檸檬の様な青

エッセイを書きたい。俳句を詠みたい。

檸檬の様な青

エッセイを書きたい。俳句を詠みたい。

最近の記事

生まれて初めてストリップへ行って来ました

生まれは横浜市。近所にストリップ劇場があった。子供の頃から、女、子供が踏み入れてはいけない領域の「何か」があると認識していた。 思えばその頃から、中は一体どうなっているのか、どれほど煌びやかな世界なのか、恐怖と憧れの入り混じるような気持ちを持っていたが、齢三十を過ぎて、足を踏み入れることができるとは思っていなかった。 新井 見枝香(みえか)さんについて知ったのは、2018年。フジテレビで話題の女性に密着する「セブンルール」を見て、素敵な「書店員」さんがいるのだなと惹かれた

    • 憂鬱を煮しめたような驟雨と

      雨、月曜日、少し遅れた電車と、復帰一日目の仕事を合わせれば、憂鬱の完成。 長靴を履いて、長傘を差して。 冷たい雨への備えは万全だった。 予報には無かったはずだが、 駅に着いた途端、重い鈍色の雲の間から、光が射し込んでくる。 生暖かい風が、肌に纏わりついてくる。 この陽射しを、祝福と受け取って良いのだろうか。 珈琲さえも喉を通らない、緊張の一日への。 人間らしい生活へ戻ることへの。

      • 超合法ニートの終わり

        朝はコーヒーを豆から挽いて淹れ、 昼食を兼ねた簡単な朝食をつくり、 概念としての森(どうぶつの森)で過ごし、 夫が帰るまでに夕食をつくり、 たっぷりと読書の時間を設け、 十分な睡眠を取る。 注意点として、惰眠は貪らない方が良い。 睡眠リズムの崩れは、致命的だ。超合法ニートにとって。 それさえ注意していれば、存分に堕落して良い。 そもそもニートは合法だし、否定する気は無い。 勝手に自分の心情で、自分に対してのみ付けた名だ。 名乗るのであれば、主婦の方が妥当であろう。 しか

        • 好きな作家と同じ姓になりたくて、私は結婚した

          ある作家が好きだ。 どうしようもなく、偏愛的に。 10代の頃、どうにかして愛人になる術は無いかと考えた。 米国の滞在時期が重なっていたと帰国後知り、唇を噛み切る程悔やんだ。 そしてある日気付いた。土台無理な話だと。 では、どうすれば良いのか。 暗中模索のまま数年、職場を変えるタイミングが来た。 よくある挨拶回り。 その中の一人が、光っていた。 譬喩では無い。 光っていたのだ。 姓は、偏愛する作家と同じという。 瞬間、この人と結婚すると悟った。 押して、押し切って

        生まれて初めてストリップへ行って来ました

          消火器の格納箱を赤提灯にするお父さん

          夜の帳が下り、あてもなく歩いた。 コンビニエンス・ストア。 その真横にある、行政に設置させられたであろう、真っ赤な消化器の格納箱。 確かに、直方体の上部の面は、地面と平行であるように見える。 いや、多少傾斜があるかもしれない。 どうして使い勝手の悪い、その小さな箱を、カウンターに選んだのだろう。 溢れんばかりのビニール袋を2つ、膝の間に挟むように地面に置き、銀色の缶を、そっと、大切そうに、箱の上部に置く。 銀色の缶のプルタブを引き上げると、思いのほか音が響き、周囲を気

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