『ベイビー・ドライバー』公開! 是枝裕和監督が描く家族のかたちとは
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先日の第75回カンヌ国際映画祭で『ベイビー・ドライバー』が最優秀男優賞とエキュメニカル賞の2冠を獲得し、国際的にも高い評価を得ている是枝裕和監督。赤ちゃんポストや新生児取り違えなどの実際の事件からインスピレーションを得ながら一貫して「家族とは何か」を問いかけます。また、ドキュメンタリー的な手法によって作品が身近に思えたり、演者のパーソナルな部分まで引き出すのが是枝作品の最大の魅力。今回は待望の最新作と、ポイントとなるおすすめ作品をご紹介します。
罪か善意か。
捨てられた赤ちゃんの里親探しを巡るロードムービー
『ベイビー・ブローカー』(6月24日公開)
最新作は、偶然に旅することになった人々が疑似家族となっていくストーリー。韓国にもある赤ちゃんポストをモチーフに、登場人物それぞれが“家族と命”に向き合う心の変化が描かれます。キャリア初の韓国映画となり、先日のカンヌ国際映画祭では2冠を受賞。日本を代表する監督と最優秀男優賞を受賞したソン・ガンホはじめ韓国実力派キャストのタッグに注目が集まっています。
身を寄せ合って生きる3世代家族に隠された秘密
『万引き家族』(2018年)
子供の虐待や貧困からくる教育格差、年金の不正利用、DVなど、さまざまな問題が絡みあい人目を避けて生きる家族。社会のエアポケットに落ちてしまったような彼らが、罪で依存しあいながらも温かい絆を深めていく日々がリアルに描かれており、善悪を越えて思わず共感してしまいそうな作品です。現実を見つめ、仮の家族に幕を引いた翔太に感動します。
母が帰らない部屋で始まった子供たちの漂流生活
『誰も知らない』(2004)
兄妹が離れ離れにならないため、母が帰ってきた時のために、子供たちは母の失踪を隠して自分たちだけで生きていくことを選択します。愛情を振りまきながら姿を消す母親、束の間の楽しい時間の後に訪れる悲劇。必死に生きる子供たちに胸が締め付けられます。本作で史上最年少および日本人で初のカンヌ映画祭最優秀主演男優賞を獲得した柳楽優弥と、なぜか憎み切れない母親役YOUの演技が光ります。
いかがでしたでしょうか。家族の絆という私的かつ普遍的なテーマを、常に新しい視点で世界に発信する是枝監督。今後もどのような作品を作り出すのか注目です。