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自分の家は性能か、デザインか?を考える

注文(木造)住宅の設計を湘南エリアではじめて15年くらいになりました。当時の設計スタンスと現在のスタンスには世の中の動きを受けて変化してきたと思います。

1:日本の住宅は夏を旨とすべしは、世界的猛暑で窓すら開けられなくなってきた。
2:建築コストは15年前に比べて土地+建物で2000万円以上は上がってきた。
3:エネルギーの高騰を受けて、光熱費をいかに落とすことが命題になってきた。
4:コストを押さえるために税金・補助金対策の認定住宅の流れが主流になってきた。

このあたりが大きな転換ポイントだと思います。今までは開放的でローコストな住宅をベースに他の予算を細かなデザインにも注ぎ込めましたが、短期的にも長期的にも資金がショートしまうのが現状です。

コストアップが性能とデザインの分岐点を産み出した。

と、なんとなくそんな気がします。X(旧ツイッター)の家アカウントを見ても、家に求める性能が二分されているのがわかります。そしてより関心があるのが性能重視のクライアントだと思いますが、数字というわかりやすい指針があるのでより他者と議論を深めやすいのもあると思います。逆に空間重視の人はそれぞれの感性なので、あまりネット上での議論にはならないのかもしれません。

評価員として様々なHMの現場を見た結果・・・性能を上げても住みにくい空間では意味がない

最近は設計業務に合わせて評価員として住宅保険の検査業務も行っており、HMの現場でZEHなどの高性能住宅も当たり前になってきました。多くの現場で施工レベルも上がっており、断熱施工に関しては現場の知識も上がってきていると感じます。しかし同時にどんなに断熱材や気密性能をあげたとしてもこの間取りでは住みにくいのではと思うものもたくさん見受けられます。つまり家の性能値は上がっているが、空間の質については昔と変わらないバランスのままだと思います。

これからの家は、ほどほどの性能値+住みやすい空間がベスト。しかし性能値が高めの人はビルダー、暮らし方重視の人は設計事務所がまずは向いている。

家というのはお金をいくらでもかけることができます。ただし、予算には当然限りがあるのでスタートとしてはほどほどの性能値で、残りの予算を空間に使うのが現時点ではベストだと思います。ただし性能値は本当に人それぞれなので難しいところです。なのでどうしても家の数値が気になってしまう人はそれを売りにしているビルダー、HMに相談するのが良いと思います。逆に土地を生かしたアイデアや暮らしやすさなどを重視する人は設計事務所向きなのかなと思います。

クラシックで考えるほどほどの性能値とは

助成金対策はできるように(太陽光費用は別として)ZEH住宅レベル・BELS認定住宅を標準レベルとし、残った予算を設備や空間設計などに充てています。あとは空間設計をメインにお客様の要望に合わせた性能値、耐震等級などのグレードアップに配分しておりますが、総予算4000万と9000万では当然アドバイスも異なりますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

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