Day47 地球の谷間に降りる、心臓の音がきこえる
昼間の暑さのせいで夜もなんとなく過ごせる気になってしまうけど結局死ぬほど寒い。
今回は靴下二枚履きの上からマーケットで図々しくもらった紙袋で足をくるんで寝た。
上はTシャツ4枚に長袖を着てアウターを着る。
下は水着に半ズボンに長ズボン。
ロボコップみたい。
わたしは、
高校時代やかましいほどいつも一緒にいた同級生を思い出した。
そいつは冬になると学ランの中にヒートテックとTシャツと長袖とスウェットを着込んでいた。(通っていた高校は服装自由だった)
ロボコップみたいにパツンッパツンになった学ランで胸を張っては、
「めっちゃガタイいいっしょ、ねえ、めっちゃガタイいいっしょ」
鼻の下をいじりながらしつこく言ってきては胸を張って、
殴ってみん、とわたしに胸を押し当ててきていた。
「殴れないっしょ、殴れないっしょ」
やかましいよ、ほんとに。殴りたくもないわ。
ブレイクダンスの感想はなんでも「めっちゃ筋肉じゃないっすか」という筋肉マニアの彼は、
筋肉ブログというものをあの頃書いていたなあと思い出して、
寒いテントの中ですこしだけほっこりした。
そんな愛くるしい彼のことを、
名前がアリサワなのでわたしはアリゾナと呼んでいた。
アリゾナくん、
不思議なことにわたしは今アリゾナ州にいます。
英単語帳はボロボロのほうがかっこいいっしょといって、ふたりして床に叩きつけたり蹴ったり折り目つけたりして内容よりもボロさを競っていたけれど、
そんな英語レベルのままアメリカにきてしまったよ。
どうもどうも、ちったです。
朝マーケットで食パンマンとレタスマンとハムマンとドーナツマンを買った。
そしてこの旅二本目の、
自分で購入したビール。
そしてアーモンド。
これがこの旅最後のビールにする。
あとは、水とコーヒー以外は飲まない。
バックカントリーインフォメーションセンターへ行って荷物と婦人さんを預かってもらった。
リュックに寝袋と食料をつめて、
テントもかついで出発した。
これから地球のおっぱいの谷間に潜り込んでいく、
わくわくさんと、ドキんちゃん。
そして、
" Bright Angel Trail "
までやってきた。
看板には日本語表記もあった。
" 輝く天使の小道 "
ダs、、、ごほん。
いや、ばかにしてはいけない、死者もでるほどの危険な道のりなのだ。
目標のプラトーポイントが遥か彼方にみえる。
ほんとにあそこまで歩くんだよね?
え?んーと、やめる?
いやいや、やめないやめない。
絵でみるとこんな感じ。
しんどそうだけど絶景間違いなし。
早朝から行く予定だったけれど、なんだかんだ9時すぎの出発になった。
降り始める。実はトレッキングはじめて。
ここを、
かつては先住民の人たちが通っていたと考えると、
なんだか奇声を発したくなった。
先住民の人たちは奇声を発しながらここを通っていたのだ。
(違うよなにそのイメージ)
この3日間上からグランドキャニオッパイを眺めていたけれど、
降りはじめると全然違う顔になる。
間近でグランドキャニオッパイの肌をみて、
触れる。
石ころひとつひとつに歴史があるんだなあと。
見惚れながら降りていく。
ちなみに目指すは、ここ。
プラトーポイント。
ひたすらクネクネクネクネとした道をおりていく。
わたしの靴がボロボロで薄いこともあってか、
常に足ツボマッサージ状態。
歩きづらくて下り坂で、
おっと小指が痛み出してきた。
いいんだいいんだ、ゆっくりでいいんだ。
自分のペースでゆっくり降りていった。
何度も見渡す。
かっこいい。
大きい。
クネクネ。
ゆっくり。
地層が変わっていく。
かっこいい。
地層の変わり目がよくみえる。
すれ違う人々みんな挨拶してきてくれる。
底まで降りたであろう人たちはみんな本格的な格好をしていて汗だくになりながら帰ってきている。
うんっと、
わたしの格好ちょっといいですか。
チャリンコ旅中も自分の装備の弱さに不安になったけれど、トレッキングでも、、、
なあに、なんとかなるよ。
しんどいのはみんな一緒で、それでもすれ違う人みんな挨拶しあって明るく進む。
励ましながら降りていった。
ちなみに年間で250人ほどがレスキューにお世話になっているみたい。
だ、大丈夫大丈夫。
谷間は蒸れるからか、標高差からか、
グランドキャニオンの中を下っていくと気温も上がっていく。
そして日差しが強くなってきて、汗がとまらない。
これは帰り道日差しが強くなる前に帰らなくては。
想像以上にしんどいではないか。
でも、それぞれの眺めがかっこよくて美しい。
誰とでも挨拶し合うって素敵じゃないか。
すると野生のUGさんに遭遇して、撮影会した。
よっ。
久しぶりに逆さまになったけど余裕がなくて遊べず、高いの怖いし。ただの倒立。
UGさんはここまで降りたけど戻っていくらしく、
わたしの格好と食料をみて、それじゃあかんと言って非常用にとチョコをくれた。
ありがとうございます。
バイバイしたあとお腹が空いていたから歩きながら全て食べてしまった。
土がサラサラしてきた。
だいぶ降りてきた。
Yeeeeeeeeeeeah!!!!!!!!!!!
って両手広げてる感じのサボテン。
陽気なサボテンの目線。
だいぶ降りたな、、、
細い道を進んでいったら、
とうとう" Campground "の看板が!!!
ここまで3時間くらいかかった。
グランドキャニオンを下から覗けるようにテントを立てた。
中からみるとこんな感じ。
最高だ、深呼吸。
ひとまずサンドウィッチを食べて、足がパンパンマン!になっていたから横になった。
テントからみえるグランドキャニオン。
贅沢すぎる。
目を閉じるといつの間にか2時間くらい経ってて15時すぎになっていた。
谷間に降りればグランドオッパイの温もりで暖かいだろうと思ってたけど、というか暑かったけど起きたら肌寒かった。
わたしはビールを持ってプラトーポイントへ向かった。
途中川でビール冷やしながら、
足ツボマッサージされながら、
振り返ると、
そしてようやく、
プラトーポイントへとたどり着いた。
圧巻だった。
川の音を肌にビリビリと感じて、上からじゃわからなかったけど、こんなにも激しく流れてたのかと。
声にも息にもならない空気が口から漏れた。
いま、谷間にいるんだと、
周りを見渡して改めて感じた。
ひとまず倒立しといて、
ビールを、プシュ。
うまい。
思うことたくさんで、はじっこに座ってビールを飲みながらぼーっとした。
オッパイオッパイは、ごほん、グランドキャニオンは、
そんなひとりひとりのひとり言を、思いをなにも言わずに聞いてくれる、くっそ大きな存在だった。
寝そべる。
気持ちいい。
今この瞬間グランドキャニオンをひとり占めしてるんじゃないかってぐらい気持ちかった。
ずっとこうしてたいと思った。
太陽がおやすみなさいと沈んでいき、
谷間からみる夕日に染められていくオッパ、ごほん、グランドキャニオンも絶景だった。
ありがとう。
しばらくぼーっとして、違うとこからも眺めててみていると
サンタモニカに住んでいるという夫妻に声をかけられて、ゴールがサンタモニカだと言って仲良くなった。
月と夕日。
わたしはまた寝そべって暗くなるまでぼーっとした。
満点の星空はきれいすぎてこわいくらいで、吸い込まれていきそうで、
きっと身体浮いてた。
このまま、このまま、、、
眠りにつこうか、、、
男の人が声をかけてきた。
「そろそろ戻れなくなるぞ。」
大丈夫大丈夫。
「これからおれたちスープ作るんだけど一緒に食べないか?」
え!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
食べるうううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!
ガバっと一瞬で飛び上がった。
ここまでくるとなんだかとても図々しくなっていても気にしない。
シャフィックという彼にチャリンコでニューヨークから来たというとひどく驚いて祝福してくれた。
シャフィックの他にも何人かいて紹介してくれた。
真っ暗な中ライトも持ってきてなかったバカなわたしを彼らの列の間に入れてくれ、ライトで足元を照らして誘導してくれた。
これであのまま眠りたいとか思っていたのだから恐ろしい、、、
彼らのテントにつくと、クレイジーだなとみんな歓迎してくれて、スープ作りがはじまった。
なんだこれ、、、、
めちゃくちゃあたたかいじゃないか、、、
そしてポテトスープをいただいた!
ココロと身体中に沁みわたる。
あれ、なんだこれは、、、あたたかいじゃないか。
「さあお話して!!」
そうシャフィックが言うと、みんなワクワクとわたしの方をみてきた。
下手くそな英語で出発してからここまでくる間の話をした。
たくさん笑ってくれて、すごく幸せないい時間だった。
もう十分優しくしてくれたのに、最後にみんなから食料をいただいた。
朝ごはんも一緒に食べよう!と誘ってくれたけど、その時間は朝日を見にプラトーポイントまでいく予定なので残念。
シカゴからきたみなさん。
家族増えました。
出会いに感謝、ありがとう。
自分のテントに戻って、頭をテントからはみ出し寝っ転がりながら、グランドキャニオンと星空という贅沢な時間をまったり過ごした。
テントの入り口を開けたままいつの間にか眠りについていた。
ここまできて、これて、本当に良かった。
それにしても、
乳酸いいすか。
走行距離 : トレッキング
現在地 : Indian Garden Campground
2014.10.3
少しでもニヤリとなれたなら幸いです。 よろしくお願いします☺️