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取り留めも無い日常


最近、字を書けなくなった。
正確に言うと、活字を書けないとかそういうことではなくて、
文章を、言葉を、書くことができなくなった。

原因は分かっている。
明らかに、今までと生活リズムが変わってしまったからだ。
誰のせいでもなく、私が怠惰な生活をしているのだ、と思う。

普段の食事も適当に済ませ、
気持ちの切り替えに飲んでいたコーヒーも飲まなくなって、
飼い犬の散歩へ行く頻度も減った。


彼女としていた文通は、私で止まっている。
彼女は「ゆったりしたいときに書けばいいよ」と、
私も「それいいね、そうしよう」と、言った。

でも、分かっている。
ゆったりしたい時なんて、
今の私にはあるべきでは無いことを。
ゆったりしていたい時は、
何もできなくなってしまうことを。

冬のせいだ、と、何度も思った。
私は冬が嫌いだから、冬のせいにしようと思った。
明るい時間が短くて、寒くて、
ただでさえ陽の入らない私の部屋には、
冬は本当に、大敵なのだ。


こうやって、取り留めも無い日常の話を書いて、
彼女への手紙を書けない言い訳をつらつらと並べている私に、
きっとそれでも彼女は、「大丈夫だよ」と言うんだろうな。

目の前にいない誰かの愛は、
とてつもなく伝わりにくいけれど、
私が彼女を美化していようとも、
彼女には、私の中の彼女であり続けてほしいと思う。

これは押し付けているわけではなくて、
あくまで私が彼女を愛している証拠でしかない。

「分かっているよ」と言われても、書き起こしたい。

こうやって、少しずつ、
「伝える」ということを思い出していく私は、
今すごくゆったりとした気持ちで、
少し寒くて暗い部屋の中で、

確実に「彼女の愛」に、向き合っている。


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