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Variable Void(可変する空間)IRENISA SPRING/SUMMER 2025 PRESENTATION

先月の話になりますが、7/11(木)に原宿のjing(ジング)で開催されたIRENISA(イレニサ)25SSのランウェイ形式のプレゼンテーションを観に行ってきました。ブランドとして2回目のショーであり、またウィメンズラインをスタートするという、新たなフェーズへの期待がさらに高まる素晴らしいものでした。

IRENISA SPRING/SUMMER 2025
PRESENTATION
"VARIABLE VOID"

Rakuten Fashion Week TOKYOにて発表を続けているIRENISA。今回のショーは「Variable Void(可変する空間)」をテーマに、20世紀イタリアの美術家 ルーチョ・フォンタナ(Lucio Fontana)から着想を得たとのこと。

ルーチョ・フォンタナと聞いたとき、無機質なムードに包まれた「ショー」という真っさらなキャンバスを、鋭く研ぎ澄ませた「何か」で深く切り裂く、という暴力性のある光景がパッと浮かび、それがこのショーになぜかぴったりだと感じました。

光と漆黒、静寂と狂気、エレガンスとサーカズム。相反する要素が入り混じった、異次元への入口のようなIRENISAの世界。

彫刻のような衣服を作ることを意識し、自然の美しさと人工的な緊張感を融合させました。また、レディースの開始に際し、性別や年齢にとらわれないニュートラルな人間像を描くことを目指し、フラットな目線で世の中を見つめることができる人をイメージしたコレクションを作りました。

デザイナー小林祐氏、安倍悠治氏インタビューより

19:00スタート。仕事終わりで向かったため、ショーの途中からになってしまいましたが、記憶に残る体験となりました。改めて、リアルでショーを観るのは、やはり強く感じるものがありますね。

ウィメンズが加わっても、IRENISAの禁欲的なスタイルは、今までと何ら変わることなく、淡々とその物語を紡いでいきます。不思議と性差を感じないので、どのルックも自分が着るイメージと重ね合わせてもスッと入ってきました。

上質な素材を使ったミニマルなブランドは国内にも多くあると思いますが、些細なシルエットやそのディテールなどIRENISAほど潔く「モード」に振り切り、その存在感を指し示すブランドは見当たらないと感じています。加えて、ものつくりのクオリティやこだわりも当然ながら抜けています。
僕が国内ブランドの中でもIRENISAに強く惹かれる部分であり、ウィメンズを始めたことにより、そのエレガンスはさらに増したと感じます。
個人的にも久々にモードの強さに触れ、身が引き締まる思いで取り組んでおります。

 「イレニサ」(小林祐、安倍悠治)はこのほど、都内で25年春夏向けのショーを行った。デビューから10シーズン目でレディスラインを始め、男女のモデルを交えて見せた。

 テーラーリングを軸とするなかで、体に付かず離れずの緩やかさと、品のある印象を両立させた。艶やかなサテンやサマーウールを使ったセットアップのジャケットは、ドレープを生かした自然体のシルエット。ゴージを下げたラペルをアクセントに、クラシック過ぎないモダンなバランスで見せた。

テーマは「可変する空間」。素材の力とパターンによって、体に寄り添う柔軟性のある造形へと発展させていく。透け感のあるピンストライプのスキッパー襟のロングシャツは、エアリーな裾のシルエットが映え、女性のセンシュアルな魅力が引き立つ。裾をブラウジングしたクロップト丈のシャツなど一部はレディス専用アイテムだが、性差を超えたエレガンスを新たな魅力にしている。

繊研新聞より

作曲家・アーティストの若狭真司さんがこのショーのために楽曲を書き下ろし、アップライトベースによるライブパフォーマンスも行いました。静寂の中、迫りくるランウェイの高揚感や緊張感を掌り、また相反する美意識が行き交うショーの余韻を増幅させる素晴らしいパフォーマンスでした。

2年ほど前、真司さんが手掛けていた某ブランドの楽曲を聴いて感銘を受け、それをきっかけに個展などもお邪魔するようになりました。
ファッション音楽に関して、ブランドのコンセプトを「音」「空間」を使い、見事に具現化していることにいつも感嘆しています。ファッション界からオファーが絶えないのも大いに頷けます。

Track title: Variable Void.
両儀的な表現は、私の最も得意とする領域
夜明けと宵、電子回路と臓器、鉄と毛皮

若狭真司氏

IRENISA AUTUMN/WINTER 2024/2025

さてPOESIES(ポエジー)には待ちわびたIRENISAの24AWウエアが入荷いたしました。1stデリバリーではジュエリーのみの入荷だったため、いよいよ本格的な入荷スタートとなりました。
IRENISAと言えばまずはテーラード。このジャケットの美しさにはやはり惚れてしまいます。

IRENISA MODIFIED SHAWL COLLAR JACKET
MOCHA BEIGE

ラペルの形状がIRENISAらしい構築的な曲線を描く、背裏仕立てのテーラードジャケット。
ここ数年、オーバーサイズやリラックス感あるジャケットを着る機会が多かったので、極薄ながら肩パットが入ったエレガントな雰囲気は、程よくスタイリングが引き締まります。
とはいえ、かしこまりすぎず、軽さや抜け感をキープしたモダンなシルエット/仕立ては、新しいメンズファッションへの可能性を感じずにはいられません。細部までしっかりとつくり込まれた、IRENISAの存在感を最も体現できる一着ではないでしょうか。

生地は尾州産地にて、ファインメリノsuper120`sのウールを使用して織られたウールギャバジン素材です。
シャツも作れるような厚さの素材感で、肌当たりの良いさらっとしたタッチと品のある光沢が特徴で、シワになりにくい上質なウール素材です。手洗いが可能で、通年使える素材になっています。
一見は単色のようにも見えますが、タテヨコの糸の色味に差をつけ深みのある色に仕上げています。

定番という位置付けで展開しており、先ほどご紹介した25SSのランウェイではブラック、ボルドーが登場し、セットアップでとても印象的なルックでした。

まずは今期のMOCHA BEIGEを是非。

---IRENISA(イレニサ)
小林祐と安倍悠治によるデザイナーデュオが手がける日本のメンズブランド。
ブランドコンセプトは、“CHIC WITH SARCASM”。
モードの基本を熟知した立体的なデザインに、クラフツマンシップを融合させた新しい衣服。そこに、常識の見え方が変わるきっかけを組み込んでいく。
既成概念に捉われない遊び心で、衣服の概念を裏切る。本当に永く付き合える衣服とは何か、未完成の完成とは何かを提案する。

---デザイナープロフィール
小林祐はYohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)でパターンの経験を積む。
安倍悠治はSUPPORT SURFACE(サポートサーフェス)にて企画・生産・デザインを経験。
2018年、東京を拠点に活動するデザイナーデュオとしてdo-si LLCを設立。
2020-21年秋冬コレクションより、IRENISAをスタート。

IRENISA──自由な創造性で飛躍する、新世代デザイナーたち vol.8

POESIES OFFICIAL EC

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