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新世紀の寺子屋(第21回)

今回は、市場が大荒れの中の寺子屋となった。生徒さん達には、ブルムバーグの画像を見てもらいながら、いかに激しい市場変動であったかを示し、その上で長期投資、分散投資において、こうした株価の急落をどう受け止めればいいのかを説明しました。きっと、よく分からないとは思うけど・・・

さて、今回はまず大統領選挙の構図が変わったことを取り上げました。過去の寺子屋授業では、バイデン大統領対トランプ氏という構図で説明してきましたが、その対立構図が変わってしまったのです。
生徒さんに、カマラ・ハリス氏の写真を見せたところ、皆さん知っていました。日本の小学生凄いですね。

カマラ・ハリス氏のバックグラウンドについて紹介しました、お母さんはインド系の生物学者、お父さんはジャマイカ系の経済学者です。要するに普通の家庭ではないエリートですね。カマラさんは、法律の道に進み、カリフォルニア州の検事になります。ちなみに、米国ではまず法律家になるというのが1つの出世コースです。そして、カマラさんは、女性初のカリフォルニア州司法長官になりました。「女性初」というガラスの天井を打ち破り、今は女性初の副大統領です。色々とタフで強運な人物だと思います。

生徒さんには、カリフォルニア州の「スリーストライクス法」を紹介しました。再犯を防止するために、2回目、3回目の犯罪を厳しくするものです。最初の「ストライク」(重罪)を犯した場合、通常の刑罰が科されます。2回目の「ストライク」を犯した場合、通常の刑罰に対して2倍の刑罰が科されます。たとえば、通常の刑罰が5年であれば、10年の刑が科されることになります。3回目の「ストライク」を犯した場合、たとえそれが軽微な罪であっても、通常は25年から終身刑が科されることになります。この3回目の「ストライク」に該当する犯罪は、必ずしも重大なものである必要はありません。それで再犯率は低下したんですかね・・・
さて、カマラさんの人種的なバックグランドについて、もう少し深堀りしました。米国は色々な人種の人がいるのです。我々には同じ白人に見えても、イギリス系のアメリカ人、イタリア系のアメリカ人、ドイツ系のアメリカ人など、そのルーツは様々です。トランプ氏はドイツ系アメリカ人ですね。

バイデン大統領は、何系のアメリカ人でしょうか?正解はアイルランド系ですね。バイデン大統領はカトリックです。インディージョーンズのハリソン・フォードや、ロッキーのスタローンを取り上げましたが、生徒さんは誰も知りませんでした。悲しい現実でした。ハリソン・フォードはイギリス系、スタローンはイタリア系ですね。タイガーウッズはアジア系です。

さて、たまにWASP(ワスプ)という言葉を耳にしますね。これは白人で、アングロサクソンで、プロテスタントの人々です。アングロサクソンは、ここではイギリス系と捉えておきます。このWASPの人種的な背景の人々が、長らく米国のエリート層を支配してきた時代があったのです。もちろん、今でも一定の力はあるでしょう。米国にとっては、英国は信頼できる国なのですが、それはWASP的だからです。欧州大陸のフランスやドイツは白人であっても、少し距離感があるのです。

米国という国のルーツが、白人、イギリス系、プロテスタントですから、それはそうなのでしょう。ピルグリム・ファーザーズはオランダから米国に渡りましたが、もともとはイギリスからオランダに移動したのです。

さて、今回の経済のテーマは、「フローとストック」です。これは、経済や市場においては重要な考え方になります。フローは水道の蛇口から流れる水、それが溜まったお風呂のお湯がストックです。フローが蓄積して、ストックになるのです。

フローは一定期間の変化で、状況を示します。静と動であれば、「動」です。ストックは、フローの蓄積であり、「静」ですね。

さてクイズです。問題①も②も正解率は高かったです。フローとストックのイメージはばっちりです。

毎日の食事もフローとしてカロリーを体に入れます。それが蓄積し過ぎると体重が増えてしまいますね。私の腹回りもストックだらけです・・


よく下のような表現でフローとストックが使われます。これは日々の株式売買というフローの7割が外国人投資家が占めるということですね。そして、ある時点での日本株全体についての保有量では、外国人投資家は全体の3割を持っているということです。

余談ですが、生徒さん達には多くの知識をインフローとして取り込んでいほしいと伝えました。そして。インフローだけでなく、それを誰かに説明したり、話したりとアウトフローをすることで、実は盤石なストックが出来上がることを教えました。

インフローには色々あります。日々の生活の全てがインフローですが、生徒さんには「本」、「人」、「旅」という先人の偉い人がいつの時代でも進めているインフローを紹介しました。

さて、会社の決算発表もフローとストックで成り立っています。以前の授業で、決算発表で非常に重要な「売上高」、「利益」を取り上げました。そして、これらは企業のフローに関する情報です。

会社が一定期間のなかで、どれだけ売上、どれだけ稼いだのかは、動的な情報です。それに対して、企業の一時点の状況も重要になります。健康診断ですね。それが分かるのが、バランスシートです。


バランスシートについては、生徒さんにはまだ難しいので、どれだけお金を持っているのかな、銀行からどれだけお金を借りているのかというような一時点の状況をチェックするものとだけ覚えてもらえればいいでしょう。

フローとストックは、企業の戦略にも関係します。生徒さんに、「ぼったくり」って言葉を知っているかと質問したら、皆さん知っていました。なんでだろう?ところで、ぼったくりがどこで発生しやすいか?典型的なのは、新興国のお土産屋さんですよね。現地では非常に安いものを観光客には高い値段で売ろうとします。何故でしょう?それは、観光地のお土産屋さんのビジネスがフローのビジネスだからです。壊れたものを売ったところで、文句を言うためにまた戻ってくる人はいません。またリピーター客なんて、ほとんどいないわけです。だから信頼とか信用をあまり必要としていません。
これに対して、床屋さんはどうでしょう?寝ている間に、坊主にされてしまったら、二度と行かないですよね。床屋さんにとって、毎月新しいお客さんを得るのは大変です。それよりも、1回来てくれたお客さんに、リピーターになってもらうことが重要です。これはストックのビジネスです。

ちょっと難しい問題にも幾つか挑戦してもらいました。こんな感じです。

今回は、フローとストックについて、その入り口を取り上げました。フローとストックは、結構いろいろな場面で登場します。
今回はこんな授業でした。

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