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「STAY HOME」

この言葉が巷にあふれている。


楽しんでいる人、飽きた人、苦痛な人、
色々な感情を持つ人がいるのだろう。


僕の会社はリモートワークではなく
座席をソーシャルディスタンスにすることで
業務を継続している。


そして僕はその対応にすごく安堵している。


僕は仕事が好きだ。楽しい。
一方で家は苦手だ。



正しくは「苦手だった」




今は「苦痛」である。







昨日、帰宅すると妻がひどく落ち込んでいた。


昨年より鬱を発症し、いま通院中である。

それがひどいのかと思いきや、
いつも以上に落ち込み方がひどい。


「どうしたの?」



「・・・・ううん、なんでもない。」


怒ったり悲しんだりしているときは
あまり言いたくないタイプと自身で言っており
しつこく聞くと機嫌が悪くなる。

だから、様子を見ていた。



しかしため息が一向に終わらない。


再び聞いてみる。



「ねえ・・やっぱりなんかあった?
 どうしたの?」



「・・・・・・言いたくない。」



「そう・・・。」



それでもため息を何度か繰り返していくうちに
ゆっくり口を開き始めた。




「実はAさんからLINEが来てさ・・・」




このAさんは子どもの同級生のお母さん、
つまりママ友である。
近所に住んでおり、妻と仲がよい。

自身も鬱持ちであり、クリニックに
同伴してくれたり
何かと気にかけてくれている存在である。



「コウに腹が立つって。

 妻がこんな状態なのに、未だ主軸には
 仕事があるって。
 帰宅も遅いし、家でも仕事をしている。
 今業務量が多いけど、
 それってコウじゃないと出来ないの?
 仕事を減らすとか考えてないよね?」




(ーーーえ?)




突然の話の展開に頭が追いつかない。


仕事が多く、帰りが遅くなりがちなのは
事実である。

ただ、一方で家事も育児も精一杯頑張っている
つもりだった。
事実、自分の休日もほぼ休めていない。


以前、疲れがピークに達したとき
「たまには休みがほしいなあ」と
ボヤいてしまったことはある。

それが跳ね返ってくるとは思わず。





「LINEみてみる?
 私が話すより早いかも。」



大まかにまとめると以下のようなことが
書いてあった。



-------
いやー、にしてもコウには腹が立つ!!
忙しいの分かるけど、こんな家庭状況で
やる仕事じゃない!
ここまできても、(妻が)完全にダメにならんと分からないのかな。
自分の好きな仕事してる場合じゃない。

「休めん」って、この家庭環境でその仕事を
選んだのはあなたなんだから、
フォローの手立ても考えて動くべきでしょう。

そこが整えられんなら、続けられる仕事
じゃないと考えたりしないんだろうか。

あの2人を1人で見るのは難しいよ。
分かってるのか、分かってないのか、
どうにかなってるから、
片目瞑って好きな仕事をしてるのか!

また転職っても難しいやろけど。。。
家庭状況を掛け合って、新人研修なんて
今は立場やってる場合じゃないよね。

余計な事やろけど、自分のやりたい仕事かも
しれんけど
別の方法考えるべきと思うよ。。。

たまには休みたい、って
自分の好きな仕事をやって
自分が休めない状況作ってるんだから
仕方ないやん!!って思った。

新人研修などをやれる人がおらん!って
全部引き受けてる場合じゃない、って所!
その仕事引き受ける変わりに
自閉の重度双子の面倒見てくれる人おる?
そんなん会社には関係ないもん

逆に言えば、言いように使われてるわ!
そこを自分で折り合いつけつつ
家庭もフォローできる少しの余裕がなきゃ
続かないよ!
一年でそれでしょ、もっと色々やらされて
断れずにパンクするんじゃないかと思うよ。
-------




ショックだった。


仕事が楽しい。やりがいがある。
信用されている。

自分の仕事と平行して、新人さんのフォロー
業務改善提案のプロジェクトに参加している。

正直、パンクしそうにはなる。

だけどもやった分だけ成果があがるのは
単純に楽しい。

そしてこれらは全部自分でやりたいと
手をあげたものである。



家のことも帰宅して頑張っている。

休みの日も掃除、育児、料理、ぜんぶやって、



でも足りていなかった。



続けて妻は話す。



「私もAさんが言うとおりだと思う。
 仕事を減らしてほしい。
 持ち帰らないで欲しい。
 家庭を主軸にしてほしい。
 もっと私が元気になるための
 リードもしてほしい。」




主張はわかる。わかる。わかる。


わかる・・?


頭の中や視界がぐにゃりとしてきた。



そのときの僕は自分のすべてが
否定されたような感覚に陥った。


否定された自分がかわいそう。
この期に及んでも、自分のことを考えている。
家族の心配より、自分のことか。最低だ。


自己嫌悪感も襲ってくる。




仕事が残っていたから、子どもを寝かせてから
やろうと思っていたが
気分の落ち込みが強い。
なにより妻に見つかるのもイヤだなと思う
部分もありその日は眠りについた。







翌朝、頭痛とひどい倦怠感に襲われた。



知っている。強い鬱だ。



子どもは放課後デイサービスに預ける日。
お弁当が必要だ。


カラダをどうにか起こす。


家のこと・・・


言葉がよぎり、
夜ゴハンにと、サラダと味噌汁を準備した。


(大丈夫だな。思っていたより動ける)



一通り終わったあと
コーヒーとパンを口にいれた。



ちゃんと味がした。おいしい。



(よかった・・・・)



準備を終えて、少しだけ静かなリビングで
気分を鎮める。


カラダの力が抜けていく。






しばらくすると、寝室からカーテンを
開ける音がした。



抜けた力が戻る。呼吸が苦しくなる。









少しだけ早めに家を出て職場に向かった。


家にいたくなかった。



(一旦忘れて、仕事を楽しもう。
 そして早く帰ろう。完璧。よし!)



取り繕った気持ちはあっさりと崩れ去る。


会社に向かうのもツライくらい鬱は
牙を向いてきた。


運転しながら涙がでてくる。


サボりたい。仕事したくない。
何もしたくない。ひとりになりたい。




ネガティブな感情が一斉に押し寄せてくる。


しかしその日は出社人数が少なく
僕は仕事をリードする立場だった。


(逃げたらダメだ)


ネガティブな感情を押し殺し、
オフィスについた。


パソコンの電源をいれる。


朝礼を終え、業務をスタートさせる。


仕事を割り振っていく。



仕事の思考と気持ちを一生懸命
分離させながら進めていく。



気を抜くと飲まれる。

飲まれると手が止まる。ダメだ。





ランチタイムになった。




午前中に話を聞いてくれた知人の進めで
ノートに自分の考えを
アウトプットすることにしてみた。




食べるのを忘れ、夢中で書き出した。




やがて、押し殺していた気持ちが
崩れはじめたのか
パーティションの影に隠れ
ポロポロ泣き出してしまった。




写真をとり、知人に送った。



しばらくすると


「シェアありがとう。苦しいのにがんばったね」


返事がきた。涙がさらに出てきた。



さらに時間がたち、ふたたび返事がきた。


僕のアウトプットの論点を整理し、
補足を加えてくれた内容だった。

それは中立的な立場で書かれたもので、
自分では見えていない部分が含まれていた。

そしてその中には僕を肯定する言葉も
含まれていた。


それを読みながらしばらく
やりとりをしていると次の言葉が届いた。



「コウが仕事したいのも、仕事楽しく
 やってることも、絶対におかしくないから、
 そこは否定されないから、
 楽しく仕事しなさいな」




欲しい言葉だった。



続けて



「仕事楽しいって素敵なことだよ」




自分の席で涙が止まらなくなった。




鼻水もたくさんでてグジュグジュしていると


「コウさん風邪ですか?」


と声をかけられるほどに。






今、このNoteを書きながらも涙が出てしまう。




「全てが僕のせい」という思考は
完全に払拭できない。


きっと割り切りながら僕ができることを
整理して前に進まないといけない。

だけども僕は不器用で、
きっと明日も、またツラい日だ。



それでも、知人の僕を肯定してくれる言葉は
とてもあたたかく、救いになった。

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