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現役時代×退職後 第1回 ■退職後に向けて 40代後半 Tuffyのケース

シニアの価値

新卒で建設コンサルタント会社に就職し、約25年がたった。
入社後は海外部門に所属し、東南アジアを中心に発展途上国の開発案件に携わった。対象国の政策に関わるもの、国家の長期計画に関するもの、広域地域の開発計画、長大な施設の設計、施工現場。約10年従事した海外開発業務では、エンジニアは経験が多い人ほど高く評価され、高齢のエンジニア含め多くのシニア・エンジニアが活躍していた。日本人エンジニアは、会社人生の中では定年退職という区切りはあるにしても、自分から辞めるといわない限りずっと現場で活躍できる状況だった。

社内の異動で海外部門からスタッフ部門に配属になった。
業務が変わり、常日頃接する人も変わった。当時は市場縮小という時代の流れもあり、ブルーオーシャンを求めた新規事業開発や、他社との差をつける技術開発が求められた。そこではシニアの経験ではなく、若手の自由な発想が重宝された。会社の価値を左右するのは、経験を積んできたシニアより、若手や変わり者といった風潮が存在した。

現在もスタッフ部門において、全社的な技術開発やビジネス開発に携わっている。
DXの波が本業界にも押し寄せ、デジタル技術・ツールを使いこなせることが、大きな技術力となってきた。デジタルの力で業務プロセスも変革され、経験が少ない若手でも高度な仕事ができるようになった。そして、大半の仕事は経験が少なくとも実施できるようにデザインされていく。シニア・エンジニアが有する過去の経験という絶対的な価値は、相対的な重要度を落としていく。

会社はDX教育を進めていく。
新しい技術や知識は、頭の柔らかく仕事面でも余裕のある若手の方が吸収しやすい。効率よく会社のDXを進めるため、若手の教育を優先する。しかし、会社の真の価値を発揮するのはシニアである。DXで誰もが高度な仕事ができるようになっていく中、シニアを置いていくのではなく、シニアの経験・技術力をDXにオンすることが技術力の差となる。リカレント教育をいかに進めるかが企業力の差につながる。

改めて、シニアの存在の重要性が見直されるときである。
そして、シニアにとっても活躍の場が広がり、活躍できる期間も長くなる。

漠然とした不安

一方、私自身はどうだろう?
スタッフ部門の一員として、事業や会社の成長・最適化を目指した活動・業務を行っている私は、シニアになった際にどうなるのだろう。殊更暗いイメージを持っているわけではないが、はっきりと明るい希望をもっているわけでもない。まったくわからない、漠然とした不安があるだけだ。

自分がやってきたことを活かして、何か生涯できることがあるのか。
まったく新しい世界に飛び込んだり、新しいことにチャレンジしたりするのだろうか。それとも、退職後のことを考え、徐々に自身の活動をスライドさせていくべきなのか。

私の周りのシニア生活からのヒント

私の両親・義理の両親は見事にシニア生活を楽しんでいる。
父はもう亡くなったが、一日中庭いじりをしていた。義理の父は、空手に関する活動を続けている。二人とも大病をしながらも、体を動かし健康的な生活を送ってきた。体を動かすことが心に影響し、前向きで楽しい生活につながるのだろう。

コロナ禍で在宅勤務が多くなった折、大嫌いだったジョギングを始めた。
走ってみると頭もすっきりとし、仕事にも生活にも前向きな感情が出てくることを実感し、今では毎朝走りたくてウズウズするぐらいだ。漠然とした不安に対する解決策は見つからないが、健康的な生活が楽しいシニア生活の糸口だと考えている。

退職後の楽しい生活のために、今の私がやるべきこと。
スタッフ部門の仕事を真剣にやり抜くこと。何が将来につながるかわからないが、やり抜くことによって何かが突き出るだろう。
そして、運動を続け、健康的な生活を続けること。
これこそが、現在の仕事をやり抜くための基盤であり、将来の楽しい生活のための布石だと考えている。


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