新世紀の寺子屋 第7回
第7回の金融教育の授業内容を公開します。
今回は、ちょうどラスベガスで「CES2024」が開催されていたので、その映像を見てもらいました。サムスンのAIロボット「ボーリー」とか、世界初の透明の有機ELを使ったテレビなんかです。
生徒さん達には、最先端技術の分野をできるだけ身近に感じてほしいですね。さて、今回のテーマは、米国の歴史を簡単に知ること、企業を分類すること、そして投資の基礎を学ぶことの3点でした。
まずは、米国の歴史です。米国という国を知ることは、投資においても非常に重要ですよね。その米国を知るためには、歴史的に知っておくべき点があります。米国は日本のように2千年を超えるような歴史があるわけではないので、ある意味では簡単ですね。
ピルグリム・ファーザーズの一団、約100名が米国に渡ったことから始めました。新天地での自分たちの信仰を夢見ていたんですね。しかし、最初の冬で半分くらいは死んでしまったらしいです。寒いですから。
でも、生き残った人たちは頑張ります。移民も増加して、米国は大きくなっていきました。生徒さんに、米国は13の州から始まったことを伝えると、驚いてました。そして、米国はイギリスから独立するための独立戦争を迎えます。詳細はいずれ学校で必ず習うので、「フランスに助けてもらって、イギリスに勝って、独立した」という点だけで十分ですね。ところで、独立記念日の7月4日は、米国では特別な日です。米国独立記念日でのNYハドソンリバーの花火の話もしました。凄い人なんです。昼過ぎからハドソンリバー沿いに向かって、夜の花火を待ちます。いったん中に入れば、もう簡単には出れない人込みですし、なにより公衆トイレがありません。従って、大人たちもオムツを履いて、花火に向かうんですよ。漏らしてもいいように・・・
この話は、生徒さん達にちょっと受けました。空は綺麗な花火、地上は大人たちがオムツ。なかなかシュールです。
米国は13の州で始まった後、西方に拡大していきます。この過程で、先住民は居場所を失っていきます。この頃を題材にした映画とかたくさんありますね。西部開拓の映画で米国の歴史を学ぶのが良いでしょう。
そうして西方に拡大していく中で、未開の土地を切り開き、リスクを取って挑戦していくことは素晴らしいことだという価値観が形成されます。フロンティア・スピリットです。これは、現代の米国の起業文化などにも引き継がれています。このフロンティア・スピリットは素晴らしいのですが、もう一つマニフェスト・デスティニーは、ちょっと他国にとっては面倒な米国の価値観です。西方拡大して米国が豊かに成長していく過程で、米国が拡大すること、米国の価値観が世界に拡散されることは、「神の意志」であるという解釈が広がっていきます。米国特別論です。自分たちの国は、「特別な国」なんだという意識ですね。これは愛国精神でもありますが、その押し付けは、他国にとっては面倒です。これも、現代の米国が見せる一面ですね。
次に南北戦争の話をした後に、リンカーン大統領の名演説と、米国大統領として初めて暗殺されたことを説明しました。これまで暗殺された大統領は4名いますが、その最初です。リンカーン大統領は、劇場に演劇を見に行きました。なんと、そこで演劇の俳優さんに撃たれてしまうのです。なんと劇的な展開でしょう。「劇場で劇的に暗殺された」と思わず、おやじギャグを口に出ました。2回繰り返しました。
米国の歴史は、本日はここまで、次回への続きとしました。歴史教育じゃないので。
次に会社の分類をしてもらいました。動物を肉食や草食で分けるように、会社も色んな分類の仕方ができます。
グロースとバリューについても、少しだけ言及しておきました。
人間と異なり、企業は若返りが可能です。実際に下のような企業が業態を変えながら、生き残ってきたことを説明しました。任天堂について、生徒さんが「花札」を知っていたことは驚きました。昔、やったなー。「猪鹿蝶」しか、もう役を覚えていませんが・・・
企業自身にも、提供するサービスにも、春夏秋冬があります。私は、この「春夏秋冬」という言葉が大好きです。小学生には小学生時代の春夏秋冬がありますし、30代にも30代の中での春夏秋冬もあるでしょう。もちろん、長い人間の生涯の中にも春夏秋冬はあります。春夏秋冬は、何にでも当てはめることができるんです。
しかし、企業によって春夏秋冬のサイクルは異なりますね。誰にでも模倣されてしまうような付加価値の低いサービスについては、春夏秋冬のサイクルは非常に早いでしょう。一方で、なかなか冬がやってこない企業もあります。その差は何でしょうか?1つのキーワードは、「参入障壁」です。
いやー小学生には、早すぎる言葉ですよね。さんにゅうしょうへき!
こんな例で説明しました。サッカーはボール1つあればできるよね。しかし、友達とアイスホッケやるとか、スキーをやるのは大変だよね。氷や雪が必要だし、それをやるための装備も必要だ。サッカーに比べると、簡単にはできないよね。参入障壁は、ちょっとそれに似ているかな・・・
そこから、色んな企業の分類の話をしたんだけど、やはり上場している会社、未上場の会社を説明するのは難しい。上場を小学生に説明する良い方法ないかなー。
私は株式をパズルに喩えて、パズルのピースを株券として、見知らぬ人に売り出す。そういうパズルのピースを売買する場所として、証券取引所があるんだよー。こんな説明をしたけど、ちょっと分からないかなー。
いずれ分かるので、完璧な理解は全く求めません。分からなくてもいいんです。先に進むことが大事ですね。プライム市場などのことも説明しました。
最後は、投資です。投資とは何か?
宝くじを買って、必ず当たると確信している人はいません。これは当たればいいなーという期待ですね。これは投資ではありません。投資とは、少なくともそれを行う時点では、将来の良いことを確信できる必要があります。もちろん、その後の状況変化で、確信が揺らいで、間違いだと気づくこともあります。しかし、投資の時点ではある程度の確信が必要です。
投資の目的は、若い人は何でもいいんです。但し、年齢によって次第に投資の目的は変化していきますね。こういう話は、ファイナンシャル・プランナーみたいで、あまり好きではないです。但し、一般論として説明しておきました。第7回は、こんな授業を行いました。
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