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余談ですけど|「今、ここ」にいるスキル

こんにちは。

余談ですが…

私は、今年の春から、それらのトレーニングを提供し始めました。
その中で、生徒さんたちが、トレーニングの中で直接的な技術以外で得られるものは何かな…と観察していました。

コミュニケーション技術の向上や新しい視点を得て、引き出しが増やせるように…というのが、トレーニングの主題ではあります。
個人個人の抱えるテーマについては、セッション練習のワークの中で取り組むことができます。

それ以外に何かある、何かを自分が見落としている気がしていたのです。
何だろう…、ファシリテーションのトレーニングをすることで得られる何かがある気がするねんけどなあ、と感じていました。

最近、「クリーンランゲージ」や「シンボリック・モデリング」を使う時に、ファシリテーターに必要なことは何かな…と改めて考えていました。
そして、ああ!と気づきました。

「今、ここにいるスキル」だ!と。
クリーンランゲージやシンボリック・モデリングの技法のトレーニングで練習するものの一つは、「今、ここにいるスキル」。

噛み砕いていうと、今、目の前で起きていることだけに注意を向けて、今、目の前で起きていることをエビデンス(根拠)として、今、目の前で起きていることだけのための思考をし、今、目の前で起きていることだけに対応する。つまり、「今だけに集中するスキル」。

実際、ファシリテーターがこれができない時、クリーンランゲージやシンボリック・モデリングのファシリテーションは、一気に難しくなります。
そして、実際、それまでにコーチングやカウンセリングなどのトレーニングを受けたことがない人がクリーンランゲージのセッションを練習するときに、苦戦している場所でもあります。

何かを考えるときに、「自分の過去に由来する感情や思考」は、日常的には「経験値」として、その人を助けています。
また、「自分が未来に望むこと」は、その人が未来を作っていくにあたり、その人を助けています。

ですが、他者を中立的な立場でサポートしようとする時、その自分自身の過去や未来は、必ずしも役には立たないことがあります。
それは、自分ではなく、誰か他の人の人生上の話だからです。
その人の過去にも、その人の現実の未来にも、ファシリテーターはいません。

けれど、「今、ここ」、今、目の前で起きていることは、その人と自分が共有している時空間です。
「今、ここ」ならば、その人が何かを生み出し創造するのを、共創することができます。
ファシリテーターが「今、ここ」にしっかり集中できたなら。

その「今、ここにいるスキル」は、トレーニングの副産物としてありうるなあ…と思いました。
そして、「今、ここにいるスキル」は、ファシリテーション以外のその人の人生上でも役に立つなと思いました。

それを身につけることができる技法はたくさんありますが、クリーンランゲージやシンボリック・モデリングの「いいところ」は、そこを主軸には置いておらず、「自分のために今、ここにいる」ことにファシリテーターの考えが向きにくいことです。

徹底的に、自分は傍に避けて、目の前の他人が話す言葉や振る舞いに集中しないと、ファシリテーションがうまくできない、その仕組みです。
自分が何かを得ようとするなら、クライアントを見失う、その仕組み。

結果として、身についた身体感覚は、ファシリテーターが役割を離れて、個人としてその人の現実を生きる時にも、大いに、その人を助けることになると…推測はできます。

そして…ふと思い出しました。

トレーナーとしての私のメンター&トレーナーは、ジェームズ・ローリー&ペニー・トンプキンス夫妻(シンボリック・モデリング開発者)ですが、ジェームズが、私がトレーニングを始める前に言ったことを思い出したのです。
「君が、自分が何がわかっていないかがわかるまでに、トレーニングを始めてから一年くらいはかかる」

そうね、気づいてなかったわ、と思いました。

「しっかり、今、ここにいないと、クライアントの姿を見失いますよ」ということを、トレーニングやワークショップで言わないといけないこと。
(そして、それは往々にして、現実の中でも起きているだろうと思われること)

今、自分の目の前で起きていること。
今、自分の目の前でクライアントが語っていること。
それらを見たり聞いたりして、今、自分に起きていること。

話は、徹底的に、「今」なのだということ。

そして、「今」が、過去を変え、未来を生み出していくのを、ファシリテーターが目の前で見て体験すること。
「今」だけを一生懸命やれば、それでいいのだという体験をすること。

これって、結構、大きなギフトじゃないだろうか?と感じたのでした。

そして、また、これに気づけたことで、トレーナーとしての私もちょっと成長したような気がしたのでした。

では、また。









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