見出し画像

生活を立て直す



目下、生活を立て直している。

まずやるべきことは、苗字が変わってしまった故の身分証明書の再発行。無免許かつ無所属な私の持てる数少ない身分証としてパスポートの再発行を急ぎたいのだけれど、これをするためには「苗字が変わりましたんで」と証明するための戸籍謄本が必要だ。

けれども離婚後の本籍地は「やっぱ故郷にしよかな〜」とかいう軽い理由で大阪にしてしまったので、収入印紙やらなんやらを同封して郵送申請をしなきゃいけない。と思って調べていたら、郵送申請するためにも身分証明書のコピーが必要なので詰んでいる。大阪に戻ったときに取りにいくか? と思うも、各所から「そろそろ身分証明書の提出を……」と急かされている手前、そんな悠長なことも言ってられない。マイナンバーカードがあればコンビニでも印刷出来るらしいけれど、もちろんまだそれもない。どないしたらええねん!


そんなド面倒な事務手続きをするついでに、銀行口座やクレジットカードまわりの運用も見直したいなぁと思って色々と調べてみた。やっぱり楽天銀行、楽天カード、楽天モバイル……みたいに楽天経済圏に入るのはお得らしいぞ……とか、でも近所のドラッグストアはTポイントを貯められるし……とか、地下鉄を乗るたびにポイントが貯まるメトポも捨てがたい……とか、家賃を払うならこのクレカがお得……とか、還元率とか、ポイントセールとか、お買い物マラソンとか、色々見すぎた結果、なんかもうどうでもええわ! という気持ちになった。


無論、個人経営の八百屋や魚屋や肉屋なんかにはポイントはつかない。でも、ポイント縛りでチェーン店を選ぶより、魚屋のおばちゃんと話をするほうが、ずっと生活を豊かにしてくれるじゃない。ポイント稼ぎに必死になり、大きな経済圏にしがみついていると、生活がたちまち量産的なつまらんもので囲まれているに違いない!(…というのはちょっと大袈裟?)……と思いながら近所を歩き、大型スーパーを素通りして魚屋で刺し身をおろしてもらうことにした。

すると、魚屋に集まる常連のおばさまたちは「もうすぐ緊急事態宣言、終わるでしょ」という話をしている。

「いやぁね、解除したらみんなすぐ飲み屋に集まってくるでしょ」「ホント、またすぐに人が増えちゃう……」

ここから先は

596字

新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。