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ROAS474%達成!BtoBマーケティングの展示会で成果を上げるためにCINCが実践した成功の秘訣7選

株式会社CINCのマーケティング部署で展示会施策を担当しております、下野と申します。

BtoBマーケティングにおいて、「ROASの良い施策が見つからない」「短期で売り上げを作る方法がわからない」と悩んでいないでしょうか。結論、こうしたお悩みは「展示会」に出展することで解決できるかもしれません。

なぜなら、私の所属する株式会社CINCでは、4月に開催された展示会において、たった2カ月間で「ROAS 474%」を達成できたからです。

そのため、本noteでは新卒2年目で展示会の初心者だった私だからこそ気付いた観点で、「なぜCINCの展示会は短期間で成果を出せたのか」について徹底的に解説します。

直近の担当展示会の成果

まずは、2024年4月に開催された「マーケティングWeek春展」の成果を下記にまとめました。

どの指標においても当初設定していた目標より大幅に上回った着地となりました。ただ、今回の上振れた成果は偶然ではありません。本記事ではBtoBマーケティング施策における展示会のあり方や弊社と展示会の関わりについて解説した後、記事の後半では、弊社の展示会チームがどのようにしてハイ達成につなげたのか、その要因を解説していきます。

BtoBマーケティングにおける展示会とは 

展示会の成功要因について解説する前に、ここで改めてBtoBマーケティングにおける展示会の特徴・役割を整理します。

展示会の特徴

BtoBマーケティング施策の1つとして、展示会には下記のような特徴が挙げられます。

  • 低いCPAでリードを獲得できる

  • オンラインマーケティング施策とは異なる顧客に出会える

  • 自社の認知獲得につながる

  • 短いリードタイムで受注することがある

また、他のペイド系のマーケティング施策と比較すると、CINC内では「リードCPAが安価で、アポCPAも安価」な施策として位置づけられます。(商材・展示会の運営方法等によりCPAは上下するため、あくまでもCINC内での立ち位置です。)

CPAのみで一概には判断できませんが、CINC内では定量的な観点からも展示会は重要な施策として位置づけています。

また、ご紹介した特徴があるのは、展示会の来場者には大きく2つの性質があるためです。

  1. 情報収集目的で来場しているため名刺交換・商談へのハードルが低い

  2. 特定の領域に関心のある方が多く来場する

具体的に説明します。

①情報収集目的で来場しているため名刺交換・商談へのハードルが低い
展示会来場者のほとんどは情報収集が主目的です。私も名刺交換をすべく、現場に立っている際に来場目的を伺うと、「勉強目的で」「何かいいものがないかと探しに」等が8割を占めていました。

そのため、名刺交換がしやすく、ブース内での商談へのハードルも低めです。ただし、1つ注意点があります。それは、展示会会場その場でのショート商談こそ設定しやすいものの、後日・別日でのアポ獲得は簡単ではないということです。

先ほど紹介した図で展示会のアポCPAが低かったのは、CINCではこれまでの効果検証から得られたデータを基に、CINCと相性の良い展示会に出展しているからです。そのため、アポを獲得しやすく、アポCPAも他のマーケティング施策と比較して低水準になっています。一方で、出展する展示会を試行錯誤中の企業では、アポ獲得のハードルは少し高くなると考えたほうがいいでしょう。

なぜなら来場者は情報収集が主目的のため、課題やニーズが明確になっていない人も少なくないからです。その場合、展示会後のアポ獲得難易度は高くなる傾向にあります。もちろん、自社製品の提案価値と顧客のニーズが一致したときには、数週間で受注することも珍しくありません。

②特定の領域に関心のある方が多く来場する
「マーケティング」、「営業支援」、「バックオフィス」等のテーマごとに展示会は開催されており、特定の領域に関心のある方々が多く来場します。

また、3日間で20,000人を超える来場者が訪れる展示会も珍しくありません。そのため、自社の認知獲得につながったり、役職者・決裁者のようなネットではリーチしにくい層にまでアプローチできたりする機会になります。

BtoB商材であれば受注1~2件程度で展示会への投資分を回収できることも珍しくなく、ご紹介した2点を考慮しても、展示会への出展価値はあると考えます。

CINCは展示会に「部門横断、全力主義」で参加

CINCの展示会の特徴を1つ挙げると、それは「部門横断の協力」です。展示会の出展にあたり、様々な部署と協力しながら企画から運営を進めています。

CINCでは2016年頃から展示会に出展しており、7年間の関わりがあります。初期は部署・役職を問わず社員総出で参加していました。また、今では参加メンバーを限定していますが、引き続き営業マネージャー・トップセールスに参加していただくことで、高い成果を出すことができています。

他社を見ると、新卒や社会人経験数年の社員で展示会人員を固めている会社も珍しくありません。営業マネージャー・トップセールスの方々にご協力いただけているのは、CINCの大きな強みです。他にも展示会の準備段階では、社内のデザイナーの方々に配布するパンフレットのデザインを依頼したり、事業企画の方々に事務作業をお手伝いいただいたりしています。

展示会担当になった当初は気が付きませんでしたが、部門を横断した協力は当たり前ではありません。それだけCINCでは重要施策に位置づけられていると考えると、あらためて身の引き締まる思いです。

CINCが展示会でROAS474%を達成した秘訣7選

展示会の準備段階、当日、展示会後に分けてCINCが展示会で成果を出せた秘訣を解説します。

「展示会準備」編

  • 秘訣①:出展する展示会を見極める

  • 秘訣②:早めに申し込み、通行量の多い小間位置を確保する

秘訣①出展する展示会を見極める
弊社CINCでは、RXJapan社が運営するマーケティングWeekという、日本最大級のマーケティング展示会に参加しました。CINCがサービス提供しているKeywordmap/SEOコンサルティングはWebマーケティングを行う企業で働く方々がメインターゲットとなっているためです。

マーケティングWeekとその他の展示会のリードCPAを比較すると、およそ2倍の成果となっていました。そのため、成果を最大化するには出展展示会の見極めが非常に重要です。

秘訣②早めに申し込み、通行量の多い小間位置を確保する
展示会での成功には、小間位置の選定がポイントです。小間位置とは、展示会会場内においてブースを立てる場所のことです。小間位置が重要になるのは、位置によって人通りに大きな差が出るからです。

例えば実際の展示会会場を想定してみましょう。下図は展示会の間取り図です。面している通路数が1つの場合「一面開放」の小間となります。では、それぞれの小間が何面開放なのかを考えてみてください。

全小間の面する通路数を考慮すると、それぞれの小間は下図のように定義できます。

ここで最も通行量が多いのは三面開放の小間です。なぜなら3つの通路に面しているからです。そのため、CINCでは可能な限り、三面の小間位置に出展しています。

▼実際のブース画像

実際のブース画像をご覧いただくと、三面開放になっていることが確認できるかと思います。ただし、1つ注意すべきことがあります。それは三面開放の小間はすぐに埋まってしまうということです。

そのため、通常3カ月前に申し込みするところを1年前に申し込むことで三面開放の小間位置を確保でき、多くの来場者にブースを見ていただけました。これにより、名刺獲得数とROASのハイ達成を実現できました。

「展示会当日」編

展示会当日に成果を出すための秘訣は次の3つです。

  • 秘訣③:ブースへの振り分け人員を配置する

  • 秘訣④:会期中のKPIをリアルタイムで管理する

  • 秘訣⑤:名刺獲得を最大化する

秘訣③:ブースへの振り分け人員を配置する
展示会当日には、営業各人の得意な領域を見極め、それぞれが最大限のパフォーマンスを発揮できるように配置しました。例えば、製造業の顧客ならAさん、支援会社ならBさんのブースに案内するという形です。ブース振り分け担当がブース訪問をした方の業界・課題等をヒアリングし、適切な営業につないでいました。

営業メンバー個々人にも得意・不得意領域があるため、振り分けを行わない場合、興味喚起しきれなかったり、後日のアポ獲得に影響が出ることがあります。今回の展示会から本施策を実施することで、営業メンバー個々人の得意領域を見極めて、来場者をブースに送ることができました。結果的に、後日の商談にもつながりやすくなっていました。

秘訣④:会期中のKPIをリアルタイムで管理する
展示会期間中にKPIをリアルタイムで管理することで、即座に戦略を調整し、成果を最大化させることができました。

例えば、12時時点のKPIの報告の際に名刺交換枚数がビハインドしているとします。来場者数に不足はないという前提では、この場合、名刺交換担当者が「来場者1人あたりと話し込みすぎている」という原因が考えられます。そのため12時以降の方針として、名刺交換担当者に向けて「1人あたりのトーク時間を3分以内にする」という具体的なアクションを共有できます。

「12時・14時・16時」の3つのタイミングでKPIに設定している名刺交換数・ブース送客数・アポ数と現状との差分を展示会チームに共有していました。

▼展示会中のチャットイメージ

現場で名刺交換やブースでの商談を行う方々は目の前の来場者に集中するあまり全体感を見失うことがあるので、このKPIの進捗共有はかなり重要です。

現場に出たうえで展示会の運営を行ったからこそわかるのですが、自分が名刺を何枚交換しているか、ブース商談を何回行っているか等を確認できないまま1日が終わってしまうことも珍しくありません。30分ごとのKPIとリアルタイムのデータを比較・評価することで、ビハインドしている場合でも適宜対応策を実施しKPIの達成を実現できました。

秘訣⑤:名刺獲得を最大化する
展示会での名刺獲得は、リード数の最大化に直結します。また、展示会でのKPIを達成させるうえで、この名刺交換数はビハインドさせられません。「名刺獲得→ブース商談→アポ→受注」という流れで売り上げにつながるため、最初の名刺獲得がうまくいかなければ、その後が続きません。

当初、私が展示会に参加した際も、名刺交換数のKPIだけは絶対にビハインドさせないように指導していただきました。そんな名刺枚数ですが、4月に参加したマーケティングWeekでは過去最高水準の名刺を獲得できました。

その中で私は社内で最多枚数を獲得できましたので、名刺獲得枚数を最大化させるためのノウハウを僭越ながら解説します。

名刺獲得枚数を最大化するためのポイント

ポイント①配布するパンフレットは来場者が興味を持つものにする
CINCでは展示会で、SEOツールである「Keywordmap」、SEOコンサルティングサービスのチラシと自社開催のセミナーパンフレットを配布しています。

▼展示会で配するセミナーパンフレット

なぜなら、サービスの詳細が記載されたチラシよりも、セミナー情報が記載されたパンフレットの方が受け取ってもらいやすいからです。展示会に来場する方の多くは情報収集が主目的であり、具体的なサービス・ツール等を探しに来られる方はそれほど多くない印象です。そのため、いきなり自社サービスの詳細が書かれたパンフレットを渡そうとしても、受け取ってもらえない可能性もあります。

そのため、CINCではサービスについてのパンフレットとは別に、自社で開催しているセミナーに関するパンフレットも配布しています。こうすることで、より多くの人との名刺交換ができました。

CINCが提供するSEOツールである「Keywordmap」のパンフレットは受け取ってもらえないものの、セミナーの情報なら受け取っていただける方が、実際会場に多くいらっしゃいました。出展する展示会の来場者の属性を考慮したうえで、配布するパンフレットを作成するのが良いと思います。

セミナーの紹介資料の他には、業界紙・事例集等の汎用性の高いものが良いでしょう。

ポイント②QR名刺リーダーを利用する
QR名刺リーダーとは来場者バッジに掲載されている来場者の名刺情報を詰め込んだ、QRコードを読み込むための読み込み機です。QR名刺リーダーの導入をおすすめする理由は2つです。

・名刺交換の時間が短くなる
・交換数に制限がない

手渡しで名刺を交換し、手書きでメモを取る必要がなくなるため、名刺交換の時間が大幅に短縮されます。また、読み取り機をかざすだけで名刺交換ができるようになるので、紙名刺の交換と比較し短時間で終わります。

さらに紙名刺での名刺交換では、持参する名刺の数に限界がありますが、QR名刺リーダーを利用すれば、その心配はありません。名刺情報はデジタルデータとして保存されるため、無制限に名刺を交換することができます。紙名刺ではなく、QR名刺リーダーを活用した名刺交換を主軸におきましょう。

ポイント③相手によって第一声を工夫する
第一声で興味を持ってもらえるかどうかが決まります。そのため、私が名刺交換をしていた際はブース近くを歩いている方を観察し、仮説を立て、その仮説に基づき声をかけていました。

例えば、「ゆっくりと歩いている人」がブース近くに来た場合を想定します。ゆっくりと歩いている背景には、様々な仮説を立てられると思いますが、「情報収集目的で色々な企業ブースを見たいから」と仮定します。その場合、私なら「今、何かいいものがないかとお探しではないですか?」と声をかけます。

このように、相手の状態から何を考えているかを考え、声かけに反映させるという流れを何十回・何百回と繰り返していると徐々に来場者の姿を見ただけで何が目的なのかが大体わかるようになり、名刺交換がスムーズにできるようになります。声かけする際のトークは誰に対しても同じではなく、パターン別に用意しておくと良いでしょう。

「展示会後」編

成果最大化のために、展示会後に行うことは次の2つです。

  • 秘訣⑥:獲得リードを1件1件確認する

  • 秘訣⑦:展示会ごとの振り返りを行う

秘訣⑥:獲得リードを1件1件確認する
弊社では、展示会会期終了後に獲得したリードの所属部署を1件ずつ確認しています。この確認はターゲットリードCPA、ターゲットリード割合、ターゲットリード数の算出に活用します。部署が明らかになることで、自社がターゲットするリードが他の展示会と比較してどのくらいいたのかが定量的に分かります。

例えば、マーケティング部署の方が32%、経理の方が11%、営業の方が40%というようなイメージです。反対に、定量的にわからなければ、自社がターゲットする方が「結局どの展示会に多く来るのか」を根拠を持って示すことができません。

具体的には次の手順でリードの確認を行っていました。

  1. 展示会で獲得したリードをスプレッドシートにリストアップする

  2. 1件ずつのリードの所属部署を確認し設定した分類部署を割り当てる

  3. 全リード情報の入力が完了次第、ターゲットリード数、ターゲットリード割合、ターゲットリードCPAを算出する

文字だけではわかりにくいと思いますので、イメージを用意しました。

マーケティングの役割を果たす部署でも、会社ごとに「マーケティング本部」「マーケティンググループ」「マーケティングコミュニケーション部」等、名前が異なります。そのような表記ゆれをなくすために、1件ずつのリードを確認し「マーケティング」「経理」「人事」「営業」等の自社内で設定した部署分類に振り分けていきます。

最終的にCINCでは下記のようなアウトプットにしています。

▼展示会リード分析シート(イメージ)

この作業を行うことで、1つ1つの展示会ごとに「ターゲットリード数」「ターゲットリード割合」「ターゲットリードCPA」がわかります。結果、自社に最適な展示会がどの展示会なのかを感覚ではなく、定量的に確認できるようになります。

自社にデータが蓄積されるまでは出展する展示会の幅を広げておく必要がありますが、データが蓄積されると、例えば次の表のように展示会ごとで相対的に自社との相性が良いかどうかを確認できるようになります。

例えば、この場合ではABCの中で最も相性が良い展示会は「C」だと判断できます。なぜなら、ターゲットリード数も多く、ターゲットリードCPAが一番安価なためです。

秘訣⑦:展示会ごとの振り返りを行う
CINCではリードの分析をした結果「なぜ名刺交換数がオンスケだったのか?」「なぜROASがビハインドしたのか?」等をマーケティング部署のマネージャーとともに振り返り、2~3時間かけてレポートを作成しています。特に成果が良かった際には「ここまで分析する必要があるのか?」と疑問に思っていました。ただ、成功したときも、失敗したときもその要因を言語化しておくことが、今後の展示会の成果最大化には欠かせません。今回の展示会の成果も、過去の要因分析の積み重ねがあったからこそ達成できたと考えています。

レポーティングの際、振り返る観点としては次の2つです。

  • 展示会KPIのオンスケ/ビハインド要因、今後の対応

  • 他の展示会とのターゲットリードCPA等の比較結果

展示会に参加するだけでなく、その結果をしっかりと分析し、これからの戦略に反映させることが重要です。例えば、今回の展示会でリード数が目標を下回った場合、その原因を明確にし、必ず次回の展示会までに対応策を実行しています。展示ブースの位置、スタッフのアプローチ方法、配布物の種類など、多角的な観点で施策を検討し、次回に向けて改善策を立てます。

さいごに

展示会担当にアサインされた当初、私はその準備の細かさや手間に「ここまでするのか」と驚きました。当初は1つの展示会の運営に80時間以上もの時間をかけていました。しかし、その1つ1つがあるからこそ、CINCでは継続して展示会の成果を出し続けられています。やるべきことをすれば、再現性を持って展示会での成果を出すことも不可能ではありません。

展示会はBtoB企業にとって重要なマーケティング施策の1つです。ぜひ、今回ご紹介した7つの秘訣を活用して、展示会の目標達成にお役立てください。

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