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新作ミュージカル『COLOR』

推しが出てない作品はできる限り遠征を控えたい。
作品は好きそうな感じだったし、キャストも好きな人ばっかだなと思ったCOLORでしたが、諸々の事情により今回は遠征をせず、最終地愛知で初観劇でした。

カラフルに彩られた開演前のセット(上演中以外は舞台の撮影OK)

両組み合わせ見たけど、私は成河ぼくと濱めぐ母の組み合わせが好きだったので、ソワレまで観た後に翌日の成河濱田回を追いチケ。計3回観ました。
(マチネ15:30終演→ソワレ18:15開場は時間の使い方に困った。笑)

いつもと同じくHPのざっくりあらすじぐらいしか目を通してなくて、ノンフィクションってことはぼんやり頭にあったけど、元になった作品も読んでないし、あんまり深く調べずに観に行ったので、最初ロビーに展示してあるお着物の意味がわかってなかった。すみません。
マチネを観て、タイトルの『COLOR』ってそういうことか! そしてロビーの展示はそういうことか! と気づいて、ソワレは早めに入ってしっかり味わいました。
椿の実で染めても赤にはならないんだなーと思ってよく読んでみたら、なるほど椿の"実"か…あれ、そいうえば椿の実ってどんなんだっけ? などとワクワクしちゃって、染料って奥が深いなあと思いました。

ロビーに飾られていたお着物。椿の実で染めた灰色。


ノンフィクション作品を"ベースに"ミュージカル化、ということなので、丸っきりモデルの坪倉さんの経験通り、ではないのだよね。たぶん。
でも、ごはんの白いもやもや・小さいつぶつぶとか、電線やコインの表現とか、UFOキャッチャーから救い出す感覚なんかは当時のご本人の感性なのかな。
主要な登場人物の名前も変えてあって、草太という名前は草木染め作家という職業に寄せに行った感じだし、お母さんも作中では名前を呼ばれてはいなかったと思うけど、葉子さん、なんですね。葉は一つして同じ色のものはないって優しく歌う母にぴったりの名前だなーと思った。
「探してみたら 自分だけの色 今この瞬間の命の色」ここの濱めぐ母の歌声、とても温かい…。

事故直後は体もうまく動かせていない感じだったし、食べる寝るといった行為の意味や、熱い冷たいや満腹といった感覚もわからない。
前向きに一つ一つ教えていく母と、子ども扱いするなという父。
このとき、父親はあんまり協力的ではないのかな?と思ったけど、出ていった草太をいち早く探しに出たり、迷子になったときは少ないヒントから居場所を当てて車で迎えに行ったり、きちんと草太を守っていたし、大学へバイクに乗っていくと言ったときも、俺も怖いけど…と言いつつ背中を押したりもしてて。メインは母とぼくとの結びつきを描いていたけど、父もきちんと草太のことを考えていたんだなということが伝わってきた。

早いタイミングで大学に復学して、電車に乗ったり、友達と再会したり、たくさんの人との出会いがあったと思う。
そして、出会った全ての人が、みんな草太にとって"大切な人たち"。細い目で見てきた人も、通学途中にぶつかった人も、一緒に笑ってくれた人も、理解してくれない人も、線を引かれた人も、理解して話を聞いてくれた人も、どんな人でも。
"今の"草太を形成しているのは、いつ戻るか、戻るかどうかも分からない事故前の過去ではなく、事故の後に積み重ねていった新しい過去。事故後に出会った全ての人の記憶を紡いで"今の"草太という人間は出来上がっている。
だから草太は、新しい過去が愛おしいし、事故前の記憶が戻るのが怖いとハッキリ言えるのだと思う。

草木染めの道に進んだ草太は、これから育つ枝や葉は使わず、自然に落ちたものを使う。
その理由は、普通に考えたら、自然を大切にするって意味かなって思うんだけど、草太が語ったのは「一度終わったように見える命を、色としてよみがえらせる」。
草太自身と染料の元になる植物を重ね合わせて、枝から後の葉や幹から落ちた後の枝でも、何かを彩ることができる、誰かの心を染めることができる。
自分だけの色を探してみよう。

終演後。何色に染まることもできる。


セットはシンプルで、マッピングが効果的で、言葉の選び方も丁寧だな、と感じました。
押し付けがましくなく、さわやかに命の再生を描いた作品でした。
また観たいな。

そういえば、配信の発表がありましたね!
地方公演まで待って、せっかくいい作品だなーと思ってももう行ける公演が限られてることってけっこうあるので、また観たいなって思ったときこうして配信をやってくれるのはありがたい。(なんでもかんでも配信やってくれ!配信はないんですか?と叫ぶのは違うと思うけど)
アーカイブもあるということなので、時間の都合がつけれたら観ようと思います。

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