「資金運用表から見るふるさと納税の効果(北海道白糠町を例に)」


『自治体の財政診断入門』(学芸出発社)という本がありまして、町の財政を勉強するための一冊として活用しています。

Amazonでも買えます。おすすめです。

付録の「資金運用表 簡易計算シート」2022年度データ反映バージョンがアップデートされたので、ふるさと納税の寄付が絶好調の北海道白糠町の財政状況を見てみました。

白糠町は最近のニュースでも取り上げられています。

「白糠ふるさと納税 12月末で157億円 23年度、はや過去最高」

白糠町は2015年10月15日から「ふるさと納税」の寄付に対して返礼品を送ることをスタートしたそうです。

返礼品を設けていなかった2014年度の寄付は計15件、計205万5000円。
しかし2015年度は寄付件数が6,953件件、寄付金総額は計1億5,900万円と激増!!

その当時人気ナンバーワンは毛ガニだったそうですが、他にも人気の返礼品があったようで、例えばしそ焼酎「鍛高譚」(たんたかたん)は、「ふるさと納税ランキング~焼酎編」で第1位を獲得しました。様々な返礼品が全国的に人気を呼んだようです。

それ以降は右肩上がりに増え続け、2023年度のふるさと納税寄付総額が昨年12月末時点で157億2800万円(速報値)となり、町村別で全国1位だった昨年度を6%上回る過去最高額を更新。本当にすごいですね。

ふるさとチョイスより

資金運用表は、自治体の決算データに基づいて作成される一定期間の資金構造の変化を検証することができる資料です。
すべての自治体について網羅的、かつ 30年にわたって作成できるため財政分析の基本表として有効性は高いと言われています。
私も一般質問で活用したこともあります。
借入や積立金等の増減要因を時系列で検証できるのも特徴です。

参考「資金運用表に表れる自治体財政の悪化要因 2005 年を境に変化した自治体の資金構造」(大和総研 金融調査部 主任研究員 鈴木文彦氏 ※自治体の財政診断入門の著者)

そしてこちらが白糠町の資金運用表です。

人気ベスト3の返礼品の画像も付け加えてみました
2019年度から基金が100円億以上増えています

表のグラフから、2018年度頃から積立金(基金=貯金)が急激に増加していることが分かります。
他方、地方債(借金)の現在高はあまり変わっていませんが、2022年度の(地方債現在高=137億9,900万円)から(積立金等残高=176億9,000万円)を引いた(実質債務残高)は、マイナス38億9,100万円となっています。
つまり町の貯金が借金を約39億円上回ったということです。
ふるさと納税でまとまったお金が入って、しっかりと将来に備えて貯金を増やしていることがよくわかります。 

ふるさと納税による寄付額の累計が500億円を超えたという報道もありましたが、直近の数字では600億も超えています。


寄付金の使い道の一つになっているのが子育て施策でした。

「国や自治体が育てるべき」“ふるさと納税”全国4位の北海道白糠町が目指す“子育て応援日本一の町” 18歳まで医療費&保育料&給食費&公営塾も無料

ふるさと納税制度を有効に活用して、まちづくりにつなげていることが実感できます。

美瑛町もまだまだ伸び代はあるはずです。
成功事例に学んで、来年度はまずは5億円を目指して頑張って欲しいと思っています。

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