見出し画像

口腔ケアの必要性を説明するための長い道のり

新しいケアギバーは老人ホームで介護士をしてた人なので、クライアントの舌苔を舌ブラシで除去してはどうか?と提案してきた。私も、舌苔については常々気になっていたのだが、半年に一回専門の歯科に行って、セデーションしながら口腔ケアをしていると聞いていたので、まあ仕方ないかと思っていた。お父さんも、彼女は飲食しないから虫歯の心配はないし、口の中はきれいだから口腔ケアは簡単でいいというのであった。

でも彼女は、思い立ったらすぐ行動に移してしまうので「まずはお母さんに確認してからね」と釘を差してから、
・舌苔除去は半年に一回専門の歯科で、鎮静をかけて行っていること
・口を開け続けることができない(指示が入らない)ため、高齢者に行うようにはできないこと
・不随意運動があるため、硬いものや尖ったものを口に入れるとケガをするリスクが有ること
・あまり深く突っ込むと、嘔吐を誘発してしまうこと(もともと嘔吐しやすい)、そして吐物を誤嚥するともっとやばいことになること
・バイトブロックとサクションを用いてやってみてもいいが、お母さんに事前に確認する必要があること(そこまで侵襲をかけることを望んでない可能性ある)

などなど説明する。ちゃんと伝わったかなぁ・・・?
ちなみに、私も1日2回スワブでゴシゴシしてるのだがちょっと奥の方触ると嘔吐しやすいんだよなぁ・・・うがいもできないから水で洗い流すこともできないし、唾液がいっぱい出るのでそれで洗浄されてることを祈る。
ちなみに、洗剤を流さないカナダ人なので私以外は歯磨き後拭き取りすらしていないのであった・・・

でも、口腔ケアは誤嚥性肺炎防止のためには最も重要なことなのでお母さんに説明して舌ブラシや口腔洗浄液を使用してもいいかなと思う。

ただ、口腔ケアと誤嚥性肺炎との関係について同僚に話したとき「誤嚥性肺炎」という言葉がピンとこなかったみたいだ。
誤嚥 =aspiration、誤嚥性肺炎=aspiration pneumoniaだと思ってたんだけど、一般的な言葉ではないのか?

Aspiration pneumonia
Aspiration pneumonia occurs when you inhale food, drink, vomit or saliva into your lungs. Aspiration is more likely if something disturbs your normal gag reflex, such as a brain injury or swallowing problem, or excessive use of alcohol or drugs.(メイヨークリニックのウェブサイトより)

HCAの教科書にも一応、意識障害のある患者の口腔ケアは感染予防になることや、ケア時の誤嚥に注意するようにとは書いてある。しかし、Mayo ClinicのサイトにはPneumoniaの予防に口腔ケアは挙がってなかった・・・
もしかして、エビデンスがないのか?
念の為ググってみると、、、
なんと日本人の論文がヒットおよび引用されている。この分野の研究は日本のほうが盛んなのかー。誤嚥性肺炎起こすほど、みなさん長生きしないんですね。。。諸外国では。

ちなみに、嚥下訓練はSTがやってくれるはずなんだけどここらでは見たことないなと言ったら「喋らないのになんで?」と言われてしまった。言語療法士の仕事の内容が日本とカナダとでは違うのだろうか?

とりあえず、口腔ケアごとにサクションしたりすると、これ以上仕事増やすなって言われそうだ。サクションが小さいから使用ごとに洗わないとならないので。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?