見出し画像

ロンドン・パリ 飛行機の旅・鉄道の旅

この夏、ロンドン・パリまで往復フライトして、両国間の国境は列車で越える旅をしたので、記録しておきます。


⬜️ 羽田空港〜ロンドンヒースロー空港〜ロンドン市内

羽田空港では滑走路が複数本あるせいか、ひっきりなしに離発着する飛行機を展望デッキから眺める事ができた。当日は西向きの着陸と南向きの離陸が重なり、旅の始まりに心踊る風景だった。

▶️羽田空港第3ターミナルの展望デッキから第1,2ターミナル側を見る(写っている航空機は搭乗したものとは関係ありません)


国際線専用の第3ターミナルは、京浜急行の専用駅から降りてすぐ、とアクセス性が抜群によく、数年前に成田空港でNEX(成田エキスプレス)を降りてから延々と荷物を押して歩いた記憶と比べると拍子抜けだった。
拍子抜けというと、チェックインもパスポートをカウンターそばの専用機に読み取らせるだけですぐに出来るし、スーツケース預入にも並ぶ事はなく、空港会社としてのサービス精神を感じた。
ただ、現地の入国に要るからと言われた顔認証の機械は動作しない端末が多く、少し戸惑った。

なお、JAL深夜便だったため、最初の機内食が無い代わりにスカイラウンジ(エコノミークラスでも無償)が使え、食事内容を含め眺望も楽しませてもらったが、その事を事前にしっかり調べておくべきだったことは悔やまれた。

機体は787というちょっと聞き慣れない最新鋭機で、エコノミークラスは横に2-4-2席という変わった並びで、777の3-3-3席を想定していくと不思議な感じがした。(1席少ないのでシート横幅が広いと説明にはあったがそうは感じなかった。)
こんな小さな機体、全長60mほどで2発のエンジンで14,800kmも飛ぶというスペックに驚き、だからロシア上空の飛べない今、北極海航路で14時間、14,000km飛ぶという事に妙に納得した。
なお、エコノミークラス14時間は覚悟はしていたが、前述のシートはあまりリクライニングできないこともあって、たいへん辛かった。

▶️機内のモニター映像、この時はカナダの島しょ部の上空にいる

モニターで自分がグリーンランドの上空に差し掛かっている事を知った時は今から向かう先が北米なのか欧州なのか一瞬わからなくなる景色だった。数年前に欧州に出張で行った際はロシアの真上を通って行ったので、まるで目的地が違うかのようにさえ思えた。
ところでこの行きの便は結構揺れて寒くて(特に足元)、連日35℃を超えているのが当たり前の日本慣れしていた自分は、現地(18℃から20℃台前半で寒かった)に着く前に既に機内で服装の選択ミスをしていたのに気付いたが、それも後の祭りだった。

ロンドン、ヒースロー空港には定刻通り、現地早朝に着いた。
しかし、例の?顔認証自動機による入国ゲート通過が上手くいかず(見ていると数個の機械のうち1台だけが正常稼働していた)、昔ながらの入国審査官による数多くの質問にあい、コロナ予防パーテーション越しに話すのはこちらの英語力の無さもあってかなり骨が折れた。
(何故、顔認証自動ゲートを使わなかったんだと何度も聞かれたが、壊れていたんだ、と説明してもなかなか通じなかった)

▶️ヒースロー空港ターミナル3 列車に乗る場合はこのように外に出る必要は無いが、ちょっと出てみた

無事に入国し、ターミナル3から列車に乗り、ロンドン都心を目指す。
予め鉄道網は調べておいたので、オイスターカードを買って、昨年2022年に開通したばかりのエリザベス線に乗る。
オイスターはSuicaのような使い勝手で地下鉄(アンダーグラウンド)改札にピッとかざすだけで乗れてしまって、ロンドン市街地では2階立てバスもこれ1枚で済み、便利だった。
以前シンガポールに行った際に、シンガポールも地下鉄はとても便利だったが、料金を毎回調べて券売機で買うのと、紙の切符だけど預託金が含まれているのに気がつくまでがちょっと難だったことを思い出した。ロンドンの地下鉄とバスは乗りやすいです、ハイ。
ただ、このオイスターカード、ロンドンを出る際に10ポンド以上の残額を残してしまったので、券売機で払い戻しができず、7ポンドの預託金含めて戻ってこなかったので、家族分で計算するとだいぶ損が出た。

エリザベス線は真新しい車両に大きな窓、ボックスシートもあってスーツケースを抱えた家族連れには助かる列車だった。地下鉄よりも多少エクストラの料金がかかるが、オイスターで多めにチャージしたので気持ちよく乗れた。

▶️エリザベス線、入線してきた所。速すぎてピンボケ

しかし、事件が起きたのはイーリング・ブロードウェイ駅だった。
アナウンスが入り、車両故障の為、ここで運転を打切る、と。
まだヒースローを出たばかりの田舎駅で、一体どうするのかと、人混みでごった返す朝のラッシュ時の駅のホームに出てしばらく途方に暮れた。
結局そこに停まっていた満員のセントラルライン(まだ地上部分のアンダーグラウンド)に乗り込むしか手がなかった。
低い天井のバーにしがみつきながら転がるスーツケースを押さえつつ乗る満員電車の各駅停車は、初日からかなりの体力消耗となった。
最初からヒースロー空港始発でアンダーグラウンドのピカデリー線で60分かけて都心入りすると覚悟を決めた方が良かった。

トッテナムコートロード駅でノーザンラインに乗り換え、迷路のような駅を進む。ただ、エレベーターは完備で助かった。こういったところをみると日本の鉄道駅の時代遅れ感は周回遅れだと感じた。
目的のユーストン駅にはあっさり着き、すぐに朝10時の大英博物館に北口(裏口)からあっさり入れた。

なお、大英博物館はスーツケースは持って入れないしクロークもないので、先にホテルに寄ってスーツケースを預けるのは必須。


⬜️ [ロンドン]セント・パンクラス〜[パリ]ギャル・ド・ノール(北駅)

ドーバー海峡を超えて約3時間で着いてしまうユーロスターは、ユーストン駅から東にバス停で2つほどしか離れていないセント・パンクラス駅から発着する。
(昔はユーロスターはウォータールー駅発着だったとのこと)

セント・パンクラス駅は今回の旅行で初耳だったが、映画ハリーポッターの9と3/4番線で有名になったキングスクロス駅と隣り合う駅(アンダーグラウンドでは同一駅)で、荘厳な煉瓦造りの外観と鉄骨とガラスで美しく機能的に形作られた骨組みの内側が調和をなす美しい駅だった。

▶️早朝のセント・パンクラス駅構内、駅正面側を振り返り見る

訪れた夏の朝の構内は風が吹き抜けて寒かった。
また、通関に関する公式アナウンスの通り、1時間ちょっと前からしか出入国のゲートが開かず、ホームに上がるエスカレーターも、本当に列車出発の直前にしか開かなかったので、都度待ち時間が発生した。
通関後ホームに上がる前の待合室は狭く、1列車分の乗客のキャパシティしかないので、乗車可のアナウンスがあってエスカレーターが稼働する少し前は立つ場所もない程に混雑した。
ロンドンからユーロスターで出国される場合は、通関締切時間ギリギリを狙って行った方がセント・パンクラス駅内各所でのコマ切れの待ち時間が無くて済むかもしれない。

なお、ここの通関は出国と入国を同時に行うのと(パスポート写真と本人の顔の照合のみで、旅行目的などは全く聞かれなかった)手荷物規制などもなく、健康チェックもなかった。

ユーロスターは乗り込んだらすぐ(車両1両につきドア1つの為、混雑する)、連結器そばの大型スーツケース置き場(NEXに似ているがカギは無い)にスーツケースを放り込んで席に着く。

私はロンドンを出てすぐに寝てしまったので、気付いた時にはフランスの大陸っぽい田園風景に囲まれていて、そんな景色を眺めているうちにあっけなくパリ入りした。

▶️乗ってきたユーロスター先頭車両と記念撮影(パリ北駅にて)

パリ北駅は入国側はシンプルな構造で先頭車両と記念写真を撮ると、ゲートもなく、すぐに50mほどで駅の外に出る。
この辺りはパリ市街地には近いが北東側という事で治安がよくないらしく、日本で予め手配しておいたリムジンタクシーでさっさとホテルへ向かった。

▶️ギャル・ド・ノール駅舎とお迎えのベンツVクラス(撮影許可とりました)

⬜️ パリ市内〜パリ・シャルル・ドゴール空港〜羽田空港

パリ市街から空港へも同様にリムジンタクシーを日本で事前手配しておいたが、高速道路へのアプローチや渋滞の対処など、ドライバーが慣れていて助かった。
また、シャルル・ドゴール空港はあまりに広大で自力でターミナルやチェックインカウンターを探すのは骨が折れると思われたが、前述のリムジンタクシーのドライバーにチェックインカウンターにまで連れて行ってもらえて助かった。
なお、この空港は出国審査前のスペースには店もほぼ無く、さっさと出国手続きするしかない、ちょっと淋しい空港だった。

ところで、ここでの出国手続きはかなり厄介で、手荷物をかなり分解させられ、上着・パスポート・財布・スマホ・”100g以下の液体の入った容器を一つの透明なジッパー袋に入れたもの”、など、全てバラバラにトレーにのせる必要があり、家族もバラバラにされる為、検査終了後の手荷物の取り違えや紛失は不安だった。

▶️夕陽が差し込んで美しい光景のシャルル・ドゴール空港の搭乗待合

帰りの飛行機は現地夕刻発の777。日本直行便なので気は楽。
航路は南回り、と機長からアナウンスがあったが、”まずイスタンブールまで4時間飛びます”とのことで、西欧からトルコまでの距離を実感した。
そしてほぼ寝ている間にモンゴルの南端と北京・ソウル上空を経由して全く揺れない、そして寒くない比較的快適な14時間のフライトとなった。

▶️フライト終盤 帰途

そして、羽田空港第3ターミナルでは、すぐ目の前の京浜急行線に乗り、また来た道を戻って帰宅した。


以上、
最後までお付き合い頂きありがとうございました。

写真:著者撮影(2023年8月)