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遮光器土偶に於けるある考察

前に日本美術史の本を読んでいたら、よく見るアイツを見つけた訳で。

そう、「遮光器土偶」である。
アイヌ民族が使う陶器で出来た遮光器をつけてるみたいだから遮光器土偶。
ちょっとオカルト的な考え方の人たちは、これが宇宙服を着た宇宙人だ、なんて言ってる。
かくいう自分も中学生くらいの頃はそんな考えに「へぇ」と関心していたのだが。
ちなみに歴史的、学術的な考えでは、古代のシャーマンが儀式の際に使っていた人形、となっているらしい。
なんともまぁロマンがない。
が、事実なんてのは往々にしてそんなもんである。
最近では土偶のモチーフは種子だ、なんてのもあるみたいで。

と、前置きがいつものごとく長くなってしまった。
今になって、この遮光器土偶をよくよく見ると既視感がある。
なんかどっかで見たなと。
さんざんアニメやらゲームのキャラクターのモチーフにはなっているが、そういう事ではなく。もっとその根本的な。

それが現代の漫画、アニメのデフォルメだった。
現代というよりは、90年代あたりの漫画アニメ。
顔の面積の1/3を目が占めているキャラクターたちを、誰もが見覚えがあるだろう。
冷静に考えれば、どう考えたってやりすぎだ。
少し先の世代の日本人が思うんだから、欧米人が日本の漫画文化をクレイジーと言うのも頷ける。

遮光器土偶にも、これと同じ現象が縄文時代から現代の間で起きているんじゃないか、というのが今回のお話。
遮光器土偶になんだか愛嬌を感じてしまうのも、近代の漫画が馴染み深いからではないだろうか。
冷静に見ると、腫れぼったく細い目をして突っ張ったような顔は、そこまで愛嬌があるわけではない。
それが、現在では遮光器土偶の可動フィギュアも出ている。そしてどうにも動かした遮光器土偶は愛らしい。

このようなデフォルメは別の土偶なんかでもあることで。
「縄文のヴィーナス」のお尻から腿は、今のイラスト界で言う「魔乳」くらい誇張されている。 ちなみに西洋には全部乗せの「ヴィレンドルのヴィーナス」なんてのもある。
が、全部乗せをしてしまった結果、ただの肥えた人になっている。もちろん、その状態を魅力的に感じて作られたのかもしれないが。

そんなわけで、結局「遮光器土偶」は、遮光器つけてる訳でも、宇宙人でもなく、漫画見たいに目を誇張してあるだけじゃないの?というお話でした。

仮にこの話が合ってたとしたら、縄文から続く日本のデフォルメの発達を調べるのも面白いかもしれない。
何も考えすぎず、素直に目の部分は目として見ればそれでよかったんじゃないか、という話でした。

では、また。

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