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人生100年生きているバリバリ現役から気づけること

生誕100年 柚木沙弥郎展を観て


    自由であること、
    それがすべての人の共感を呼ぶのだ。

個人的に節目の年齢を迎え、人生の切り返しモードになっている昨今。
趣味のひとつの展覧会鑑賞でも、それぞれのアーティストから発信される光の受け方がちがってきているのを感じる。

誕生日の日には、Yuming Museumを鑑賞。ユーミンの現役50年の歴史から、アーティストとしての〝天才〟を実感しつつ、共感するものあり、忘れていたことを思い出させてくれるものもあり、節目を迎えた自分の〝いま〟のテーマを深く刻まれることもあり、鑑賞した意義がとてもあったと思う。

今回は、生誕100年を記念する現役染色家の展覧会に触れ、共感というインパクトを受けた。
好きなことに打ち込んできた人間の100年の人生から、私が、または私より先輩の多くの人たちにとってもピュアな刺激を与えられるであろうメソッドがたくさん。

作品は、プリミティブで、沙弥郎さんの目に留まりわくわくを感じたモチーフが、絶妙なセンスでデザインされていて、いつまでも見ていられる。

ミュージアムショップで見つけた、生誕100年を記念して制作された書籍
「柚木沙弥郎 おじいちゃん と 私」 柚木沙弥郎 丸山祐子・著
 / ブルーシープ社
が素敵。
丸山祐子さんは、1972年生まれの柚木沙弥郎さんの実のお孫さん。
“私のおじいちゃん”=柚木沙弥郎 の年譜を監修すると同時に、家族ならではの視点を交えた非常に興味深い編集の、特別な1冊だと思う。
沙弥郎さんの、実に0歳~100歳までを1歳ずつ見開きで非常に簡潔に紹介されている。
さらに、その年の世の中の出来事も添えられているから、100年間の時代の移り変わりを確認しながら、沙弥郎さんの人生をたどっていけてさらに興味深い。

アルバムをめくるように
楽しみやすい仕様とデザイン
シンプルだけどとても凝っている
沙弥郎は仏教用語の「沙弥しゃみ」から
大きな決断 新しい一歩を踏み出す
「今」が一番大切なことに気づいた


ちなみに
「0歳」の年は、「ソビエト連邦成立」
「11歳」の年は、「アドルフ・ヒトラー独首相に就任」「高島屋日本橋店開店」
「19歳」の年は、「真珠湾攻撃・太平洋戦争勃発」
「36歳」の年は、「東京タワー完成」
「42歳」の年は、「東京オリンピック開催」
「50歳」の年は、「沖縄本土復帰」
「60歳」の年は、「500円硬貨発行」「無印良品がヒット」
  ・
  ・
  ・
という具合。

いまの私に心に打ち込まれた名言、エピソードを抜粋したい。

 *毎日なにかわくわくしていることで、アイデアが出る。
(96歳 日本民藝館での回顧展での講演より)※聞き覚えにより文言は異なります。

 *楽しくなくちゃつまらない
 (95歳)

 *いつも大切なことは、自分の属している囲いの中に安住しないことだと思う。
 (93歳)※コメント中略しています。

 *過去の実績や肩書など、何もいらない。「今」が一番大切なことに気づいた。
 (87歳 パリでの個展で)  

 *86歳、初めてパリで個展開催!長年の悲願であった染布の個展。

 *85歳で、色彩を封印しモノクロームの作品にチャレンジ。

人は元気で生きている限り、楽しいことを見つけてやってみることで自分の人生といえるのだと、100歳の現役の大先輩から学ばせていただく。

柳宗悦の「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指して開設されたという日本民藝館にて開催。
素晴らしく澄んだ気に包まれ凛としている。
鑑賞後同エリアを少し歩き、旧前田家本邸を見学。
以前に訪れたときから丁寧に修繕されていて、荘厳で美しい。
ずいぶん久しぶりに訪れたが、以前より広く大きくさらに荘厳に感じられ
その時代の華族の館を堪能した。

旧前田家本邸 大客室・小客室


家族の年譜を見ながら侯爵前田利為の時代が自分の実家の歴史と重なり、ふと先祖の時代背景を感じたりした。

そういえば、この日は彼岸の入りだった。

日本民藝館に咲く寒椿
寒の戻りの冷たい雨にも鮮やか



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