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ワンポイント・メモ|ファシリテーターの仕事|注意を向ける場所|初心者〜中級者向け

こんにちは。

本日は、トレーニングやワークショッププラクティス・グループ(練習グループ)を続けてみて感じたことを書いてみようかと思います。
この作業は、読む人のためだけではなく、私自身の来年からのワークショップやトレーニングのプランを整理するためでもあります。(だから、今は無料で公開します)

トレーニングやワークショップでは、話す時間がなかなか取れないけれど、「ああ、もしかしたら、ここが頭の中で整理できていないのかもしれないな・・・」と参加者さんの様子を見ていて感じることが、いくつかあります。
おそらくは、それは「かゆいところ」で「むずむずするところ」で、なおかつ「できるだけ早くスッキリしておいた方が楽に学習できるところ」なのかも・・・と、最近、特に感じます。

それらは、私がこの一年「注意を向け続けたところ」でもあります。そして、ファシリテーター(質問者)がする仕事に関係します。

というわけで、今日は、その中の一つ、「注意を向ける場所」について少し、私の理解を書いてみようと思います。

まず、私の考えをお伝えする前に、一番大事な話から。
こちらの動画をご覧くださいね。


では、ワンポイント・メモです。

シンボリック・モデリングのファシリテーターが「覚えること」は、割とたくさんあるように見えますが、ファシリテーターが「すること」は、ほとんどたった一つです。

「次の質問で、どこに、クライアントの注意を誘うか?」この一つです。

言葉を変えると・・・

シンボリック・モデリングでは、クリーンランゲージの質問を使用しますが、その質問はこんな感じです。基本の質問を少し見てみましょう。

「そして、そのXについて、他に何かありますか?」
「そして、そのXは、どんなXですか?」
「そして、そのXは、どこにありますか?」
「そして、Xの時、次に何が起きますか?」

どの質問にも、共通する文字がありますね。
そう、X、です。
かゆいところ、ムズムズするところ、そして、「ファシリテーターの仕事を頭の中で簡単に整理する」鍵を握るのは、このXです。

色々と覚えていく知識は、すべて、このXを選択する基準です。

普段の日常の会話でも、これは、普通に行われていますが、その時、選択されるXは、あなたの価値観、あなたの世界観、あなたの好み、あなたの興味など、「あなたの」何らかが基準であることがほとんどです。
それは、とても普通のことです。

クリーンランゲージの質問を使って、「ファシリテーションする」ときは、「相手の」価値観、世界観、好み、興味に軸足を移します。
つまり、「相手の目線」で考える努力、これはもう努力としか言いようがありませんが、努力をします。

この時、「きっとこうだろうな・・・」と相手の目線を推測する基準を、トレーニングやワークショップでは学びます。
相手の世界観に沿って、相手の価値観に沿って、相手の好みに沿って、相手の目線を論理的に推測していく基準です。

シンボリック・モデリングは「アウトカム思考」の技法ですので、一番大事な基準は、「相手が起きてほしいと望むこと」です。
シンボリック・モデリングには、言葉からそれらを推測していくための基準があり、最初の方で、まずはそれを学びます。

まず最初に、注意を向けられるようになるXが、「相手の望み」です。

その後、「その時している作業」に合わせた基準、が登場します。
(ここは初心者さんはやりません)
それでもやっぱり、一番大事な基準は、「相手の望み」です。

その後、「より細かいことを明らかにしていく作業」のための基準「特殊ケース」のための基準も登場します。(これは、中級者さんも、私はまだ教えたことがありません。アドバンスになるので来年かな…と思います)
それでもやっぱり、一番大事な基準は、「相手の望み」です。

Xには、どこまでいっても、「相手の望み」に沿ったもの、が入ります。
これはたとえ、Xに問題が入る場合でも同じです。
どこまでも、「相手の望み」のために、何かに注意を向け続けるのが「アウトカム思考」だからです。

そのためのXは何か?
次の質問のXには何が来れば、相手の助けになるのか?

それを、「相手の目線に立って一生懸命考え続ける」のが、ファシリテーターの仕事です。

つまり。

です。

基準のあれこれは、より効果的なXを選びやすくするために覚えていくものです。

そして、ファシリテーションするときに、Xに集中できるように、そこまでに、繰り返しするルーティンについて身につける練習を先にすることが多いです。

繰り返しするルーティンは、一風変わったクリーンランゲージの言い回しになれることだったり、使う質問を覚えることだったり。
それから、「望み」に注目する練習をすることだったり。
お料理で言うなら、包丁の持ち方、立ち方、そんなところに当たるかなと思います。
自分なりの包丁の持ち方があるところで、寿司職人に弟子入りして、包丁の持ち方をもう一度指導されたら、それに慣れて、自然にできるようになるには時間がかかります。
でも、新しい包丁の持ち方をすると、あら!マグロがこんなに美しい切り口で切れた!みたいなこともあるかもしれません。

クリーンランゲージの一風変わった言い回しや立ち位置は、「あら!こんな答えが登場した!」、シンボリック・モデリングの目のつけどころは「わ!こんな素敵なことが登場した!」というような驚きを対話にもたらすかもしれません。

普段とは違う、言い回し、立ち位置、目のつけどころ、そういうものは、繰り返し練習するしかないわけですが。

ファシリテーターが実際にする仕事、に、話を絞るなら、私が教えているのも、それから他の方が教えているのも、ただ一つです。

すべては、それが、よりクライアントにとって効果的で、よりクライアントの世界を豊かに発展させていくために、そして、ファシリテーターが言葉を選べるようになるために、開発者たちの経験値や観察、実験をもとに開発された基準の数々です。

どうでしょうか?
少し、話は、簡単になるでしょうか?

相手の願いが「起きる」ように、それをサポートするために、次の質問で、Xに何を入れればいいのか選択すること。
それが、ファシリテーターの主な仕事です。

ぶっちゃけ、それしかしていません。
それしか、できることがないからです。

誘導はしない、手助けもしない、アンカーもトリガーも提供しない、そのゴールがクライアントにふさわしいかこちらでは判断しない。
その望みが実現するかどうかも判断しない。
失敗しないように先回りはしない。
自分の価値観は使えない。
自分の世界観も使えない。
自分の経験値も使えない。

ただ、相手が、「自分でできる」と信じて、Xを選択し続けること。

何が起きるかは、クライアント次第です。

ファシリテーターに決められるのは、「次の質問」だけ。

起きることの責任の所在は、すべて、クライアントです。
ファシリテーターにあるのは、Xを選択する責任だけ、です。

ファシリテーターの仕事は、Xを選択することだけ。
もう、ほぼそれだけ。

・・・・・・・・

余談になりますが・・・

私が、シンボリック・モデリングを自分の道具として選んだ最大の理由はこれでした。
その頃、私はすでに仕事で人の話を聞いていました。
「楽でいい」と、私は思ったのです。

加えて、クライアントさんにとって素晴らしい結果を生み続けてくれました。
こちらが大変な思いをしたからといって、クライアントにいい結果が出るとは限りません。
楽で、いい結果が出るなら、お互いにとってそれに越したことはない!と私は思ったのです。

Xを選ぶだけ。

・・・・と言いましても、すでに述べたとおり、Xを選ぶには、さまざまな「基準」がございまして(笑)、この基準については、またぼちぼち、こちらでもご紹介したり、ワークショップやトレーニングを提供したりしてみたいと思います。

でも、仕事はほとんど一つだけ。


では、また。

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