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デマンド交通が普及できない理由 ~モビ実験を巡る業界と自治体の対立~

デマンド交通が普及できない理由とは?

デマンド交通とは、利用者が予約して乗車することで、需要があるときのみ走る公共交通システムのことである。しかし、このシステムが本格的に普及することができない理由がある。既存事業者の反発により、本格運行に移れない場合がある。また、制約も存在する。新型コロナウイルス禍で公共交通の利用者が減少し、再編が必要になっている中で、デマンド交通は新しい住民の足として注目されている。しかし、自治体の戦略と調整力が必要であり、利害関係を乗り越えることが必要である。

「モビ」の実験が起こしたバス・タクシー業界団体の反発

東京都豊島区で昨春に実験が始まった「mobi(モビ)」について、バスやタクシー業界団体は厳しい意見を持っている。このシステムは、高速バス大手のWILLER(ウィラー、大阪市)とKDDIが出資するコミュニティモビリティ(東京・目黒)が提供するアプリや人工知能(AI)システムを使用し、ワゴン車が利用者を乗降地点まで送迎するものである。利用者はアプリか電話で予約することができ、同じ方向に行く人がいれば途中で乗り合うことができる。豊島区の30代女性は、「自転車が使えない雨の日やタクシーに乗るほどでない近距離で子どもの送迎などに重宝している」と話している。しかし、業界側は「安すぎる」と警戒している。

業界と自治体の対立

モビの実験を巡っては、バスやタクシー業界団体の反発がある。地域公共交通会議において、「既存事業者の需要を奪わないかの検証が不十分で、事業としても成り立っていない」との指摘があった。自治体の一部は、バスが通らない交通不便地域で好評だとして、実験を続ける方針を示しているが、一方で自治体と業界側の協議が進んでいないことも事実である。業界側は、モビのようなデマンド交通が本格的に普及すれば、自社のビジネスに悪影響を及ぼすと懸念している。一方、自治体は、交通が不便な地域の住民の足としてデマンド交通を推進することで、地域の発展に繋げたいと考えている。しかし、業界側の反発や自治体の調整不足などがあり、デマンド交通の本格的な普及には時間がかかると考えられる。


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