RTC360を使って上手にスキャンする方法をくわしく解説!
こんにちは!内野です。
前回はRTC360を使って失敗なくスキャンするための3つの方法をご紹介しました。
RTC360を使って上手にスキャンする3つの方法|内野智仁@土木現場を3D化する人|note
今回はより詳しく見ていきたいと思います。
今回の記事で対象となる方はRTC360/BLK360を使っている方で、より正確にスキャンをしたい方です。
それではいってみましょ~
正確にスキャンするためのステップ
正確なスキャンをするためのステップがいくつかありますので、まずは紹介します。
正確な基準点の準備
基準点に置いたターッゲットをTSでノンプリ測距
ターゲット認識のためのルール理解
紙ターゲットを利用する
ターゲットの自作
光とスキャンの関係
スキャン出来ない物体の理解と対処法
この項目は随時追加する予定です。2022年1月時点では上記を押さえておくとかなり理解が深まると思います。
しかーし!!2022年10月時点では次の事も押さえておきましょう!!
RTC360を据える角度に気を付けよう
エラーが発生していないか再確認しよう
大容量の点群を撮るときは2つのプロジェクトに分けよう
屋外でスキャンするのはフルスキャンが大前提だ
正確な基準点の準備
基準点は少なくとも4点準備したいです。これは取得するフィールドの広さにもよりますが、最低でも2点は必要です。
ちなみに、基準点とは測量によって正確に出された位置の事を言います。
この「正確に」がかなり厄介なのですが、基準としては公共測量に使われるレベルの(これでも広いですが)点としてください。
構造物などの基準点は厳密に作られているので構造物のスキャンをするときはほぼあります。
なお、GNSSローバーなどを使って作った座標点はここで言う「正確」には該当しません。
GNSSローバーで作った座標で、トラバースを組んで誤差が許容範囲であると認められた点は「正確」な基準点(座標)と言っていいと思います。
GNSSローバーは衛星を使った測量方法でその場所の位置を瞬時にだす道具です。しかし、ずれが発生するのでトラバース(測量方法)を組んで、正確性を図ります。
GNSSローバーの性能と現場での使い方|内野智仁@土木現場を3D化する人|note
ここで言うトラバースは簡単に言えば四角形の内角の総和が360℃かどうかを調べるという事です。(かなり簡単に言っているので詳しくはお調べください。)
とはいえ、そこまで厳密な精度を求めない。と言う時にはこの基準点は不要です。
もしくは、GNSSローバーで取得した座標を使っても良いと思います。
この辺りは、現場に応じて対応しましょう。
基準点に置いたターッゲットをTSでノンプリ測距
今回ご紹介したいのは「正確」にスキャンする方法です。
この正確を何ととらえるかは人それぞれですが、多くの現場では基準点が「正確」の基準です。
なので、スキャンをするときは基準に対してどれだけ
「ずれているのか、ずれていないのか」が焦点となります。
そのためには基準点にターゲットを据え置きます。
この時、気泡をど真ん中に来るように据え置きましょう。
そして、TS(トータルステーション)を使ってターゲットの真ん中をノンプリで測距します。
トータルステーションのノンプリ測距をした場合、ターゲットの位置が高いので基準点とずれている可能性があります。座標値を目で確認し大きくずれていないかを確認する必要があります。
そのためには、ターゲットを据える三脚のネジなどの備品が緩まっていないかの事前確認がかなり重要となります。←ここ重要
そもそもTSを据えるときは後方公開法が一般的だと思います。そのため冒頭紹介した通り、最低2点の基準点が必要という事です。踏査は大変重要です。
この作業を基準点とするターゲットの数だけ行います。
例えば橋台や橋梁のような構造物をスキャンするのであれば基準点(例えば4つ)+構造物の各面にターゲット用紙を貼りノンプリ測距します。
割と手間のかかる作業ですが、信用性確保のため重要です。
ターゲット認識のためのルール理解
スキャン誤差について
ここでいくつか疑問に思うことがあります。
レーザースキャナーはレーザー光線を多数発射して測距するが、そこに誤差はないのか?
ターゲットのど真ん中(ノンプリ測距した場所)にレーザーが当たらなかったらそれは誤差になるのか?
RTC360を使う場合に限ってのことですが、、ひとつ目の所謂測量誤差(測距誤差)は10mで1~2㎜とされています。
ふたつ目の件に関しては、恐らく誤差になるだろうと思っています。(かなり個人的見解です。)
ではこれを可能な限り少なくするためにはどうするかというと「近接スキャン」です。
スキャンの位置を5mの位置で、高密度設定にしてすればその誤差は小さくなると考えています。
点密度を上げれば精度が上がるわけではなく、点密度が疎になることによる誤差を無くすために近接スキャンを行います。
よって、基準点との誤差は1㎜以下はあり得ず、2㎜で御の字という事を理解する必要があります。
ターゲットの種類について
では、このターゲットは基準点にだけおけばよいのかというとそうではありません。
ターゲット標識は1スキャンについて3つ必要となります。
これはルールなので必須の事項です。
ただ、厳密に上記のような白黒ターゲットが必要か?というとそうではありません。
特徴的となるものが3つあればOKです。
しかし、だだっ広い広場のような場所では特徴的なものが無くなるので、上記のような方法が必要となります。
個人的にはこのターゲットを多用します。ターゲットを置けばどれだけズレが出ているのかが明確だからです。しかし、これにはかなりの労力がかかります。時間との兼ね合いでやるしかないというところが現時点での感想です。
ターゲットも白黒のモノだけでなく、球体のものもあります。
この球体、ターゲットとしては大変優れたものですが精度を確認するにはいまいちです。
中心が分からないためにズレが分かりません。なので、精度を求めるようなスキャンの場合には使いません。(個人的見解です。)
紙ターゲットを多用する
そこで登場するのが紙ターゲットです。
紙ターゲットとは、白黒ターゲットがかかれた紙です。
これを貼れる場所に貼っておきます。そうするともしもターゲットが認識されないときの保険になります。
テープの張り方は下記のようにピッタリヨレないようにします。
これを何とか楽に貼りたいものですが、良い方法はないものでしょうか・・・・悩みは尽きません。
このターゲット用紙をカーペットに変えてみようとか、代用可能なものにするためにマジックテープをつけようとか色々考えたのですが、雨にぬれたり汚れたりするものですから、結局紙となりました。
※後日iwamaさんからポスターなどで使う紙でも良いのではないかとご教示頂きました!!ありがとうございます!!
ターゲットを自作する
上記のようにいつでも都合よくターゲットが貼れるわけではありません。
そういったときに自作のターゲットを作ります。
(ターゲット球は大きいし、高価なので自作しました。1本400円ほどです。)
※画像がないのでお許しを・・・
結局これは強風があると揺れるし倒れるし使い物にならなかったのですが、これを低くして使えばある程度ターゲット(目印)となってくれました。
このように自分でターゲットとなるものを作ると色々な発見があります。
RTC360の互換ソフトCycloneRegister360では白黒ターゲット・球体ターゲット・棒・四角などの物体をターゲットとして認識しやすい傾向があります。
この傾向を見て、自分なりに作っていくというのが正確にスキャンをする方法に近付くと思います。
光とスキャンの関係
これは何を言っているのかというと、RTC360はレーザーを飛ばして位置を取得し、その後カメラによってRGB(色)を取得し貼り付けます。
これによってまるで写真のような点群が出来上がるわけですが、光の具合が悪いとスキャン結果が悪くなってしまいます。
これは橋の下から撮影しました。状況としては西日が差し込み、明暗はっきりと分かれる場所です。
スキャンは成功しました。しかし、光が入りすぎてはき出したデータは精度が悪くなりました。
Leicaサポートに連絡をしたところ、これは避けようがないとのことです。
RTC360はカメラを撮るときに自動でISOを調整します。画素マニュアル操作がないのでこのような事が起きます。
ではどうするか、①暗いところから撮る②スキャン範囲を狭める、しかないと思います。
※もちろん、ソフトウェア上でも操作はできますが良い結果は出にくいです。
明暗はっきりと分かれる場所は慎重に撮っていくことを肝に銘じておく必要があります。
スキャン出来ない物体の理解と対処法
水やガラス・黒い物体はスキャン出来ない。これはもう一般論だと思います。
では、それをどうやって撮るのかを知る必要があります。
参考になる動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=2lwqvoUrZlM
これは家の中にあるものをどのようにして撮ればよいか?ということを紹介しています。
いくつかの方法を取れば問題なく(パウダー振りかけるのはちょっと・・・)取れると思っています。
例えば、打ちたての真っ白なコンクリートは光が当たるとレーザーが反射しません。
そんな時は角にテープを張るのもいいと思います。
2022年10月アップデート版
この記事を書いた当初。まだ僕は知りませんでした。次のことが起きてしまう事を・・・
RTC360を据える角度に気を付けよう
エラーが発生していないか再確認しよう
大容量の点群を撮るときは2つのプロジェクトに分けよう
屋外でスキャンするのはフルスキャンが大前提だ
どういうことか説明します。
①据える角度について
RTC360はどのような角度でもフィッティングしてくれるとても優秀なスキャナーです。しかし、角度が大きすぎる場合(15度以上の角度)が発生するとスキャン自体にエラーが発生してしまう場合があります。
本来はそれでも対応するのですが、この角度が大きいと正準することができないのだと思います。
※2022年6月頃のアップデートで高性能正準が付きました。今ではほとんどこういったことは起きないはずです。
②エラーが発生していないか確認する
最初に据えたときと、撮り終わった時に据えた時、この2つの位置が何らかの理由でずれた場合にはスキャンエラーが起きます。
これはどういうエラーなのかというと、写真のHDR画像と点群画像がずれてしまうというエラーです。
これはとり終わった時にエラー表示してくれることもあるので注意深く見るようにしましょう。
③大容量の点群を撮るときは2つのプロジェクトに分ける
大容量の点群を撮るときは1プロジェクトに入りきらないことがあります。
200スキャン以上取る場合には2つのプロジェクトに分けると読込から何から楽になります。なお、別プロジェクトにしてもRegister360でフィッティングしてくれるので安心してください。
④屋外ではフルスキャンが前提
どんなことがあっても屋外ではフルスキャンが安心です。
スキャン時間を短縮しようとしてミディアムスキャンをしたときにターゲットを拾ってくれないことが頻出しました。
屋外ではフルスキャンをすると心強いです。
まとめ
少々長くなりましたがこれまでの経験をもとに記事を書いています。
レーザースキャナは苦手とするものがあります。それは連続した風景です。
森や広場や無機質な通路が大変苦手です。
そのような特徴を見抜いてターゲットをどのように置くのか、どのようにスキャンするのか考えなければいけないと思っています。
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