聖闘士星矢TheBeginning からみる原作ものの難しさ


https://kotzmovie.jp/ 聖闘士星矢TheBeginning 公式サイトより

「聖闘士星矢TheBeginning」だが映画として…どうなのか?


聖闘士星矢The Beginningは新田真剣佑こと真剣佑くんの素晴らしい肉体改造によるアクションシーンは見応え十分。ハリウッドらしいCGとの融合で「聖闘士星矢」としての雰囲気はあったし、タイトル通りすぎるシナリオ展開だった。

個人的に映画としてはそれなりに満足するものだし、YouTubeでの紹介では若干の苦言に取られたかもしれないが、聖衣の表現としては西洋文化の鎧を踏まえると理解できるレベルだったりする
https://www.youtube.com/channel/UC_z3meRdSPkm-Ol6-emoYWA

賛否あるのは当然として
漫画原作の映画化=失敗
という固定観念を持つ人も一定数いるわけで……
もちろんそういった感想を持つ人ももちろんいて当然だし、この作品でも批判的なレビューも少なくない。



漫画を映画化する際に気をつけると思われるポイント

原作ものを映画化する場合、
・原作のシナリオ再現の有無
・キャラクターのイメージのクオリティ

・原作の世界観の構築
の3つがよく言われるポイントだと思う。

映画化する際に監督や脚本側としては
・クリエイターとしてのオリジナリティーの追求
・原作再現の度合いと比率
にさいなまれるのは当然だと思う。

原作漫画のとおりにすると
・原作と同じでつまらない
と言われ
オリジナリティーを追求しすぎると
・原作を改変しすぎてつまらない
と言われる。

どちらにしてもある一定の批判は覚悟をしているのだろう


https://kotzmovie.jp/ 聖闘士星矢TheBeginning 公式サイトより

今回の聖闘士星矢にしても、原作をそのまま再現した場合、聖衣のデザインや登場人物の多さからくる手間。さらには少年ジャンプらしい「後付設定との整合性の難しさ」などかなり難航するのは目に見えていただろう。

さらに原作では聖闘士となるべく世界に散った100人の少年たちの父親が大財閥グラード財団の総帥・城戸光政というトンデモ設定や帰ってきたのは100人の派遣に対して10人ほどという、今の時代に考えるととんでもない児童虐待になってしまう。(アニメ版ですでに、同じ境遇の孤児という設定に変更)

そもそも聖闘士星矢の聖闘士になるという設定の下敷きを考えた場合に基本的設定は改変せざるを得なかったのは当然かもしれない。

それが今作での、星矢が聖闘士になるための流れが全くもって変わった理由の一つとも推測はされる。

また原作・アニメにあった銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)だと1vs1の聖闘士同士の戦いから暗黒聖闘士の登場。そこから白銀聖闘士との戦い。黄金十二宮編へと続くがどう考えても2時間の映画にまとめるとした場合、どれも描くには時間が全く足りない。
どう考えても足りない。

聖衣のデザインについて


https://kotzmovie.jp/ 聖闘士星矢TheBeginning 公式サイトより

YouTubeでも話しをしたが聖衣のデザインも賛否が明確に出るところだと思う。
端的に言うと
・原作漫画の聖衣のデザインはデザイン重視
・アニメ版の聖衣のデザインはスポンサーによる商品化重視
が見受けられ違いは明確。

今回の映画に関してはアニメ版のテイストをベースに西洋鎧文化を組み合わせるオリジナリティを追求をしたと感じた。
それ故の聖衣のデザインには賛否が出るのは当然だろう。

原作の場合、車田正美氏の画力やテイストを考えた場合、髪型の違いによるキャラクターの個性の出し方が全面に出た聖衣の描かれ方をしている。
もちろん描き分けが黄金十二宮編あたりからは違いが明確になってきているし加えて言うと黄金聖闘士の聖衣はヘルメット型が増えているので、原作全体を見た場合に映画版聖衣のようなデザインがピックアップされたのも理解できる部分は充分あると言える。

更にいうとCGでキャラクターの動き。特にアクションシーンを作る場合、ヘルメットで髪を見せないようにしたほうが圧倒的に作業が楽になる。
アクションシーンで生身の人間にフルに使わず、今作のようにCGで人を描く場合に髪の毛の動きまで計算をさせてすべてCGで描くとなった場合にかかる時間と手間を考えると、聖衣をヘルメット型にしてCGキャラクターとして作り上げたほうが圧倒的にCG処理作業としてはディティールを細かくしやすいし作業が楽。

ただ、この「楽」というのは設定された予算の中で治められるかどうか…という経営的な視点も加えて考えると当然の選択とも言える。無尽蔵に予算をかけられる作品というのは滅多にない。

映画を観ての素直な感想


https://kotzmovie.jp/ 聖闘士星矢TheBeginning 公式サイトより


真剣佑の頑張りは評価したいし、新たな作品に出ることで彼がハリウッドで父親の千葉真一/サニー千葉のように評価されるぶぶんはあるとおもう。
さらにはショー・コスギや真田広之。渡辺謙のように一目置かれる役者として可能性を感じさせてくれる部分はあった。

シナリオも「聖闘士星矢TheBeginning」というタイトルの通り、聖闘士星矢の物語のスタート。星矢が聖闘士になり自覚を持つ物語として2時間に治めきっていたとは思う。

聖衣のデザインは修行中の仮装着時は原作テイスト満載だったが、聖衣のフル装着に関しては顔の前面部分を隠したり開けたりのギミックが余計な気がしたりしたくらいか?(紀里谷和明監督のキャシャーンを思い出したりした)
もちろん粗もあれば個人的に???の部分もあるのも事実です。

漫画原作の映画の批評。特に悪評的意見を全面的に語るのは個人の意見、感想なので自由だとは思う
しかし
「原作との違いとそこに至る流れ」…も踏まえて考えると
原作との違いを楽しむ
くらいの気持ちも少しあれば、違った感想を持つかもしれない。

いずれにしても、
「悪く言うのが良くない」のではなく、
「自分の思い描いたものと違うから観る価値ない。みんな観ないほうがいい」
という、個人主観なのに他人に観ないことを押し付けるようなSNS発信はいかがなものか…と思う次第です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?