これから描きたいのは、「バズ」よりも「調和」
「Webメディアで記事を書いてそれを読んでもらうには、どうすればいいのでしょう?」
——発展途上で毎年トレンドが変わるWebメディアの世界では、私のような若輩者にもそんな質問がビュンビュン飛んでくる。飛んでくるものだから、私が経験してきた「偶然のバズ」をどうにかこうにかロジックに当てはめては、何百回も答えてきました。たとえば、こんな感じ。
「インターネットは、誰でも自由に発表できる最高のツールです。でも発表しても、流通網がなければ、無人島でお祭りをやっているのと同じこと。だから交通網がある場所に看板を出しましょう。つまり、SNSを頑張りましょう」
「Webの記事は、雑誌のように、パッケージ買いされて頭から読まれるわけじゃありません。だから、誰がどこから読んでも大丈夫なように、常に一見さんにもわかりやすい記事を書きましょう」
「誰にも響かない記事を100記事出すよりも、とにかく1つでもいいから、インパクトのある渾身の記事を書いてバズったほうが、しっかりと記憶に残ります。更新ノルマに追われて数ばかり出すのはやめましょう」
……私はこれまで、散々そんなことを書いてきたし、喋ってきました。
それは間違いじゃないとは思っています。これまでの私にとって、または立ち上げたばかりのWebメディアにとっては、絶対に必要なことだとは思います。
でも、今日は真逆のことを書きます。これまでの発言を否定するつもりじゃないのですが、その先のことをずっと考えていたんですね。
新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。