見出し画像

ドキュメンタリーを見ての様々な気づき

今日は、「隣る人」という映画を見てきました。

色んな方に見てもらいたいので、内容にはほぼ触れないことにします。ただ、作品の背景的なことや福祉の専門職としての気づきと学びをまとめたいと思います。

この映画の舞台は「児童養護施設」という場所になります。

「児童養護施設」とは、何らかの理由があって、親もとで生活ができなくなった子どもを保護して、代わりに育てる支援をする福祉施設です。

このドキュメンタリー映画を主催者の意図で「あえて語らず、とりあえず見てください」というスタンスで始まった、上映会に参加してきました。

開始前からパンフレットの案内をしなかったのも、それが理由でしょうけどパンフレットを見直すとなるほどなぁと思うことが沢山ありました。

そして、同時に主催者が何もしなかった理由も分かりました。

新聞やテレビで、「児童虐待」のニュースを目にすることがまれでなくなった昨今。しかし、そのニュースはセンセーショナルに報じられるだけで、子どもが生きる現場に寄り添い、なにが大切なのかを深く洞察した報道は少ない。

隣る人 パンフレット かいせつ より引用


鮮やかによみがえる聖書の言葉があった

思春期までに「隣る人」を内在化することができれば、子どもはその後、一人で生きていくことができる。

光の子どもの家 創設者 菅原哲男さんの言葉より引用

「光の子どもの家」という名前を見て、ピンとくる人もいるでしょう。私もミッションスクールに通っていたのでもしかして…と思っていましたが。

「隣る人」は造語で、語源は「善きサマリア人の例え」からきているとのことです、私は学生時代に聖書の教えを受けていたので、このタイトルから「隣人を自分のように愛しなさい」という言葉がなんとなく、ひっかかっていたのですが、ここで確かにつながりました。

 さて、話を戻すと思春期までに保護者と児童が「愛し、愛されること」を感じることができる体験ができることが、精神的自立に導かれるという実践を行っている児童福祉施設ということなのです。

 私自身、中学時代に精神的支柱の確立と親友の自殺という喪失感も同時に体験することになり、何かとても心の奥で作品と共鳴する部分があったと思うのです。


みんなで育てるそれが大事

大切なのは血のつながりではない。「心から愛情を注いでくれる誰かが、そこにいること」なのだ。

隣る人 パンフレット 船橋邦子さんのコメントより引用

①子どもは親を選ぶことはできない。だからこそ、血縁の親や家族に限定的に依存・従属せずに、社会として育ちを支援する場を増やすこと。
②子供の育ちの場としてなくてはならない親密圏として、多様な家庭の在り方子どもの自己決定を尊重する精神家族の一人ひとりが個として尊重される家庭の中での民主主義それらを支え合う地域を創造していくことだと考えている。

隣る人 パンフレット 船橋邦子さんのコメントより引用

 このような、NPOの代表でもあり、ソーシャルワークの神髄的な(ネットワークの構築や自己決定の尊重など)コメントを書かれている船橋さんですが、プロフィールを拝見すると『佐賀県立女性センター・県立生涯学習センター初代館長』と書かれていて、同じ九州人としても胸が熱くなり、親近感も湧きました。

 船橋さんがおっしゃられていることには、私もものすごく共感、賛同していて、高齢分野の介護保険でも取り上げられている「介護の社会化」と同様に「子育ての社会化」をもっと推進していく必要があると思います。

視点が変わっている自分に気が付く

介護福祉士実務者研修や社会福祉士を勉強する前と後では、全然違う見方、考え方をしたんだろうなというのが、始まりの5分でわかりました。

勉強する前では単に「かわいそう」という感情が先立つとともに、それ以上のことを考えることができなかったでしょう。

ですが、映画をみながら、「この子の体はどのくらい動く?言語の理解は?コミュニケーションはとれる?感情のコントロールはどれくらい?入浴、排せつの自立は?親との関係は?…」と無意識に情報収集をする自分がいたのです。

そして、子ども達への意思決定をしっかりと促し、その決定を最大限尊重する対応をとる。それが、親の意思とそぐわないときでも、きちっと守る。子どもがどちらに信頼関係を寄せるのかは自明の理ですね。

様々な気付きを得ることができた作品でした、ぜひ、皆さんにも機会があればご覧になっていただきたいなと思う作品です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?