センチメンタルは若者の特権である。
最近そう思う。
センチメンタルに浸ってる暇なんて、
社会人にはない。
そんな時間も、体力もない。
でも、いまわたしは、ちょっとだけ、
センチメンタルだ。
毎週末、彼に会いに行く。
帰り際、いつも彼が寂しいという。
ごめんね、と謝る。
今日は、わたしが生理1日目だった。
まあ、いつもやると疲れるし、
今日くらいはいいかなと思っていたんだけど、
「今日、したかった?」と彼に聞くと、
わりと淡白な方だと思う彼が、
「うん」
と言った。
それがものすごく残念で、
「1日目だし、出血も、少ないし、
してもいいよ?」
「そっか…ハルさんも、したい?」
「うん…」
そう伝えても、彼はしてこなかった。
「しなくて、いいの…?」
「したいけど、でも、月イチでこういう日はあるし、ハルさんの体調が、何より大事だから。心配なんだ。」
優しすぎる彼。
本能に従って、襲ってくれたっていいのに。
全然いいのに。寧ろ、その方がいいのに。
そう思ってしまうわたしは、愚かなのかな。
そんな思いをぐっと呑み込んで、
彼の優しさを無駄にしないため、
「心配してくれてありがとう。」
そう笑顔で伝えて、帰ろうとした。
「うん、寂しいけど、大丈夫だよ。」
そう言う彼の目は少し赤くなっていた。
泣けばいいのに。
そう思って、できない寂しさも重なって、
わたしのほうが泣いてしまったのだ。
彼の切なさすぎる優しさ。
少しセンチメンタルになったけど、
もう大丈夫。
わたしは大人だ。
前を向いて、歩いていけるよ。
大丈夫。
彼のことが、大好きだ。
誰よりも、愛している。
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