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Day45 Sunset on the Grand Canyon




朝のお口のにおいがそら豆だった。


もってる歯磨き粉がもうすぐなくなりそうで節約のために磨かない日もあったけれど、やはり磨こう。

お口がそら豆はたまったもんじゃない。


どうもどうも、ちったです。


やはり、最高に死ぬほど寒かった。

というか死ぬかと思った。

Tシャツを二枚着てロンTを着てアウターを着る。水着と半ズボンを履いて長ズボンを履く。靴下は三重。足がうなぎだったら贅沢な一品。

靴下じゃなくて寝袋を買うべきだったのではないかと自分を責めてすこしだけ後悔したけれど、


今更買う気にはなれない。


そうだ紙袋だ、マーケットで紙袋をたくさんいただいて床に敷いて寝よう。

床からの冷たさを少しでもしのげればましになるはずだ。

今夜はそうしよう。


朝日をみにいく予定だったけど寒さと眠さで全く動けなかった。

股に右手と左手を挟んでるのを解除して、

パンにハムとレタスを挟んでマヨネーズでいただいた。


9時に銀行が開くからそれを見計らってコーヒーとクッキーをいただきます。

マーケットの前のベンチでコーヒーをすする。


息が白い。


ここにきて問題がでてきていた。


1ヶ月と何日かでここまでがむしゃらに漕いできて、


ゴールのサンタモニカまであと800kmほど。

一週間あればついてしまう。

(ちなみに東京から800kmというと、西は広島、北は函館まで行ける距離らしい)

パワースポットで有名なフラッグスタッフの南にあるセドナへいってみたいけど道が険しすぎるらしく、行く気持ちになれず、


ラスベガスに行こうかなと思うけれど、

砂漠の中に孤立しているラスベガスまでこの婦人さんの装備でいくのは不安があり、


ラスベガスからカルフォルニアいくまでに通らなくてはいけない谷の名前が、


"デス・バレー"

死の谷。

ストレーーーーート!!!!!!!

名前のストレートさが本つゆ。

もう4倍くらい薄めるべき。

そんなこといっても今までもたくさん険しい道を通ってきたんだけど、

目標のゴール日程を1週間はやめて16日にゴールすることにした。

あと16日。


それでも時間がたっぷり余っているから休養もかねてグランドキャニオンに6泊することにした。

まあ、もうあとはゆっくりすればいいんじゃないか。


170kmを3日連続で漕ぐなんていま思えば信じられない。

ここまで飛ばしまくったんだ。

もう急ぐことはないんだ。


こうしてわたしのグランドキャニオン籠り生活がはじまった。


ひとまずテントに戻りトイレで洗濯。

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昔の自分じゃ想像できない生活をしている。

朝絶対シャワー浴びなきゃ気が済まなかったし、洗剤も柔軟剤も、シャンプーもボディーソープも決めたものしか使わなかった。

こだわりってなんだ、生きてればいいじゃないか。



そうだ、せっかくゆっくり篭るなら、


グランドキャニオンの中に降りてみたい。

キャニオンの中ってのはいわゆる、

地球のおっぱいの谷間だよね。

男のロマンとでも言うのだろうか。

やはりこの衝動は抑えられないんだろうか。

わたしは濡れていた。ばかやろう。


地球の谷間で1泊するには許可証が必要ということで、パーミットをとりにバックカントリーインフォメーションへいった。

婦人さんも預かってもらえるみたいなので安心だね。


そのあと図書館にいってみた。

横断する人がたくさん来るからなのか、図書館のおばちゃんに自慢げに「ニューヨークから自転車できたんだ!」と言っても、

「そうかい、そうかい」と言うような笑顔で頷くだけだった。

ちぇっ

舌打ちはしてない。さみしかっただけ。


日本のアニメがたくさんあった。

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グランドキャニオンよりも日本のアニメをみたい。

そんな人たち愛してる。


図書館でiPhoneを充電しつつ予定を立てた。

2日目の今日はもうゆっくりしながら夕日みるでしょ。


3日目はデザートビューという東のはじっこまで婦人さんといって、


4日目は朝から地球の谷間へいって一泊、


5日目はそこから戻ってくる。


6日目はゆったりと過ごして、


7日目にグランドキャニオンを降りよう。


そしてその10日後にはサンタモニカでゴールだ。


あとすこしじゃないか。

ううむ。
感慨深い。


夕日をみにMohave Pointまで歩くことにした。

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歩いてみると、


いろんな角度からいろんなグランドキャニオンがみれる。


どれもすばらしい。

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どこからみたって想像を絶する景色が広がってる。

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素敵だね、これは邪魔しないでおこう。

わたしは濡れていた。ばかやろう。


グランドキャニオンを眺めながら歩いていて、

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知らんけど、


なんとなくネイティブアメリカンがつくるあの模様が、


Feelingが、

なんとなく、


なーんとなく共感できた気がした。


少なからずともこういうとこからインスピレーションをもらっているのではないかと、

そんなことを考えながらすこしベンチに座ってぼーっとした。

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地球は今も、

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常に変化している。


何十億年前は海だったここも、


長い長いはてしない年月をかけて、


今はこんな姿になっているんだなあ。


想像もできない。

谷底には20億年前の原始生命誕生期の地層もあるらしい。


地球のおっぱいの谷間を流れるコロラド川によって削られてできたグランドキャニオン。

あの川がここまで削ってきたのか。

今も変化しつづけているグランドキャニオン。


その想像を絶する景色をみては、


人はうおおおとなって、

すごく美しくて、

感動して、


そしてすこしこわい。

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自分ってほんとうにちっぽけだなと思うけれど、


しっかりと大地踏んで、踏ん張って生きてんだなぁ。

生きよう。


Mohave Pointを外れてしばらく歩くと誰もいなくなったから今日はそこに腰をかけた。


コロラド川がみえる。


うおお。

叫んだ。

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高いところが苦手なわたしはすこし下がって、

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何時間もいられる。

自分の思ってること、感じてることがグランドキャニオンにはばれてる気がする。

なにも言わずに聞いてくれる。

大きな存在。


日が沈んできた。


これまた声にならない息がもれる。

夕日とちった。

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おやすみ、太陽。

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おやすみ、地球。


暗くなってきたからバスに乗りマーケットまで行った。

図々しく紙袋をたくさんもらった。

寝るときにこれを敷けば少しは温かくなるはずだ。マットほどじゃないと思うけど、変わるだろう。

満点の星空の下、カラダを震わせながらテントへ戻った。

ありがとうおやすみなさい。


走行距離 : 婦人さんはおやすみ
現在地 : Mother Campground

総走行距離:4790kmほど

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2014.10.1

少しでもニヤリとなれたなら幸いです。 よろしくお願いします☺️