大規模修繕工事の用語とポイント

設計業務の成果物と下地補修工事の実数精算
大規模修繕工事において、設計段階での成果物は、「図面」「特記仕様書」「設計予算書」などがあります。このなかでも、「特記仕様書」については是非よく目を通していただきたいと思います。特記仕様書とは、施工箇所、工法、材料などを定義するもので、工事を見積りするにあたって条件などが書いてある部分ですので、大切な書類のひとつです。

また、大規模修繕工事では「下地補修工事」という工事項目があります。これは、ひび割れ補修やタイルの浮き補修、爆裂などの鉄筋が露出している部分の補修工事になります。今の段階での下地補修と半年後の下地補修では数量が異なることが多いため、下地補修工事については「実数精算方式」と「請負方式(一式無増減)」という方式があることを覚えておきましょう。

それぞれご説明します。請負方式は、工事業者にとってはリスクがあり、高いものについてしまう可能性があるため、実数精算方式が一般的です。実数精算方式では、数量は仮定数量で、単価での契約となります。実際に工事を行った段階で、仮定数量よりも実数が少なければ、請負金額から減額となり、仮定数量よりも実数が多ければ増額となるわけです。したがって、数量が増えた場合を想定して、実数精算方式では予備費が必要となることに留意してください。

そして、「設計予算書」は、工事予算に対して工事項目、範囲や仕様を検討する材料にします。また、設計予算書の単価と金額を削除すると、各社が見積書を作成する「金抜き内訳明細書」となり、各社は数量積算をする必要がなくなりますので、各社とも同じ条件で見積りが可能となります。この”各社とも同じ条件”ということも大きなポイントです。

ただ、ここでの問題は実数精算の不誠実な精算があるということに注意が必要です。特に「談合・リベート型」の設計コンサルタントの場合に、精算数量や精算金額に不正を経験したことがあります。つまり実数精算の数量を水増しされ、マンション管理組合に不正に請求があったことを見抜いたマンション管理組合がありました。

素人で迷える子羊のマンション管理組合に対して、下地補修の数量を水増しし、やっていない工事の精算をするなんて、悪行がまかり通っています。そこで、マンション管理組合とすると、抜き打ちでもいいので、下地補修の数量についてチェックをしてほしいと思います。ポイントは下記のとおりです。

1.定例会議などの場面でもいいので、タイル補修やひび割れ補修の現地を案内してもらう。
2.実際に補修した補修箇所が目視でわかるように説明を受ける。
3.図落としといって補修箇所を図面化したものを見せてもらう。
4.現地と図面の補修箇所が合っているのか?をチェックする。(全数でなくていいです)
5.図面の数量計算方法を教えてもらって、簡単に検算してみる。

ここまでマンション管理組合の意識レベルが高いとわかれば、水増ししている工事会社や設計コンサルタントは警戒するはずです。それでも躊躇することなく、しっかりと検算までしてみましょう。数量が誤差の範囲内であれば良いのですが、大きくオーバーしている場合には、私達にご相談ください。お力になります。

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