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キーパーソンは「嫁」?

介護保険は、自分から申請しないとそのサービスは受けられません
でも、介護が必要な人が、自分で申請できるとはかぎりません

介護が必要なのに、自分で申請できない、あるいはしたくない状態とは、どんな状況なのでしょうか。

たとえば、こんな例は、身近にありませんか。

夫に先立たれ、一人暮らしのAさん。遠方に次男夫婦、スープは冷めるけど、Aさん宅には1時間以内にやってこれる長男夫婦がいます。

長男も次男も、Aさんを心配して、よく電話をくれます。
Aさんは、息子たちに心配をかけまいと元気にふるまっていますが、このところ、物忘れがひどくなってきました。

「きっと、年のせいだわ」と、息子たちには、笑い話として、エピソードを話しています。やさしい息子たちは、いよいよとなったら、老人施設も考えるけど、まだそこまでではないだろうと思っています。

そこうしているうちに、Aさんは急に転んで骨折し入院となりました。病院の医療ソーシャルワーカーは、退院後の生活を考えるにあたり、キーパーソンを長男としました。誰もが納得の布陣ではあります。

ですが、しかし、ここで、ちょっと考えていただきたいのです。
キーパーソンは、長男の「嫁」ではだめですか?

今時、「嫁」が介護なんて概念があるのかと、思われるでしょうが、実は、直接「介護」をしたくない「嫁」こそ、本当に優秀なキーパーソンになる可能性があるのです。

直接介護はしたくなければ、どうしたら、介護サービスを上手に使えるかを考えてくれるはずです。いつまでたっても、子供から見たら、親は親、親から見たら子供なわけで、実の親子では、どうしてもバイアスがかかってしまうのは避けられません。認知症の兆候も見落としてしまうことも。

その点、「嫁」は所詮他人ですから、客観的に状態をみることもできるし、自分で介護はしたくないというバイアスは、介護サービスを受けさせようというモチベーションにつながると思います。

このとき、大切なのは、長男の「嫁」は、長男の代理ではないということです。あくまで、「第3者」として、客観的な判断をしてもらいつつ、身内の事情も考慮できる家庭内ケアマネージャーとしての権限をもつことが大切だと思います。

かつては、嫁姑の確執は大きな家庭問題でありました。
今では、当たらず触らずを、双方が心がけている家庭が多いようです。
しかし、これからの時代、身近にいる頼れる他人としてのスマートな嫁姑関係もあってもいいんじゃないかなと思うこの頃です。

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