Day5 ありのままに笑い、ありのままの全裸
人々が活動しだす前にテントをたたみ、
何事もなかったですよっと、よっこらしょっと。
って進み出す。
きっとそれがわたしに与えられた朝の任務なのだ。
野生のおばちゃんがこっちを、みている。
しばらく見つめ合い、
よ、よく眠れたなああぁぁああ
ってボソっと言いながら伸びをして、そそくさとテントをたたみました。
そそくささが新世界レベルいってたと我ながら思います。
どうもどうも、ちったです。
明るくなってから気づくけど、今回は完全に人の家の裏庭っぽかったので、この家の人にみつかっていたらどうなっていたのやら、、、
と思うとブルっとしますよね。ね。
いや、あの野生のおばちゃんがそうなのか、、、?
明日からはテントはる場所考えよう。
7時に近くのガソスタまでいってストレッチをしました。
毎朝のルーティンとして、
ウルフルズの"笑えれば"を聴きながらストレッチしています。
これはわたしにとってめちゃくちゃ思い出の曲でして、
わたしの人生に大きく影響を与えたダンスの舞台公演
『I AM』
でブレイクダンスの振付をやったとき、毎日のように聴いて毎回ストレッチソングで使っていた曲です。
とにかく笑えればいいんです。
よっしゃ、はっはっはっ
って毎朝なってます。
ありがとう。
笑えないことばかりだけど、なんとか笑ってます。
そういえば母が、心配だからとにかくバナナ食べなさい、とにかく、バナナ。と言っていたなあと思い出しバナナを装備しました。
こうして栄養価の高い無敵婦人さん号ストロングバナナに進化したわたし達はひたすら6号線を進む。
こんなに横断ってしんどいんですねってくらい峠を越えてはまた峠。
峠という漢字そのまんまだなと。こんなにも峠を意識したことはなかった。
今まで意識してたのはただただ、山あり谷間あり山ありのおっぱ、、、失礼。
今日は男の子の日かな?
焦るココロとは裏原宿に、
ゆっくりゆっくり進んだ。
ここがアメアパ?
いいえ、雨です。
山の中だからか、天気がすぐ変わる。
6時間ひたすらこいだ。
もう、ひたすら進むしかないんだ。
水がなくなりそうでチビチビ飲んだ。
誰がチビや。
お昼ご飯食べたくてもなにもなく、ポリスのおっちゃんからもらったお菓子を食べた。
優しさを感じた。
世の中、バファリン以上に優しい存在はたくさんあるのではないか。
ようやくトゥウォンダという街につきました。
なんかずっと甘ったるいにおいするなあ、
自転車をみてみると
溶けていた。
もう2度とバナナ乗せない。
わたしバナナついてるけど。
失礼。
今日は男の子の日かな?
マックの前で店には入らずiPhoneをみていると、
ここがアメアパ?
いいえ、雨です。
今宵どこに泊まりましょうか、と、
調べたら10kmほど先にキャンプ場があることを知りました。
そう、マックは素晴らしい。日本にいる頃はマックなんて目もくれやしなかったけど、アメリカにはどこにでもある。どんな街でもある。そして、Wi-Fiも充電もできる。
雨の中、キャンプ場に向かってひたすらこぎました。
アップダウンはげしくて、
でも歩いたら負けな気がして足をつかずに無我夢中でこぎました。
は、晴れてきた、、、
その頃にはキャンプ場を通り過ぎていました。
夢中になって漕ぎすぎた。しかしまあ!
しょうがないからこのまま西へと進むんだ!!!と漕ぎ続けました。
するとCamp groundの文字がみえました。
おおお、これは、、、
なんせ前回のモーテルからシャワーを浴びてないものだからとにかくシャワーが浴びたかった。
人の気配がない。
むむむ、シャワーは諦めて勝手にテントをはろうかと悩んでいるとキャンプカーの中からおっちゃんが出てきました。
あ、あの、すみません。
「イエスメン?」
(い、いかちい人に話しかけてしまった...)
ここはキャンプ場?
「そうだメン」
シャワーはあるかな?
「わからないメン。ここは車の通る音がうるさくてよく眠れないから移動するメン。
ところでどこから来たんだ?」
NYからきてLAに向かってるんだと言うと、とてもテンションがあがっていた。
「お前本気か?クレイジーだなあ!!!!」
そう言うとわたしと婦人さんを写メりました。
「他にシャワーあるキャンプ場あるからそこに一緒にいくか?」
え、ほんと!?いきます!
どこですか?
「ここから10kmほど東にいったとこさ」
必死に西へとひたすらこいできた。
もう一歩も東へと戻りたくなかった。
ありがとう、でも、西に進まないといけないから、このまま西へいくよ。
「そうか。じゃあ明日の朝おれがすこし西まで送ってやるから今夜は一緒にキャンプ場にいこう。西にはしばらくキャンプ場がないぞ。」
すこし、涙がでました。
おっちゃんはわたしの涙がみえて、爆笑していました。
「クレイジーだな!今夜雨降るからはやくのりな!」
彼はアルバートさんという。
キャンプ場につくと、初対面の人達にわたしを我が子のように自慢しはじめた。
「こいつ自転車でアメリカを横断してるんだぜ!」
そう言いながらわたしの肩をポンポン叩く。
みんな驚いてわたしをみては、クレイジーという。
クレイジーなことしてるつもりはないけれど、なんだか嬉しくてたまらなかった。
キャンプ代はタダでいいわよと言われ、
あたたかさと優しさの塊に触れまくり、
叫びたくなりました。
みんないい人達。
アルバートさんがお腹すいてるだろとサブウェイみたいなパンをくれました。
テントも組み立て、とても静かで川の音が聞こえていいところ。
深呼吸していると、ちった!と呼ばれ、
まさかのビールをいただきました。
旅中飲めるなんて思ってもいなかったので死ぬほどうれしかったです。
アルバートさんが、スーパーにいこうと誘ってきてくれてついてくことにしました。
「免許証持ってるか?」
持ってないんだ、運転したことがないんだ。
「そんなことがあるのか!パスポートは持ってるか?」
なんで、そんなに聞いてくるんだろうとドキドキしはじめました。
この旅をはじめてから5日目、ひとと話せることがうれしくてうれしくて、スタートした頃にはあった警戒心がさっそく溶けかけていました。
警戒しながらも、持ってるよ!これ!と見せました。
アルバートさんはわたしのパスポートを一通りみて、カンボジアいったことがあるのか!とテンションがあがっていました。
アフロの頃の写真をみてこれまたテンションがあがっていました。
感情の表現が本当に豊かな人だなあ。
「これから出会う人、いい人だけじゃないから、気をつけろよ。
そんなことより、ビールは好きか?」
もちろん、愛してる。
「よし、決まりだ。」
そう言うとわたしをBARに連れてってくれた。
だからID持ってるか聞いてきたのかと納得しました。
アルバートさんはわたしのことをまた我が子のように肩をポンポンしながらみんなに、ひとりづつに、自慢していきました。
みんな驚いてわたしをみて、クレイジーだなという。
コロナをいただきました。
たくさん出会いがあって、
ビールも飲めるなんて、
今日はなんていい日なんですか。
普段は喉越し喉越し!ごっくんごっくん飲むビールでも、
大事に大事に飲みました。
するとアルバートさんがもう一本くれました。
アルバートさんとおじちゃんが、わたしがカンボジアいったことあるらしいぞ、と会話しはじめた。
「これがカンボジアだとして、、、」
おじちゃんは手を使ってカンボジアの説明をしていた。
「ラオスはどこなんだ?」
「ラオスはここらへんだろう」
「ここがラオスか」
音楽ガンガンなっていて揺れているとおばちゃんに踊ろうと誘われ、踊ってきたら、
アルバートさんがすごく喜んでいてハイタッチをしてきました。
「いいね、いいね」
そういってコロナをもう一本くれました。
今度は80歳くらいのおばちゃんに手をひっぱられ踊ろうと誘われて踊りました。
とてもかわいいおばちゃんで、楽しそうで、
ハッピーな気持ちになりました。
踊り終えるとアルバートさんは「いいね、いいね」とコロナをもう一本わたしに差し出してきました。
ウィヒヒヒヒヒヒヒヒと笑うアルバートさん。
我が子のようにわたしをみてくれている。
分厚いあたたかさに包まれ、ふかふかすぎて服なんかいらない、全裸になりたい、そう本気で考えました。
人間、いきつくところはやはり全裸なのだと。
ありがとう幸せな時間。
気づけばコロナを、5本飲みました。
アルバートさんはiPhoneで翻訳機能を使って日本語をみせてきました。
"明日は二日酔い"
その通りとふたりで爆笑しました。
この旅がはじまって、
はじめてこんなに笑って過ごしました。
そしてやっぱり、
ダンスって素敵です。
コロナいをみて、ごほん、頃合いをみてキャンプ場に戻ると、アルバートさんがキャンプカーのシャワーを貸してくれました。
シャワーってほんっと、素晴らしいもんですね。ごめん、映画みたいに言って。
「ベッドで寝るか?」
今日は本当にありがとうございます。
でもテントも組み立てたからテントで寝るよ。
おやすみなさい!
そうして軽く酔っ払いながらテントにごろんちょしました。
ここは、アメアパ、なのかな?
いいえ、雨が降りはじめていました。
ウィヒヒヒヒヒヒヒヒッ
今日はアメリカを笑い吹き飛ばしてやったぜ。
とにかく笑えれば。
走行距離 : 80kmほど
2014.8.22
少しでもニヤリとなれたなら幸いです。 よろしくお願いします☺️