見出し画像

近代建築三大巨匠とは。落水荘とファンズワース邸を見たくて、旅に出た。

唐突にはじまる旅のお話・・・
スタッフN編

社長の話はコチラ↓

スタッフYMの話はコチラ↓


先日、仕事中にパスポートの話になり(なんでだったかな?)
海外に行ったことのある人、といった会話から
数年前に行ったアメリカ旅のことを思い出しました。

2017年(あっという間に7年も前の話のようです)の11月
建築の三大巨匠でもある
フランク・ロイド・ライトの「落水荘」
ミース・ファン・デル・ローエの「ファンズワース邸」を見るために
アメリカに行ったことがあります。
(三大巨匠のもう1人はル・コルビュジエ ※社長旅ブログで紹介していました。)


建築学生時代に授業の「教科書」として配布されたCasaBRUTUS 2006年発行です。
今も時々眺めたりします。付箋はアメリカ旅へ向けてリサーチしていたときに貼ったものです


私はそのとき24歳で、
学生の時に知った近代建築の三大巨匠、その中でもライトが設計した落水荘という建物の名前の美しさに一目惚れ。(もちろん建物も素晴らしいのですが)
(英語でFalling Waterといいます。漢字にしても素敵です)

いつか、実際に見に行けたら良いな、くらいの感覚でした。
でも、当時勤めていた設計事務所の所長が、建築は絶対にその場に行って見て、体感したほうが良いし、「今」絶対に行ったほうが良いと背中を押してくれ、当時お付き合いをしていた今の夫と2人でアメリカへ行くことを決意しました。(ちなみに夫は建築士でもなんでもないので、私の建築旅に付き合う形でした。夫と旅に行く時はだいたいそうなるのですが。笑)

行くと決めてからの約半年?たくさんリサーチと準備を重ね
せっかく行くならいろいろみたいな〜と思い

日本(成田)→ シカゴ →  ニューヨーク → ピッツバーグ(ペンシルベニア州) → ニューヨーク → 日本 と、結構な移動距離、はじめてのアメリカの割になかなかハードな旅程を組みました。(アメリカ内でも飛行機で移動したり、N.Yからピッツバーグへは片道600キロ、約8時間の距離を2人で交換ずつ運転して行ったり・・・)

さらに大変だったのが、私は英語を全く話せないし、聞き取れないということ。(夫も、なんとなく聞き取れる程度)今思うとよく、英語もわからない2人だけで、あんな旅をしたなと思いますが、無事に帰ってこれたので、まあ、なんとかなる!ということですね。

何より、実際に、雑誌やネットで見た建築を、自分の足で歩いてみて、体感するという体験は素晴らしいものでした。

見たもの、旅程、ひとつずつ書くととってもとっても長いお話になりそうなので、写真も厳選して、今回は「落水荘」と「ファンズワース邸」を少しだけご紹介したいと思います。


落水荘(そこに私がいるという不思議な感覚でした)


落水荘 滝の上に建つ建築 アプローチの橋の上より。
見えている階段はリビングスペースから直接川へ降りることのできるアプローチ


落水荘は滝の上に建つ別荘で、建物の依頼主が惚れ込んだ滝を望む別荘をライトに依頼したところ、その美しい自然と一体となるような、滝の上に建つ別荘を提案し実現した建築です。

もちろん滝の上に建物を建てているわけではなく、キャンティレバーで建物を滝の上に張り出させて、あたかも建物の下を滝が流れるように見せたものなのです。(キャンティレバーとは片持ち式の構造、先端に支えがない床や梁の構造です)

建物のメインアプローチ部分
軒の低いパーゴラが続きます(この写真は玄関ホール側から建物へのアプローチを見た写真)


建物から伸びるパーゴラは反対側の岩肌で支えられています


そして、木を避けているところがあります。
そこにある自然をそのまま残す、取り込むスタイル


台所(だったはず)の窓


石壁とガラスの納まり。窓枠がなくスッキリした印象


部屋のコーナーはこのような窓になっている部分が多く、
ガラスが開閉し、自然を遮るフレームがなく景色とつながる。


「四角く閉ざされた部屋はファシズムにつながる」とライト。
Casa BRUTUSに書いてありました。


リビングスペース
玄関・ホールがとても狭く低かったので入ってきてからの開放感がすごかった


ガイドさんが足を置いている岩はもともとこの場所にあった岩
依頼主一家がこの滝で一番気に入っている場所だった(この岩の上で日光浴を楽しんだ)岩を
建物内部へと取り込んだ。


インテリアも良いですね。


リビングスペース。
室内の天井(ガラスがはめこまれています)がそのまま屋外まで連続している
手前の本棚の奥のガラスのような部分は先ほど書いたリビングから滝へ続く階段部分


テラスの軒と手すりの高さ、どちらもとても低い。
(それを伝えたくて撮った写真です)


ゲスト棟へと続くアプローチ
軽やかな庇がとても印象的


ゲスト棟 


こちらのリビングスペースはこもり感があって、また違った空間
つくりつけのソファもよても居心地がよさそうです


1934年に設計された落水荘。
自然という、うつろいゆくものを建物と巧みに融合させたとてもダイナミックかつ繊細な建築だなと思いました。行けてよかった。


シカゴから車で1時間半程の、周りになんにもない田舎でした

さて、こちらはファンズワース邸のビジターセンターです
ファンズワース邸にはシカゴから車で移動して行きました。


予定より早く着いてしまったためビジターセンターがクローズでした・・
でもすぐにスタッフが気づいて開けてくれました


ここで受付。グッズなどを見て待機


見学ツアー参加者たちと一緒にビジターセンターから少し歩きます
雨模様でしたが、森の中をしとしとと降る雨がまた良い雰囲気でした。

時期的に紅葉が美しかった…


ファンズワース邸


そしてたどり着いたのは
森に囲まれ、川のほとりに建つ週末住宅「ファンズワース邸」です。


近くの川がたびたび洪水をおこしていたため
地面から床を1.5m持ち上げている


自然の中に佇むガラスと鉄の箱
見ての通り外壁と呼べる壁はなく四面ガラスで覆われている

自然の中の別荘としてとらえるなら、有りだと思いますし、
どの部屋からも周囲の豊かな自然を望める素晴らしい設計だとは思います

ただ、ミースに設計を依頼した依頼主は週末住宅とはいえ
「住む」ことを想定していたので完成したあと色々揉めたそうです。
(この建築が有名になるにつれ、見にくる人が増え、朝起きたら観衆に囲まれていたこともあるそうです・・)


ちなみに浴室やトイレなどは建物の真ん中
木製パネルでおおわれたコアの中に設計されています。


写真右手側がリビングスペース、真ん中の木製間仕切りで覆われている部分が水回りのコア
その左側が台所、奥が寝室という構成のワンルーム


コアや家具でなんとなく仕切られてはいるものの基本的には一つの空間
そして、外側はガラス。確かにプライベートはない空間です

ですが、入って見て思ったのは、それなりにそれぞれのスペースがうまく付かず離れずな距離感で、レイアウトされており、なんとなくプライベートな居場所があるような感覚でした。それでいて一体感もある。とてもシンプルかつ明快な空間構成で個人的には好きです。(建築する場所にもよるかも・・周りはスケスケにしないかもしれませんが、回遊性もあるこの間取りはとても好みで住みやすそうといった印象)


ミースは住まいというものにはあまり関心がなかったようで
パビリオンのような建築を生み出したのかも。
建築としては本当にシンプルで綺麗です


広々したポーチ部分


「Less is more.」少ないほうが豊かである。
「God is in the details.」神は細部に宿る。
ミースを代表する有名な名言ですが、まさにシンプルでミニマルで美しい建築でした。

リビングスペースの暖炉の前で座ってガイドさんのお話を聞いてる間も不思議な気持ちだったなあ。(ガイドさんの言葉の意味がわからなかったのと、内部写真撮影ができるツアーじゃなかったのが無念です)


この旅でどれだけの距離を運転したか。。
頑張りましたよ本当に。良い思い出です


というわけで、写真多めで
落水荘とファンズワース邸を見にった話でした。

次回があれば、この旅で見た別の建築、アメリカの風景、思ったことなど
紹介できればと思います。


( N )