も見えたが、今は夏休み中で、学生の姿はかなり少ない方らしかった。




学食ディナー

本日のディナーは香港大学の学食にて。ヘトヘトになった体にエネルギーチャージ。一念素食というベジタブルオンリーの食堂に入店する。

温かいケース入った惣菜が20種類くらい並んでいて、好きな分だけとって量り売りするシステムだった。ライスとスープは料金に関係なくおかわり自由。これは小食にも、たくさん食べる人にも、どちらにとってもありがたい!

惣菜をモリモリ取ってしまったからライスは不要に思っていたが、Mさんが炊飯器を開けたときに見えた細長いライスが美味しそうに見え、やっぱり自分も米をよそった。具沢山のスープももちろん。「スープの具は全部食べなくてもいいからね」とMさん。


種類がとにかく多くどれが何味だったか忘れてしまったが、煮物とか、焼いたものとか、なんの野菜だか最後までわからなかったけど美味しかったやつとか。ピーマンの肉詰めみたいにズッキーニになにか色々詰めたものも良かった。

そしてスープ。野菜の優しい味で美味しい。椎茸の茎がゴロッと入っていたり、なにかの具を噛んでいたら種が出てきたりした。料理にあんまり使わない部分をスープの出汁にしているのかもしれない。全部食べなくてもOK。そういうものらしい。

今日はたまたま野菜オンリーの日になったが、私は毎日むやみに無意識に肉を食べていて、たまにはそれがない日があってもいいと思った。物足りなさが全くなく満足したからだ。

学食


駅まで一緒に帰る。Mさんは明日、旦那さんとその友達を伴って1日遊んでくれる。明日の予定をざっくり決めて、MTRに乗った。

私のTシャツは汗でびっしょり。滞在日数分以上のTシャツは持ってきたけれど、汗まみれのTシャツを洗わずに放置したくない…宿でコインランドリーを使おうとしたが、6台中5台故障していて1台しか使えないという競争率の高さで洗濯待ちの人がいたことと、疲れもあり、今日のところは寝ることにした。

金鐘の高級スーパーに売ってた福井の水


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