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地底人、パリへ行く【準備編】

2024年2月29日深夜、4年に一度のこの日も国内某所の地下でトンネルを掘っていた。先日、上司から4月からの異動を告げられた私は移動のタイミングで休暇を取得し、入社以来初の海外旅行を目論んでいた。
行き先はパリとロンドンに決めた。卒業旅行で検討しつつも行くことができなかった場所だ。年度末の繁忙期、本当に目標の日までに業務を片付け、事務所を立つことができるのか、不安ながらも、休憩時間にこの地下から、香港経由パリ行きのキャセイパシフィックの航空券を174,250円で購入した。
次は宿だ。これが予想外に高かった。治安も良く、観光に便利な中心部の宿は軒並み2万円以上である。学生時代の感覚とは倍以上かけ離れている。社会人にもなったのだから、優雅なホテル滞在をとも考えたが、結局1番安い格安ホステル、格安ホテルを予約した。これでも一泊15,000円以上、7泊で10万円以上だ。
最後にパリーロンドン間の移動手段を取らなければならない。フェリーでドーバー海峡を渡りたいのだが、どうやら徒歩乗船はできないらしく、車とのセットになるようだ。(英語検索をしていないので完璧な情報ではない)
バスを検索してみると、こちらは夜行で行けるらしいが、運行が安定していないらしく、また今回は久々の海外でもあるので飛行機か鉄道にすることにした。飛行機はLCCだと預け荷物にかなりの追加料金がかかり(持ち込み手荷物制限が通常より小さい)、結局フルキャリアと変わらない。となるとユーロスターが1番確実で市内からのアクセスもよく、値段も変わらなくなり、これに決めた。しかしユーロスターも価格変動性で、仕事の繁忙でこまめなチェックができないでいる間にほぼ正規料金になってしまった。こちらは予約サイト経由の方が割引が聞いて安かったので、omioから購入した。
これで無事渡航といきたいところだが、この間1番焦っていたのがパスポートである。大学1年生の夏休み、ドイツ渡航の際に取ったパスポートの期限が2024の9月9日。有効期限の残りが半年を切っていると入国できないらしく、急ぎの申請が必要になった。今はマイナンバーカードを使ってweb申請するらしい。写真は自宅で撮ったものを背景修正して使った。発行までに2週間程度かかったが、なんとか渡航直前の週末に受け取ることができた。
仕事の方は、担当していた業務が方針転換で異動1週間前に急激に軽くなったため、休日出勤せず、目標日までに無事終えることができた。いそいそと職場での挨拶を終え、定時で退勤した。職員はあっさりしたものだが、職人さんは名残惜しそうに送り出してくれた。

ついに渡航日。天気予報を見ると滞在中の天気はあまり良くないようだ。2024年3月20日、東京もなかなかに寒かった。ここ最近暖かかっただけに装備が不安になり、成田空港のUNIQLOでダウンを購入。行きの時点でスーツケースがパンパンになった。
そしてチェックインカウンターに向かう途中、SIMカードケースを外すためのクリップを忘れたことに気付く。久々の海外ですっかり忘れていた。文具店やクリップを扱っていそうなカウンターもない。ラウンジならば手に入るかもと、ひとまず手荷物を預けて先に進む。国際線で初のカードラウンジを探すも全然見当たらず、調べると保安検査場の手前だった。仕方がないのでフードコートでコーヒーを飲みながら、ガイドブックを読んで時間を潰す。これまで時間がなかったので、下調べが全然できていない。着いてからのスケジュールはノープランだ。


SIMカードをどうしようかとそわそわしながら搭乗口に向かうと、乗る飛行機は遅延していた。そして辺りを見回すと清掃員の人がいた。その胸元には名札がある。安全ピンだ。仲間との会話中に割り込んでSIMカードの交換に使いたいのだとお願いをすると、快く貸してくれた。どうやらそういう客はけっこういるらしい。とりあえず一安心だ。悠々と香港行きの飛行機に乗り込む。

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