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孤独について

川上未映子さんが、孤独の最小単位って「ひとり」じゃなくって「ふたり」だと思いませんか?と新作のエッセイ『深く、しっかり息をして』で書いていました。

宇多田ヒカルさんも、For You のなかで「君の存在で 自分の孤独確認する」「一人じゃ孤独を感じられない」と歌っています。


あるいは、松尾潔さんが作詞した、EXILE の Lovers Again の歌詞。ひとりでも、ふたりでもどうしようもない気持ちが描かれています。


ただし、何かを書く場合には、ヴァージニア・ウルフが『自分ひとりの部屋』で書いたように、あるいは川上未映子さんが対談講演会「おっとりと川上未映子の新訳 ピーターラビットシリーズの世界へ」で仰っていたように、ひとりで書く時間は必要かつ贅沢なものです。

川上さんは『深く、しっかり息をして』所収の「何年たってもベリーハード」で、苦しい状況にあって助けてくれるのは、「誰かの書いた小説や、そして誰かが鳴らす音楽だった。勇気と慰めが渾然一体となったもので強く励ましてくれたのは、いつだって誰かの表現だった」と書いています。この箇所には、表現の生まれる場所と、それにより平穏を取り戻す受け手の関係性を考えさせられます。

孤独がなくなることはあるのでしょうか。みんなが仲良くすることというサンリオの企業理念と、私の好きなポムポムプリンを思い出しました。お友達がたくさんいるキャラクターなんですね。キャラクターと人間を一緒にはできませんが、川上さんの『すべて真夜中の恋人たち』を想起しつつ、わたしの実感も含め、「何年たってもベリーハード」、みな、そのようにして歩んでいくのです。


◆参考
おっとりと川上未映子の新訳 「ピーターラビット」シリーズの世界へ
https://note.com/cinefil/n/n76de13e7d504



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