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漢方~セルフメディケーション

東洋医学と西洋医学

■東洋医学とは
中国伝統医学(中医学)やインドのアーユルベーダ、パキスタンのユナニなど、アジアのあらゆる伝統医学を指す。
東洋医学の特徴:「未病」を治す 病気が発症する前にくい止める
         身体に負担をかけずに、自然の治癒力で病気を治療し、
         また予防することを目的としている。

■漢方医学とは
日本における中国伝統医学の総称。
漢方は、現存する最古の医学書『黄帝内径素問こうていだいけいそもん』をはじめ、中国初の薬学の専門書『神農本草経しんのうほんぞんきょう』や
『医聖いせい』といわれる張仲景が書いた『傷寒雑病論しょうかんざつびょうろん』にある地用法や中国伝統医学をもとに日本で独自の発展をとげた医学。
医学書を基にして、積み重ねられてきた経験医学。

漢方

・治療法:中薬(漢方)の処方・鍼灸治療・按摩・気功など
「医食同源」薬を食べる
 食べ物で病気を予防し、食べ物で病気の治療をする
約3000年前の中国では王室の食事を管理する医者を「食医」といい、どの
 医師よりも高い官位を与えられていた。食医は、食べ物で健康管理、病気
 の治療を行う
。そのため、まず優秀な調理人であることが条件。

■西洋医学とのちがい
西洋医学→病気をみる医学 他覚症状で病名を確定しその病気を治療。薬は化学薬品
漢方医学→病人をみる医学 病名にこだわらず自覚症状や全身の状態をみて、治療方法を導き出す。薬は天然薬品
     「未病を治す」予防医学なので、現代医学では治療することがで
     きない症状も治る可能性がある。

■漢方を支える自然哲学
自然哲学→健康な身体をつくるための3つの要素
(1)陰と陽のバランス
(2)五臓六腑のバランス
(3)気・血・水(津液)のバランス

■陰陽五行説
自然界のすべての事物には「陰」「陽」があり表裏一体にあるという自然哲学
・「陰」「陽」は身体の中にも存在する
・「陰」「陽」のどちらかが不足(虚)、過多(実)することで身体のバランスを崩し病気になる
・陰が不足すると身体に熱を生じ、陽が不足すると身体は冷えて寒さを感じる
●五行: 木  火  土  金  水
●五臓: 肝  心  脾  肺  腎
●五季: 春  夏  長夏 秋  冬
●五色: 青  赤  黄  白  黒
●五体: 筋  脈  肉  大腸 膀胱
●五華: 爪  顔  唇  毛  髪
●五志: 怒  喜  思  悲憂 驚恐
●五気: 風  暑  湿  燥  寒

■五臓六腑
臓器そのものだけではなく、消化器系や呼吸器系、循環器系、、泌尿器系に関連する内臓全般の働きを指す。
内臓は個別に働いているのではなく、それぞれが協調的に働いている。
この五臓六腑のバランスを崩すと健康を損ねる。
六腑: 胆 小腸 胃 大腸 膀胱 三焦
・三焦:体内に水をいきわたらせる経路
    消化不良、発汗異常、肌荒れ、夜尿症など

■気・血・水(津液)
血液や体液など全身に供給されるエネルギーのようなもの
気・血・水の量が過不足のとき、またはうまく循環していないときに体調を崩す。
●気:消化器系と神経系の機能の総称
   目に見えず、形がなく、働きだけがある生命エネルギー
「気」は作用によって4つに分けられる
・宗気・・・臓器や血液の流れをよくする作用
・元気・・・成長を促進し、活力を旺盛にする作用
・営気・・・身体に栄養をいきわたらせる作用
・衛気・・・病気に対する抵抗力や免疫作用
気の流れが乱れると、身体の調子も悪くなり、現代医学でいう自律神経や内分泌経に異常をきたす。
・「上衝(じょうしょう)」・・・気が逆流して上半身に偏ること
              頭痛、のぼせ、冷え、顔面紅潮、動悸など
・「気滞(きたい)」・・・気が上昇して流れが滞ること
           イライラ、鬱、情緒不安定、げっぷなど
・「気虚(ききょ)」・・・気の量の不足
           胃腸の機能低下、疲れ、めまい、体力気力がない
●血:気の一部が液化したもので赤い液体のこと
   血液だけでなく、ホルモンなど身体の調整機能を含めた栄養循環を指す
・「唹血(おけつ)」・・・血液の流れが滞ること
            腹痛、肌荒れ、生理異常、黒ずみなど
・「血虚(けっきょ)」・・・血液が不足すること
            皮膚の乾燥、目のかすみ、貧血、手足のしびれなど
●水:気の一部が液化した透明な液体のこと
   免疫機能全体を司る、血液以外の体液(リンパ液)などを指す
・「水毒」・・・水が滞った状態、代謝、分泌の異常
  むくみ、水太り、腹水、関節痛、頻尿、動悸、碵、痰、冷え、口喉の乾き、多汗、めまいなど

漢方薬

漢方薬は、数千年にわたりその効き目と安全性に関する経験で理論体系を築いたもの。症状に応じ数種の生薬を組み合わせて使用。
民間薬は、生活の知恵で伝えられてきた薬で、身近な植物をある症状に限って使ってきたもの。一症状につき一種類の植物を使用。

風邪・・・<中間症>葛根湯、小青竜湯
冷え性・・・<中間症>四物湯
便秘・・・<中間症>乙字湯、大黄甘草湯、麻子仁丸<虚症>
更年期・・・加味逍遙散(かみしょうようさん)


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