ヤングケアラーに関するイベント企画中です。
先日、このような内容のnoteを書きました。
今日は、こちらをもう少し深堀りしたいと思います。
その目的は、実は今年の10月にとある企画をしておりまして、正式な公表は9月ごろになるかと思いますが、その企画に向け、自らの思考を深めるとともに、応援をいただける個人ボランティアから、協賛いただける個人、団体を募集しています。
昭和の時代には埋もれてきたヤングケアラー
突然ですが、冷静に考えると、私の兄はヤングケアラーだったと思います。(本人がどう思っているかはわかりませんが…)
と言いますのも、私の家庭は父親がずっと単身赴任で全国を飛び回り、週末にだけ家にいるような家庭でしたので、経済的には問題のないシングルマザー状態でありました。
手のかかる弟によって、兄は我慢することが多かったと思うし、また、親が私たちから見ればおじいちゃん、おばあちゃんの介護のために福岡と鹿児島を行ったり来たりしていた(当時は介護保険なんてありませんでしたから…)こともあり、勉強する時間を確保するのも容易なことではなかったと思います。
昭和のあの頃は「24時間戦えますか?」「企業戦士」などに見られるような、ワークライフバランスなんて言葉が外に出すことがはばかられそうな社会風潮でしたし、それが「当たり前」の社会の仕組みになっていたと思います。ですから、「福祉」は「お金を稼いで、税金という形でチャリティ的に回せば社会は回る」と思っていた時代でした。
ただし、政治の世界ではそれは回らないと分かっていたので、1990年代の福祉八法改正、2000年の社会福祉法、介護保険制定に見られる現在の福祉八法改正にみられるように、高齢者と身体障害者の入所措置権限が町村へ、老人保健福祉計画が義務化、在宅福祉サービスが第二種社会福祉事業になる…などのように、着々と高齢者福祉は国が面倒みるとしていたところを、市町村、そして、各個人にも負担を押し付けるように制度を変更していたのです。
ただ、昭和のころは前述のように単身赴任など当たり前、ワークライフバランスなど考えないのが当たり前、男が稼いで女は家庭を切り盛りするという社会風潮から、「家庭での切り盛り」の部分がブラックボックス化していて、実態を誰も把握していないし、それを振り返ることもしてこなかったのだと思います。昭和の当時から実は、多くのヤングケアラーを生み出してきていたのではないかと思います。
なぜ、いま、ヤングケアラーが問題になってきたのか?
皆さんは2025年問題をご存じでしょうか?
この2025年問題が来年に迎えると同時に、ようやく、高齢者の分野以外の対策をしていかないと、それを解決する…というか、正確には耐え忍ぶことができないことが見えてきたからです。
ようやく、現役世代(現役世代が育てている子どもを含む)の福祉の対策をしなければ、日本という国そのものが沈んでしまうと分かってきたからで、重い腰を上げたというところです。
そこで、最初にできたのがこちらです。
そう、こども家庭庁です。
このこども家庭庁のキャッチフレーズを皆さんはご存じですか?
で…これがどんな意味を持っているかというと…
なんと、こどもの権利擁護がうたわれています。いままでは、何となく「子どもを大切にしましょう」という感じでしたが、明文化されました。
そして、これを受けて来年度に向けて各市町村が計画を策定しています。
みなさんのお住いの自治体でも作成されていますでしょうか?というのも、努力義務なので、つくられていない自治体もあるかもしれません。
当然、この計画が今回から中身が大きく変更されています。
新・旧の計画の変更点
いままでの計画で記載されていた主な内容は下記のようになります。
ですので、あくまで…保育園や幼稚園および地域の子育ての状況についてまとめて、ざっくりいえば「保育園・幼稚園は足りています、ちゃんと受け入れています」ということを示すための計画でした。先述しましたが、「何となく子どもは大切にしましょう」のスタンスです。
しかしながら、当然、「こどもまんなか」によって、これが大きく変わりました。
上記のように、いままでのような、単に「子育て支援サービスを提供している」だけではなく、実際に困っている子どもたちを具体的にどのように支援しているのかを調べて、計画を立てて、実行するということを明確に記載することになります。
上記のように、ヤングケアラーについてもこの計画の中で考えるようにとこども施策の重要事項に位置付けられています。
行政が動き始めた、そして、私たちは何をすべきか
さて、このように行政が動き始めています。この流れを私たちはどうするべきかという岐路に立っていると思います。
様々な考え方があると思います。
ただ、長年、「まちづくり」をしてきた身として思うことがあります。
行政に任せたままにしていて、満足できる計画ができるところを見たことがありません。そして、誰が決めたんだ、私は聞いていない…というながれになっていくことで、無関心な人が増えていく現場をたくさん見てきました。
そして、私たち子育て世代当事者が動かなければ、この問題は誰も本気で考えない問題であると思うのです。
もちろん、働いて忙しい私たちですから、誰かに任せたい気持ちもありますが、それで変わらなかったのが昭和の時代なのです。ここで放置すると、間違いなく昭和の再来になるような気がしてなりません。
ひとりでも多くの方と、子どもの政策について共有し、ワークライフバランスが保てる社会をつくる仲間をつくりたいと思っています。
ヤングケアラーの支援には、地域の個人のボランティアから、様々な専門職、行政機関がつながり、連携することが求められる取り組みになると思っています。
なぜならば、今までの地域福祉では、多くのヤングケアラーのこどもたちが埋もれている現実があるからです。そして、それは今の仕組み、とくにフォーマルサービスでは支援ができていないことが明確だからです。
そのため、想いがある人が集まり、映画を通してヤングケアラーを知り、対話を通して我がごととして、考えるきっかけをつくります。
皆様の参加とご支援をいただけたら幸いです。
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