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COSMOS

二年前、最愛の妻を迎えたあの日。
ぼくらの門出を祝福してくれたお酒がある。

名を秋櫻。優しく穏やかな、広島の秋上がり。消え入るようにさり気なくも決してぶれない繊細な味は、一途な願いを二人に添えた。

造り手の揺らがない酒造りへの情熱、生一本。日本酒にゆかりの深いこの言葉が、ひたむきな想いを意味するのは偶然じゃない。

富久長酒造は百試千改を掲げる。表現は違えど、一心に向き合う真摯な気持ちに変わりはない。

毎年、涼風の吹くころ、姿を見せる秋櫻。ぼくはその想いを確かめるように、自分に通わすように、このお酒を呑む。

真っすぐでひたむきな、優しさ。
まるで、秋櫻の花言葉。

あの日式場を飾った一升瓶は、人生の新しい1ページを綴るのにぴったりだった。二人ならんで見上げた空は、ずっと、ずっと青だった。

このお酒を選んだ理由を
きみはまだ、知らないと思うけど。


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