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‘トレード’と聞けば、まずはプロ野球をイメージすると思います。一般的には職場、職種における新天地への移籍を意味し、誰しも一ヶ所のみで人生を終えるケースの方が今や稀だと思います。
とは言え、其処の場を希望した、していないに関わらずスタート時において有用な存在でありたいという思いを必ず胸に秘めた瞬間はあった筈だとするならば、余程の人生計画で積極移籍を具体的に考える人も実は少ないのかなと思う処があります。

話しをプロ野球に戻します。
私がリアルタイムに感じた選手間トレードの中で最も衝撃だったのは、当時3年連続最多安打を記録しセ・リーグ最強のリードオフマンだった中日ドラゴンズの田尾安志選手と西武ライオンズの杉本正投手、大石友好捕手による一対二の電撃トレードの件です。

その折、私自身は中3の頃にあたり熱烈なドラゴンズファンでとりわけ田尾選手が大好きでした。大好きと言えばその15歳当時に、これは今でも思い変わらず3人のカリスマとして挙げるに猪木、ジュリー、田尾安志と言って憚りません。

私は朝刊記事で田尾選手のトレードを知った時に、衝撃から一日中怒りと虚脱感だった記憶があります。プロの世界とは何て理不尽な世界なんだと思ったものです。
あれから35年位が経過し、いろいろ事実がご本人の口からYouTubeを通して語られています。
私は田尾選手を、その後の活躍もつぶさに追っていました。一ファンとして結果論で見るのは仕方がないとして、ご本人の野球人生がその後の苦難を経験しながら一人の人間の在り方、そうした糧を積まれていった時間だったのかと、ご本人のお話しを拝聴しながらその点は大いに感じました。
されど中日ドラゴンズにもし在籍していたらと、この歴史の分岐点をファンならずとも、思わずにおれないご本人の業とでも言うべき運命には、ある種の人間学を考える要素、誰しもにおける否応なしの選択は避けられない観点があると、私は見ます。

あのトレードを分析すると杉本投手の側も驚天動地だった筈ですが、ドラゴンズで移籍1年目から大活躍します。大石捕手も二番手捕手として手堅い貢献をしています。つまり、彼らの活躍がファンのやるせなさを鎮め、変わらぬ球団愛への継続に繋げていった事は間違いありません。

これは、今現在に不満足かあるいは幸せと感じているかという問いかけに素直に答えられるかの見解と思います。長い目で見た今と瞬間時における今とでは、そうだったのかもしれないという答えの有無に直結するので、これは切り替える心のリセット、その要領は人によって違います。

人生は一度きりとこれは確かですが、それは例えば私‘鴻池和彦’ならば、‘鴻池和彦’としての人生を問うものに過ぎず、輪廻転生していく魂の修行と考えると、また新生していく未来のための経験なのだと、状況を受け入れていく力なのだとする考え方もあります。

一つの場所で終えられる方、そこで必要とされる方も厳然とあります。それも実はご本人の意思による選択です。
どちらにせよ与えられた状況にどう向き合うかは本人の考え方一つだと言って良いと思います。

そして、田尾安志選手。現在67歳とは思えない若々しさとエネルギッシュな活躍に今も憧れの存在であるのです。

先日、萩の離島、相島へ。
すいかの撮影に訪れました。
山口県のブランド特産品・相島すいか。
20年前にはなかなか想像できない時間に今楽しく向き合えています。




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