新居、あったまってきましたので
8月上旬、アメリカ東海岸を出発してどんぶらこと太平洋を横断してきたコンテナ船の荷物もようやく届き、腰を痛めながらあたらしい家になんとか配置。そろそろ新居、あったまってきました。
そこで、今夜は見せられるとこだけを掻い摘んでお届けしようかな……と。見せられるとこだけ、です。(そんな装った虚構より、現実を直視したいリアリストな方はこちらをどうぞ)
あたらしい住処は、年季の入ったコンクリートづくりの無機質な集合住宅。内見したときは「都会的すぎやしない?」「というか、寂しくない……?」と少し日和っていたのですが、よく見れば壁のひび割れや染みなんかがとても良い塩梅で。これなら古い道具とも馴染んでくれるだろうと入居を決めました。
入ってすぐ、大変にインダストリアルな階段があるのだけれど、「本棚がない……あ、ちょうどいいところに棚……」と増え続ける本を並べているうちに、もうすっかり本棚。無機質すぎる空間を、本たちが中和してくれています。本は並べても役に立つ!
表紙がこちらを向いているのがとても楽しいのだけれど、そのままだと駆け上がるたびにパタンパタンと倒してしまう。そこで、そのへんで拾ってきた石に支えてもらっています。ふんばってくれ、石。
一階はダイニング。ニュージャージーの広い家では可愛らしく見えたピエール・ジャンヌレの椅子たちが、ここではかなり幅を利かせてひしめいている。客人を招く機運高まる4脚体制。
ちなみにこのテーブルクロスは、実はシーツとして買ったもの。
とても味わいあるベラルーシ産のリネンなのだけれども、掛け布団シーツとして使うには目が粗く、分厚く、そして重い。どないしよかこれ……と迷いながらもテーブルにかけてみたら、これまでの欠点がそのまま魅力になるじゃないですか。布が重いのでずれないし、結露したコップの水滴なんかもたちまち吸収してくださるし。こりゃ良いぞと袋状になっていた巨大シーツを表と裏で切り離し、2枚体制で洗い替えも出来るようになりました。
ただこれまで「テーブルクロスのある生活なんて、絶対に無理。貴族かよ!」と思っていたのだけれど、実際敷いてみたところ、醤油やソースをこぼすまいと所作が丁寧になるという利点までもがありました。これでは図らずも貴族に近づいてしまう。まぁそれでもこぼすのですが。
でもこぼしたところで、案外汚れない。リネンの繊維はペクチンという成分で覆われているらしく、汚れが浸透しにくいのだとか。油汚れも醤油のシミも、洗ったらちゃんと落ちます。そして速乾性も高いのだから、リネンはほんとうにすごいです。
ちなみに、朝ごはんがのっかってるのは、美濃焼の輪花皿。ニューヨークの高級店でも高値で売られてぶったまげましたが、日本だと手に入れやすいお値段です。
お箸はSゝゝの先細竹箸。「割り箸では?」と侮ることなかれ。最初は頼りなく感じるものの、一度使うと他のお箸に戻れません。
ダイニングの奥にちらりと見えていた黒い長方形はSONYのテレビ(中古)です。
ずっとテレビのない暮らしをしていたのですが、食事中にiPadでNETFLIXなんかを見ながらいつも画面をギトギトにしていたので、いよいよテレビを購入しました。中古ですが!NHKの集金が来てももう逃げられない!
大きな画面のある良さを一番実感しているのが、ヨガやストレッチのYouTube動画が格段に見やすくなったところ。スマホで再生しながらヨガなんかをやっても、姿勢を変えればすぐに先生が視界から消えちゃうじゃないですか……。ここまで大きいと、先生を見逃さない。
ただ、テレビを導入するにあたって悩んだのがテレビ台。木製家具の上に電化製品……というのがなんだか苦手だったし、賃貸かつコンクリ壁なので打ち付ける訳にもいかないし。どないしたもんか……と悩んだ結果、ブロックと板を置くだけ、という低予算な形で落ち着きました。
(300mmだとブロックがはみ出てるので、奥行き400mmのほうがよかったかも知れません)
板はモルタル風の塗料で塗ろうかな、と思いながらも塗料の検索に疲れ果てしまったので、そちらのプロジェクトは停止中。
さて。玄関入って左には、こちらもアメリカから運ばれてきた大きな姿見を。
定位置のなかなか定まらないかばん類は、ハンガーラックにぶらさげてます。床に置くより、掃除もしやすい。ちなみにこちらのハンガーラック、ものを掛けすぎるとすぐに倒れるのでお気をつけて。ハンガーはシルバーのほうが似合うだろうなぁ。
そして、右に微かに見えているのは、古道具の食器棚。古い道具は言わずもがな一点物で、日本のあちこちに点在しているので、ネットで気になったもを見つけてもレビューはないし、実物もなかなか見れないし……。だから収集・販売している方の審美眼を信じるしかないのです。私は実はヤフオクで、この方の出品する商品は信頼して購入させてもらっております。古道具はヤフオクがアツいのですよ……。
でもやっぱり、実店舗で実物を拝みたいものです。
食器棚の上には薬瓶を。こうやって外に出しておくと飲み忘れを防げて良い。
そしてもひとつ、古道具。
階段下箪笥なる、かゆいところに手がとどく箪笥でデッドスペースを埋めました。昔から日本の物件は、どんな隙間も許さずとことん収納をしてきたのだなぁ。そして今どきの物件は、本当に収納が少ないので困るなぁ。
その階段を上がったところに、
信楽焼の一輪挿し(三度目の登場ですが気にしないで!)。蹴飛ばさないように気をつけつつ。こちらとても気に入っているのですが、安すぎないですか? と不安になってしまう価格設定。
階段の先にある空間は、寝室として。ニュージャージーの家でワーキングデスクとして使っていた机はここに。原稿を広げて仕事をするには少々小さすぎたので、今はドレッサーになりました。
椅子はチェスカのアームチェア。中古で買ったものでしたが、竹の網目が傷んでしまったので座面と背もたれを交換して新品同様に。
壁にかかっているのは柳宗理の小判型の鏡(中古)。曲線がとても美しくて、これを掛けた途端に空間がやわらぎました。
また、ベッドの脇にはこのライトを置いているのですが……
上蓋部分がソーラーパネルになっているメイソンジャーのライト。真夜中に喉が渇いて水を飲みにいったりするとき、まぶしい光を浴びたくないので重宝します。もちろん電池もコンセントもいりません。
続きましてはサニタリー。
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新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。