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「SFだから」「宇宙人だから」を言い訳に、虐殺や民族浄化、コケや虫との結婚、麻薬漬けにして幸福度を上げるなど、やりたい放題の傑作SLG「ステラリス」がPS4で発売ですってよ

お疲れ様です、pontaです。

最近、某国が某ウイグルで無茶をしていて、もしそれが本当であるとするならば、端的に言って邪悪だなあと思っています。

やはり歴史上、やっていいことと悪いことってのがあるんですよね。

民族浄化っていうんですかね。虐殺、強姦、強制移住などによって特定の民族を消滅させちゃうのは良くない。めちゃくちゃ良くないことです、ハイ。

世界の国々でいろんな意見がある中で、「いや民族浄化だけはやめようぜマジで」ってのは国際法上の犯罪として珍しくみんなの意見が一致しているところであります。

それくらいの悪ですから、ゲームの中に「浄化」が登場することはほとんどありません。

かつて日本でも『提督の決断』というゲームで「慰労」という現地の女性をアレして兵士の疲れを取るという、なかなかギリギリな仕様を実装したおかげでめちゃくちゃアジア各国に怒られたことがあります。当たり前だ馬鹿野郎。

「たかがゲームなんだし…」が通用しなくなっている時代なんですよね。そこをちゃんとみなさん、踏まえてくださいね。

さて、スウェーデンにはParadox Interactive社というゲームメーカーがありまして、ここはさすが北欧という人権先進国だけあって、そのあたりの配慮は行き届いています。

『ハーツオブアイアン』という第二次世界大戦のゲームでも、飛行機から爆弾を落とすコマンドでわざわざ「民間人は死にません」という但し書きをつけているほどです。

街の建物のほとんどが溶けるほどに戦略爆撃かましといて、いやこれ、民間人、死ぬだろ…と言うのはヤボです。

民間人は死なないクリーンな爆撃なんです。そういうことになってるんです。

ゲーム内で原爆を落としたりもできるんですが、これでも民間人は死にません。(兵士はほぼ死にます)

これですよ。たとえ戦争のゲームであっても、人権意識の高い人たちからツッコまれないように配慮を欠かさない。これがあるからこそ、Paradox Interactive社は(たいして)叱られずにこれまでやってこれてるのかなと思います。

で、そんなParadox Interactiveが2016年、満を持してリリースしたゲームが『ステラリス』です。

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『ステラリス』は宇宙を舞台にしたSFシミュレーションゲームです。

最初は地球ひとつしか持っていないわが人類(ほかの宇宙人でもできる)でありますが、火星を探索し、水星に採掘ステーションを建て、ほかの銀河系に飛び出し調査、植民し…とじょじょに勢力範囲を広げていき、そして帝国になっていくのです。

これだけ聞くと、「あ、なんだ。『信長の野望』みたいなただの戦略ゲームなんだ」と思う人もいるかと思います。

もちろんゲームの軸はそれですが、このゲームの無茶なところは、「SFだからいいでしょ」とParadox Interactiveがやりたいことを全部やっちゃってることなんですよね。

たとえば他国と出会ったときの初見の挨拶はこんなだったりします。

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「貴様らが口から発するキャンキャンという下品な音は、庭園の下等生物が液体を排泄するときの音にそっくりだ。」(訳:君たちの声は、ぼろ犬のゲリの音によく似ているね!)

いくらなんでも言いすぎだろ。

トランプ大統領も思わずとりなすレベルの悪口をぶつけてくる惑星元首ってどうよ。どうなのよ。

でもいいんです。宇宙だから。宇宙は広いから、こういうことを言ってくる種族もいるんです。

宇宙は広いから、菌が煽ってきてもいいんです。

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猿が進化して産まれたのが我々だとすれば、猫が進化しようが、樹木が進化しようが、虫だろうが岩だろうがなんだっていいんです。

みんなみんな生きているんだ外交できるんだ。

エイリアンのようにこっちを食うことしか考えてない連中もいれば、アバターのように自然と同化して生きているものもいる、スターウォーズのように中世のにおいを残したまま銀河に飛び出してきて銀河連邦に誘ってくる国家、ロボットだらけの集合意識もあります。

また、イベントも頭がおかしくて、「科学者が実験をしていたら別の種族になっちゃった」とか「宇宙クジラに襲われた」とか「巨大生物に星を乗っ取られた」とか「火星にテラフォームしてそこにおいてったGが異常繁殖したー」とか「過去に消えた科学者が未来にあらわれた」とか「わが惑星からかつて逃げ出した一隻の船団がが別の場所で民主主義国家を建設していた。銀河の歴史がまた一ページ」といった、ほかのゲームであればそれだけでメインテーマになりそうなイベントが毎年やってきます。ランダムで。

ようするにSF映画やSF小説に出てくるやつが全部あるんです。

で、かようにとっぴなゲームかと思いきや、制作会社がもともと歴史ストラテジーゲームをつくらせたら世界一のメーカーだけに、そこで起きるイベントは、歴史が繰り返すものであることをしっかり体現しています。

労働者に職を用意できなくなれば治安が悪くなり、家がなければみな不満に思い、逆にぜいたくさせれば愚民は黙ります。民衆を食わせられなければ、革命がおきます。

それは菌だろうが魚だろうが同じこと。時はすすめど、知的生命体のいとなみは変わらないのです。

そして、他の種族にどの程度の権利を与えるかも悩みどころで、ちんこみたいなキノコ型宇宙人と良き隣人として生きる世界観もあります。

彼らと人間が結婚して新しい種族が誕生するのをみるのはほほえましい?ものです。想像したくないですが。

もちろん、違う種族同士の結婚は許さん、俺と同じ店に入ることも許さんとばかりに、逆に奴隷として酷使することも可能です。これが人間同士のゲームだと、イッパツで発禁ですが、いいんです。宇宙人なんです。

奴隷にも何種類かあって、家庭でさまざまなお世話をさせる家庭内奴隷から、その強靭な体格を見込んで兵士として戦場に送り込むことも可能ですし、ただの家畜として食料の足しにもできます。

「家畜の正体は人類だったんだ!」じゃねーよバカやろう。

遺伝子操作によって「知性」を奪い、逆に「食べると美味しい」という特性を付与して、わが種族発展の糧にもできます。

相手が哺乳類型宇宙人とかなら食べるのもわかるんですが、プレイヤー側がグロテスクな宇宙人で、「人類」を奴隷化して、食卓に並べるとしたら…。

藤子不二雄の「ミノタウロスの皿」の世界ですね。

さらには、「去勢」で生殖能力を奪い、ゆっくりと人口を減らすこともできますし、「強制労働」で鉱山で死ぬまで働かせることもできますし、積極的に「処理」して食料にすることもできます。

「この種族は不適格(浄化する)」というコマンドを選んだときに流れる効果音が「ギャアアアアア」という断末魔なのが趣味悪すぎて最高です。

数分ごとに1億人が「消えて」、食料が「増える」のはちょっとアレっすね。

これほど歴史を知り尽くしたゲームメーカーが、そしてこれほど社会正義を意識している民主主義国家スウェーデンのParadoxが、「浄化」っていうコマンドをさくっと入れてくるっていうね。

「いいんです。SFだから。相手、宇宙人ですから」という嫌な本気を見た想いがします。

この種のブラックジョーク的な選択肢はいくつもあり、化学薬物を吸わせて特定の星や種族の幸福度を上げるとか、遺伝子操作によって痛覚をなくした兵士で殺戮するとか、クローンで兵士を量産するといったことは普通に行われます。

もちろん、自由の灯台、平和の伝導者として、宇宙の野蛮な民族を啓蒙するプレイも可能です。(人類はデフォルトではほかの種族を尊重する民主主義国家になっています)

しかし、しかし、自分がグロテスクな宇宙人になって(あるいは人間のままで!)、他の種族を消し去る選択肢もあるのが恐ろしいところです。

って、こんなマニアックなゲームですが、パソコン版は世界中で大ヒットしちゃってまして8月!PS4で!発売されます!

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やったぜDMM!無謀がすぎる。

よければみなさんもぜひご購入下さい。

正義の連邦を率いて、迫りくる銀河最大の危機に立ち向かっても良し、悪の帝国となって犯せ殺せの大パーティをくりひろげるもよし、銀河企業体となってお金儲けにまい進するもよし、ロボット帝国となって有機生命体をすべてエネルギーにしても良しです。

ここまで言っておいてなんですが、このゲーム一番のウリは、美麗なグラフィックと音楽でして、クソのような現実から宇宙の彼方へさあいこう!

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以上、よろしくお願いします。


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